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2007年10月20日 紙面より

健康診断から学ぶ長生きの教え 検査や数値の意味を知ろう!

多くの職場で健康診断が行われる秋。ところでアナタ、せっかく受けた健康診断をその後の健康作りに役立てていますか? 診断結果を見て「正常値だから大丈夫」「要再検査じゃないから安心」では、実は健康診断のメリットは半減する。そもそも健診は、病気の早期発見と同時に、生活習慣病の兆候を読み取り、健康で長生きするための指針でもある。そのためにも各検査の意味を知ることが重要だ。

東京大学医学部附属病院総合研修センター長で、「ササッとわかる検査数値と健康度」(講談社)の著者である同大学医学教育国際協力研究センターの北村聖教授は健康診断の目的を「病気の早期発見だけではありません。生活習慣病の兆候を読み取る、健康で長生きするための指針としての役割が重要」という。

それには「異常なし」だからといって安心するのではなく、それぞれの検査や数値があらわしている意味をしっかりと理解することが大切だ。

その中でも、「働き盛り世代の男性は、血圧、体重、コレステロール値、γ(ガンマ)−GTPの4つが特に重要」と北村教授。注意が必要なのが血圧で、「上の血圧(収縮期血圧)だけでなく、下の血圧(拡張期血圧)も気にしてください」(同教授)という。

心臓が収縮する前の血圧である下の血圧が高いと動脈に大きな負担がかかり、動脈硬化進行の原因になる。同教授によると「下の血圧が90mmHg以上なら、すぐに生活習慣を改善すべき」。

また、健康診断の基本でもある「身体計測」では、「体重が増えたな」と漠然と考えるのではなく、「体重と身長から割り出される『BMI値〈体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗〉』を計算すること」(同教授)。

男性の場合、「BMI25を超えたら肥満の仲間入り。30を超えたら、肥満症という立派な病気」(同教授)だけに、この数値は要チェック。目標は、最も病気にかかる率が低いといわれる「BMI22」。身長170センチなら63・6キロだ。

血管を老化させないための指標となるコレステロール値では、“悪玉”のLDLコレステロール値に注目。酒を飲むと上がる数値として知られるγ−GTPは、「検査の前に3日〜1週間ほど酒を節制したにもかかわらず、正常値の50を超えたら脂肪肝やアルコール性肝障害の疑いがある」(同教授)。特に節制しない場合も100を超えたら禁酒が必要だ。

いずれも、「検査結果の横に記載されている基準値(正常値)の範囲内なら大丈夫と思わず、真ん中を目指すこと」と北村教授。やや高めの数値が重なると、メタボリックシンドローム同様、将来の健康に悪影響を及ぼすからだ。

さらに、過去の数値との比較も重要で、「以前より数値が上がったのか下がったのかが問題。正常値であっても、数値が年々少しずつ悪い方向に進んでいたら、生活習慣を見直しなさいというメッセージだと考えましょう」とアドバイスする。

せっかく受けた健康診断。上手に利用して、将来の健康を守ろう。

【健康診断の上手な利用法】

「検査結果に一喜一憂するのではなく、生活習慣の改善に役立てることが大切」と北村教授。
   再検査が必要ならきちんと医師の診断を受けること。血圧やコレステロール値など、メタボリックシンドロームにかかわる検査にやや高い数値が並んでいる場合は、運動などで数値を下げる努力をする。同教授のおすすめは、「ふつうの生活の中でのちょっとした運動」。昼休みに会社の周囲を歩く、エスカレーターではなく階段を上るなど。通勤時に一駅手前の駅で降りて歩くのもいい。
   「秋風が心地よい今の季節は、ちょっとした運動をはじめるのに最適。歩くことが習慣になるよう、無理せず続けてください」(同教授)。

【体重と血圧は自宅でもチェック】

生活習慣病予防のためには、年に1〜2回の健康診断だけでなく、自分の体を日常的にチェックすることが大切だ。
   その代表格が体重と血圧。北村教授によると、「体重は、1日のうちでも増減があるので、朝起きてトイレに行ったあとや、朝食のあとの排便後など、決まった時間に測りましょう」。
   また、収縮期血圧が130mmHg以上の人は家庭用血圧計を用意して、毎日、朝起きたときの血圧を測ること。150mmHg/90mmHg以上の人は、「家庭での血圧測定は必須。動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こさないためにも、自分の血圧を知り、食生活の改善や運動などで血圧をきちんとコントロールしてください」(同教授)。

◆主な検査の意味と正常値◆
★検査名(正常値)=検査の意味
★血圧(収縮期血圧が130mmHg未満かつ拡張期血圧が85mmHg未満)=理想的な数値は、上が120mmHg未満かつ下が80mmHg未満。高血圧を放置すると動脈硬化につながり、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などが引き起こされる
★LDLコレステロール(60〜140mg/dl)=別名“悪玉コレステロール”。肝臓で作られたコレステロールを血管に運ぶ役割があり、それがたまって血管が老化する。数値が高いと血液中に脂質が多く含まれており、放置していると血管に血栓がこびりついて、脳卒中や心筋梗塞など致命的な病気の原因になる
★中性脂肪(トリグリセリド/TG)(50〜150mg/dl)=おもに体内であまった糖質が脂肪に変化したもの。数値が高いと、LDLコレステロール同様、動脈硬化を進行させる。メタボリックシンドローム予防には、この2つの数値を下げることが不可欠
★血糖値(70〜110mg/dl)=血糖値は食後30分くらいから上がりだし、1時間後ぐらいにピークに。その後、2〜3時間後にもとに戻る。ただし、健康な状態では、血液の中の血糖の濃度はほぼ一定に保たれており、食後でも、140mg/dlを超えることはない。血糖値が高くなるのは、すい臓からのインスリンの分泌が減少したり、働きが悪くなっているため。やや高い状態を放置していると、本格的な糖尿病を発症する
★ヘモグロビンA1c(4.3〜5.8%)=糖と結合したヘモグロビンの量を測る検査で、検査前1カ月間の平均的血糖値がわかる
★γ−GTP(成人男性は50IU/リットル以下、成人女性は32IU/リットル以下)=肝臓や胆管の細胞がこわれると血液の中に出てくる酵素の量を測る。この数値だけが高いと、アルコール性肝障害や脂肪肝が疑われる。数値が50〜100の場合は、週に2日は休肝日を設けること
★AST(GOT)、ALT(GPT)(〜33IU/リットル/37℃、〜43IU/リットル/37℃)=いずれも、おもに肝臓の機能を見る数値。飲みすぎが大きく影響し、数値が高い人のほとんどがアルコール性脂肪肝。100以下で原因がお酒にある場合は、休肝日を設けたり、禁酒することで数値は下がる
★ALP(アルカリホスファターゼ)(80〜260IU/リットル)=脂肪を消化する胆汁が通る管の胆道が詰まったり、がんの骨転移、骨折などで数値が上がる。γ−GTPと同時にチェックすることが大切で、γ−GTPだけならアルコール性の肝障害、両方が上がっていると胆道系の病気が疑われる
★尿酸値(男性3〜7mg/dl、女性2〜7mg/dl)=尿酸とは、食べ物や飲み物に含まれるプリン体が分解されるときにでるカスで、激痛を伴う痛風の目安になる。尿ではなく血中濃度で測定。痛風発作だけでなく、腎臓にたまると腎不全を引き起こすので要注意
★尿素窒素(9〜21mg/dl)、クレアチニン(男性0.65〜1.09mg/dl、女性0.46〜0.82mg/dl)=血液中の老廃物を尿として排出する腎臓のろ過機能を調べる検査。数値が上がると腎臓の病気を疑うが、栄養状態や脱水などでも変動する
★尿検査(陽性(+)か陰性(−)かを表記)=ポイントは、尿糖、尿潜血、尿たんぱくの3つ。尿糖が高い場合は糖尿病の可能性大。尿潜血(血尿)は、尿路結石や膀胱炎、膀胱や腎臓のがんなどの場合にでる。また、尿たんぱくは正常時でも微量に混じるが、慢性腎臓病の可能性もある