飲んで健康!コーヒーは“メタボ世代”の強〜い味方

働き盛り世代にとって、コーヒーブレークは貴重なリラックスタイム。実は、このコーヒー、心理的な要因だけでなく、医学的にもさまざまな健康に役立つ作用があることが実証されている。注目は、動脈硬化に合併した血栓の予防。一杯のコーヒーが、心筋梗塞や脳梗塞の予防につながる可能性がでてきたというのだ。ほかにも血糖値の上昇を抑制したり、ダイエットの手助けをしたり…。体には比較的良くないイメージもあったコーヒーだが、実は、“メタボ世代”の強〜い味方といえそうだ。
◇
突然死や重大な後遺障害を残す危険性がある脳梗塞や心筋梗塞。東海大学医学部内科学系(循環器内科)の後藤信哉教授は、「こうした血栓性疾患(アテローム血栓症)の予防に、コーヒーが役立つ可能性がでてきた」と話す。
アテローム血栓症は、動脈硬化による血栓が引き起こす病気。そのメカニズムはこうだ。加齢や生活習慣などから動脈硬化が進行すると、血管の内側の壁の中に酸化した脂肪などがたまり、おかゆのようなドロドロとした状態になる。プラークとも呼ばれるアテロームの動脈硬化病巣だ。
「長く使用している水道管にゴミがたまるように、加齢によって、人間の血管内壁にもコレステロールなどがたまる。誰にでも起こりうるのが動脈硬化」と同教授。
これを放置していると、「突然、やわらかい血管の壁が破れて、血の塊である血栓ができる」(同教授)。この血栓が大きくなって、動脈の内腔をふさいだり、はがれて血液中を流れ、小さな血管に詰まったりするのが、脳梗塞や心筋梗塞の原因だ。
ところが、後藤教授によると、コーヒーには、こうした血栓の形成を阻害する力があるという。動脈硬化でプラークが破れた血管を再現した実験では、「1杯のコーヒーを飲んだ30分後の血液と、飲用しなかった血液を比べると、コーヒーを飲用したほうが明らかに血栓の全体量が少なく、1個1個の血栓の大きさも小さかった」と同教授。「コーヒーに含まれているキサンチン(カフェインなど)が血栓の原因となる血小板の働きを抑制する」というのがその理由だ。
血小板は、血液中にある出血を止める血液成分。通常は、血液の中を流れていても、血管の内壁に張り付くことはないが、「動脈硬化によって、血管内皮機能が低下する(血管が硬くなる)と、内皮と内皮の間の溝に血小板がくっついて血栓ができる」(同教授)。また、プラークが破れて血管内皮に傷が付くと、その部分に血小板が粘着し、これに、血液中を流れる血小板や赤血球が次々と付いて、塊がどんどん大きくなっていくが、コーヒーには、こうした血小板の働きを抑制する力があるという。
また、コーヒーは、全身の血管内皮細胞の機能も改善。特に、「糖尿病や高血圧、高脂血症などがある中高年世代は、コーヒーブレークがおすすめ」(同教授)という。
コーヒーには、このほかにも、別表のような健康に役立つ作用が。単なる息抜きでなく、健康になるために、ちょっとブレークを。今すぐにでも始めてはいかが。
【コーヒーを飲む量の上限は?】
さまざまな健康効果が期待できるコーヒーだが、過ぎたるは及ばざるがごとし。飲みすぎは禁物だ。慶應義塾大学医学部客員准教授の石川俊次さんによると、「常識の範囲内で飲むこと。1日5〜6杯程度なら大丈夫です」。また、カフェインには覚醒作用があるため、寝付きが悪い人は、夕方以降はカフェインが入っていないタイプのコーヒーを選ぶといい。
【コーヒーで糖尿病が予防できるってホント?】
糖尿病は、腎機能障害や網膜症などの合併症があるだけでなく、心筋梗塞の発症リスクを約5倍に、脳梗塞のリスクを2〜3倍にする病気。ところが、九州大学大学院医学研究院予防医学分野の調査によると、コーヒーを1日5杯飲んでいる人は、糖尿病になるリスクが約4割も低下するという。その理由は、「コーヒーに多く含まれているマグネシウムがインスリンの感受性をよくしていることが考えられる」(慶應義塾大学医学部客員准教授の石川俊次さん)。また、カフェインには短期的に血糖値を上昇させる作用があるが、「長期的には肥満を防ぎ、血糖値の上昇抑制につながる可能性もある。また、コーヒーの主要成分の1つであるクロロゲン酸が血糖値を抑制するという研究結果もある」(同)。
【ダイエットの味方】
慶應義塾大学医学部客員准教授の石川俊次さんは、「コーヒーには、交感神経の働きを促進し、脂肪の燃焼を助け、食欲を抑える働きがあることがわかっています」。交感神経は、心臓の動きや呼吸、体温などをコントロールする自律神経のひとつで、満腹感を感じさせる満腹中枢への指令と、満腹後の脂肪分解、脂肪燃焼を促す信号も発信している。コーヒー特有の香り成分や苦味成分が、この働きを亢進させていると考えられるほか、カフェインには、食欲を抑える作用とともに、脂肪燃焼にかかわる褐色脂肪細胞の働きを活発にする作用もあるという。
ちなみに、コーヒーをダイエットに上手に生かすには、(1)空腹時に香りを楽しむ(ガブ飲みをせず、ブラックで)(2)就寝前には飲まない(3)食後のコーヒーは、それ以後は間食をしないサインと考える(4)コーヒーを飲んでから運動する(コーヒーを飲んだ後は脂肪消費が高くなる)−が基本だ。
| ◆健康に役立つコーヒーの作用◆ |
|---|
| ★冷え性・高血圧の改善=カフェインには、心臓の働きをよくし、毛細血管を広げ、血液の循環をよくする働きがあり、冷え性や肩こりが改善されることがある。末端の毛細血管まで広げる作用があるので、高血圧の場合、血圧を下げることにつながる |
| ★運動中の酸素摂取量を増やす=ダイエットに適したウオーキングなどの有酸素運動の効率を上げるには、いかに酸素をたくさん摂取するかにかかる。コーヒーには、この酸素摂取量を高める効果があり、体内の脂肪の利用量を増やす効果も期待できる |
| ★空腹感をおさえ、食べすぎを防ぐ=食前にコーヒーを飲むと、食事の直後から継続して空腹感が抑えられる |
| ★血管を若く保つ=善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールの酸化を抑える効果があると考えられている。また、血管を詰まらせる血栓を溶かす血栓溶解酵素の活性化も |
| ★抗酸化作用でがん予防=コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種。がん発症のリスク軽減につながるといわれている |
| ★昼寝前のコーヒーで目覚めスッキリ=昼寝は20分ほどが望ましいとされるが、コーヒーのカフェインが脳に届くのは、飲んでから約30分後。10分で眠りにつけば、起きるころにカフェインが効く |
| ★計算能力の向上=コーヒーに含まれるカフェインは脳の中枢神経に働き、計算能力や記憶力を高めると考えられている |
| ★香りとカフェインでリラックス=コーヒーの香りを嗅ぐと、リラックスしたときの脳波であるα波が多くあらわれる。その効果は浅煎りより深煎りのほうが高い。また、カフェインにはストレスを軽減し、リラックスさせる効果が実験で確認されている |
| ★がん発症のリスクを軽減=国立がん予防・検診研究センターなどの調査によると、コーヒーを毎日飲む人は、肝がん発症リスクが、ほとんど飲まない人の約半分。食道がんや胃がん、直腸がんなどに関してもリスク軽減の可能性があるといわれている |

