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2008年01月12日 紙面より

メタボから自力で脱却…4月から「特定健診」スタート

仕事さえできれば太っていても会社から文句をいわれる筋合いはない−。今年からはそんな考えは捨てなきゃダメ。というのも、4月から、“メタボ健診”“メタボ指導”とも呼ばれる「特定健診・特定保健指導」が始まるからだ。健診で社員がメタボまたはメタボ予備軍という結果が出た場合、会社に生活習慣改善のための指導義務が生じることになるのだ。おなかが出ているかどうか、会社にキビシイ目で見られることになる時代。まずは自力でメタボからの脱却を目指そう!

今年4月、40歳以上を対象にした「特定健診・特定保健指導」(別項)が始まる。実際にメタボな人やその予備軍にとっては見たくない数値を突きつけられそうだ。管理栄養士で医学博士でもある日本医療栄養センター(東京都練馬区)の井上正子所長は、この健診を「メタボリックシンドロームから脱却するチャンスと考え、これまでの生活を見直してください」とアドバイスする。

メタボリックシンドロームの前提条件は、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上。「特定健診」では、これに体重を身長(メートル)の2乗で割ったBMIの数値が25以上の場合も加わる。

大切なのはおなか周りをスマートにするとともに、体重を適正範囲(標準体重《BMI22》±10%以内)に抑えることだ。たとえば、身長170センチなら、1.7(身長)×1.7(身長)×22で標準体重は63.6キロ。約57.5キロ〜70キロの体重に戻せばいい。

とはいえ、これがなかなか難しい。そこで、井上所長は「自分の生活の何が太る原因なのか、理由と行動を思いつくまますべてノートなどに書きだす」方法を勧める。

残業が多く夜遅くにたくさん食べる、ストレスがたまると甘いものをつい食べてしまう−。こうした食習慣とそれぞれの打開策を考えて、ノートに記すのだ。「残業続きで夕食が遅くなる↓途中で軽く食事をし、帰宅後はなるべく食べないようにする」という具合だ。

「すべての原因を1度に取り除こうとすると失 敗します。1つずつ着実にやめていくことが大切です」と同所長。さらに、小さなメモ帳を持ち歩き、毎日、いつ、何を食べたか、間食した場合はその理由も書くと、自分の食生活をしっかり見直すことができる。

同時に日常生活の中でこまめに運動することも大切だ。運動方法は左のイラストの通り。井上所長は、「腹筋や背筋を重点的に鍛えることで、内臓脂肪を減らすことができる」という。

メタボからの脱却のカギは、「太ってしまう原因になる自分の行動を具体的に見直し、それを変える努力をすること」(同所長)。「わかっちゃいるけどやめられない」ではなく、やめる方法を知恵をしぼって考えることがメタボとさよならする第一歩だ。

◆メタボ脱却のための7カ条◆
★その1 摂取カロリーを、身長から割り出した標準体重の適正な数値内に=ただし、体調にあわせ、無理はしないこと。痩せすぎの人も、標準体重に近づけることが健康を守るために大切
★その2 食事記録をつける=いつ、何をどんな理由で食べているかメモする。主食、主菜(肉・魚など)、副菜(野菜など)、くだもの、乳製品、その他(飲み物、菓子など)に分けて書くとバランスも把握できる
★その3 太る原因を思いつくまま、すべて書き出す=理由と行動をきちんと再認識し、その行動をやめるための方法を自分で考える
★その4 バランスのよい食事を目指す=外食や弁当を買うときには、食材の色がカラフルかどうかが目安。ただし、もとの食材の色を考えること。
特にオレンジ色の食材は動脈硬化を防ぐ抗酸化作用があるものが多いので、積極的にとること               
★その5 酒はほどほど、脂っこいつまみは避ける=酒自体の摂取カロリーに加え、つまみのカロリーが太る原因に。野菜や豆腐、きのこ類を中心にするといい
★その6 日常生活の中でこまめに運動する=ジムなどに行く、30分以上ウオーキングするなどは、慣れないと3日坊主に。駅や会社の階段、通勤電車内の運動など、身近なところから始める
★その7 自分の筋力や筋肉のバランスを知る=中高年世代は、自分で考えるよりも筋力が低下している。これもメタボの原因の1つ。パートナーに補助をしてもらい、でんぐりがえし、逆立ちなどをする。うまくできなかったら、筋力や筋肉のバランスが低下。妻をだっこして20〜30歩歩けるかどうかも試してみよう

■「特定健診・特定保健指導」とは

★対象=40〜74歳の健康保険加入者。メタボリックシンドローム、生活習慣病予防が目的
  ★検査項目=腹囲、コレステロール値、血圧、血糖値の4つ
  ★指導が必要な数値=腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上または、肥満の指標となるBMIが25以上で、▽中性脂肪が150mg/dl以上またはHDL(善玉)コレステロール値が40mg/dl未満▽血圧が130/85mmHg以上▽空腹時血糖値が110mg/dl以上の、3種類のいずれかに該当する場合
  ★指導方法=医師、保険士または管理栄養士との面接を1回(1人20分)し、指導を受ける。また3種類すべてのリスクに該当すれば3カ月以上継続して指導を受ける。「該当しなかった人にも、生活習慣やその改善に関する情報を提供。これまでの健康診断は、結果はわかっても、その後に生かされない“やりっぱなし健診”が多かった。検査内容を生活習慣の改善に生かす指導が加わったことが、これまでの健診との大きな違いです」(井上所長)。

■減量のための摂取カロリー

オーバー気味の体重を標準体重に戻すには食生活の改善は不可欠だ。それには、「どれくらい食べれば標準体重になるかを知ることが重要」と井上所長。
 一般的に、1日に必要なカロリーは体重×30〜35で算出する。例えば体重70キロで事務職の人なら70×30の2100キロカロリー、営業職なら、70×35で2450キロカロリーとされる。同所長は「やせるためには、摂取カロリーを通常より少なめの体重×25〜30にする。これを守れば、1か月に1〜2キロの減量は難しいことではないですよ」と断言する。

■いのうえ・まさこ

日本医療栄養センター所長。北里大学保健衛生専門学院教授。管理栄養士、医学博士。昭和41年、女子栄養大学卒業。48年、日本栄養医療センター設立、地域住民・企業・団体に健康づくりのための医学・栄養教育を行う。これらの業績から、平成7年に日本栄養士会・栄養改善奨励賞を、10年に栄養改善学会賞を受賞。著書に「食生活と健康」「肝硬変の人のための食事」「楽しい食事」など。