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2008年01月05日 紙面より

この冬大流行の兆し…インフルエンザA型 中高年は要注意

近年にない大流行が心配されているインフルエンザ。全国で、Aソ連型とA香港型のウイルスが猛威をふるいはじめている。働き盛り世代にとって、実はA型ウイルスの流行は大問題。というのも中高年の場合、B型よりA型ウイルスに感染した場合の方が症状が重くなってしまうからだ。本格的なインフルエンザの流行期は今の時期から2月にかけて。真冬に増えるかぜとインフルエンザの見分け方、予防対策や、悪化させないための注意点とは?

かぜとインフルエンザ。症状が似ていて見分けにくい。確定診断には医師の診察が必要だが、日本のインフルエンザ対策の第一人者、福岡県赤十字血液センターの柏木征三郎所長は、「かぜとインフルエンザには初期症状に大きな違いがある。見分けるのはそれほど難しいことではない」と断言する。  かぜの主症状は、のどの痛みや腫れ、鼻づまり、せきなどで、熱は37・5度ぐらいまでとそれほど高くならない。一方、インフルエンザは「何の前触れもなく突然38度以上の高熱がでる。これに伴い、全身の倦怠(けんたい)感や頭痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振など特有の強い全身症状があらわれる。せきやのどの痛み、鼻水といった症状はその後」(同所長)。この時期「突然、高熱がでたら、インフルエンザの罹患を疑うべき」(同所長)なのだ。

ところで、インフルエンザウイルスには、A型とB型、症状の軽いC型があるが、この冬、流行しているインフルエンザウイルスはAソ連型とA香港型。A、Bで症状に大差はないが、「中高年がA型のウイルスに感染すると症状が重くなることが多い」(同所長)ため、今年は特に注意が必要だ。現在、医療機関で使用されている迅速診断キットなら、約5分間でインフルエンザに罹患しているか、A型かB型かの確定診断もできるので、熱が出たらすぐ病院に行く必要がある。

インフルエンザウイルスは、のどや気管支の粘膜から細胞内に侵入して急激に増殖し、1つのウイルスが24時間で100万個にもなるという。同所長は「潜伏期間は24〜48時間。発症後48時間でウイルス量はピークに達する」。抗ウイルス薬(別項)が効果を発揮するには、発症(熱がでたとき)後48時間以内に治療を開始することが特に重要で、たかをくくったり、我慢して病院に行くのが遅れると、症状の悪化を招きかねない。

予防の基本は、「ワクチンの接種」(同所長)だが、効果がでるのに1〜2週間かかる。したがって、予防接種を受けていない人は、特に生活の中でできる予防対策(別表)が有効になる。流行期の必需品はマスクで、「サージカル抗体マスクのような、ウイルスの侵入を防ぐことができるマスクがおすすめ」と柏木所長。くしゃみやせきなどによる飛沫感染だけでなく、「ウイルスは空気中を漂いながら2〜3日生き続ける」ため、油断は禁物だ。


【もし新型インフルエンザが発生したら?】

現在流行しているインフルエンザは、いずれも過去に流行したことがあるものばかり。だが、世界保健機関(WHO)などでは、鳥インフルエンザのA型(H5N1)ウイルスから、人から人へ感染する変異型を発生する恐れがもっとも高いと、警告を発している。

柏木所長も、「もしも新型インフルエンザが流行したら、全世界で16〜20億人が罹患、その約3%の5000〜6000万人が死亡。日本では、3200〜3900万人が罹患し、100万人が命を落とす危険性がある」という。その予防のため、ダチョウの卵の黄身の成分を使い、抗体を迅速かつ大量に生産する技術を採用した抗体マスクが実用化されつつあり、ワクチンの開発も精力的に進められているという。

【インフルエンザの治療薬】

も有効な治療手段とされる抗ウイルス薬は、服用後、約30時間で熱が下がるという。ただ、現在は、最も有力な治療薬のひとつ「タミフル」は、服用による異常行動の発生の可能性が問題になっている。柏木所長は、昨年末に公表された約1万人の大規模解析の結果をふまえ、「インフルエンザの症状のひとつとして異常行動がでた可能性も強い。10〜17歳ではこうした異常行動は、『タミフル』を使用した場合は6%、未使用の場合は11%でている。子供がインフルエンザに罹患した場合、『タミフル』の使用いかんにかかわらず、異常行動が起こったときにすぐに取り押さえられるように、目を離さないことが重要」と話す。現在、治療薬の中心となっているのは、この「タミフル」と、吸入薬の「リレンザ」。作用点が違い、「タミフル」が腸管から吸収されて血液中に入り、気道にいくのに対し、「『リレンザ』は、ウイルスが増殖している気道粘膜に直接作用する」(同所長)。


◆身近でできるインフルエンザの予防策◆
★外出時は必ずマスクをする=せきやくしゃみ、会話中のつばなどに含まれるウイルスは1・5メートルも飛ぶ。空気中を浮遊するウイルスから感染することもあり、流行期には常時装着が基本。特に内科系の病院に行く場合は、必ずマスクをしていくこと
★手をまめにせっけんで洗う=電車のつり革など、不特定多数の人間が触れる機会が多いものにはウイルスが付着している危険性がある。手で口元や鼻をさわる癖がある人は特に注意
★うがいをする=帰宅後のうがいはウイルスの付着防止につながる。紅茶や緑茶などのポリフェノール(カテキン)には、抗ウイルス作用があるので、これらを使ってうがいするのもよい
★かんきつ類などを積極的に食べる=ビタミンCには、抗ウイルス作用がある。旬を迎えたみかんなどを食べるとともに、バランスのとれた食事を心がける
★加湿器などで室内の空気の乾燥を防ぐ=ウイルスが生息しやすい環境は乾燥・低温。加湿器で、湿度を50〜60%に保つ
★抗ウイルス薬を予防に利用する=家族に罹患者がいる場合などは、抗ウイルス薬を予防的に使うと、感染を防ぐことができる
★禁煙する=たばこを吸うと呼吸器が弱くなり、インフルエンザをはじめとするウイルスに感染しやすくなる