グルメ・情報

2007年09月21日 紙面より

農家レストランで実りの秋食す 旬の野菜がいっぱい!

懐かしい雰囲気が漂う「百姓屋敷じろえむ」の母屋の座敷。ここで食べる食事の味は格別

メニューはその日に採れた野菜次第(百姓屋敷じろえむ)

かまどで炊いた新米は香りも高い(百姓屋敷じろえむ)

こだわりの野菜が満載の「農家の台所 くにたちファーム」

自家栽培の野菜や地元の食材を使った農家レストランが注目を集めている。“野菜のプロ”たちがていねいに育てた、とれたて・新鮮・こだわりの野菜は味が濃いと大評判。つやつやと光る新米の炊き立てごはんや野菜をふんだんに使った郷土料理から、うどんやそば、イタリアンまで、メニューも多彩だ。実りの秋。少し遠出して、農家レストランで旬の野菜の甘みとうまみを味わおう!

かやぶき屋根の大きな長屋門と、その奥の、徳川吉宗の時代に建てられたという築300年の母屋。千葉県南房総市にある「百姓屋敷じろえむ」(TEL0470・36・3872)は、14代続く農家の当主、稲葉芳一さん(52)が、有機栽培で育てた米や野菜を食べさせてくれる農家レストランだ。

東京ドームの2倍以上、約10万平方メートルの敷地にある畑ではトマトやナス、ピーマン、オクラ、春菊など、年間約60種類の野菜を育てており、いつも何かしら旬の野菜が収穫を待っている。

ランチタイムだけの営業で完全予約制。その日、収穫された野菜を使っているため、「どんなメニューになるかは畑次第」と稲葉さん。メニューはおまかせコース(1575円〜)のみで、オクラのごま和えやモロヘイヤのトロロ仕立てなど、野菜そのものの甘みやうまみが口の中に広がる。「手間をかけないで、なるべく食材の味を生かすようにしている。野菜嫌いのお子さんでも、うちの野菜ならおいしく食べられる」(同)のが自慢だ。

ご飯も、おばあちゃんのち江さん(82)が、昔ながらのかまどで薪をくべながら炊いた白飯。つやつやと炊き上がった白飯は、噛めば噛むほど甘みがでてくる。ち江さんが漬けた野菜の漬物や梅干しとの相性もバツグンで、ふだんあまりごはんを食べないという40〜50代の女性が、3膳もおかわりすることが珍しくないという。

「本物の野菜や米、卵のおいしさを都会の人にも知ってもらいたかった」(稲葉さん)とはじめた同店も、今年で11年。「ここに来ると『ただいま』といいたくなる」「親戚のおばあちゃんの家に来たみたい」と評判で、予約がとれない日も多い。

注目を集める農家レストラン。その数は年々増加しており、現在では、少なくとも全国に500軒以上あるという。(財)都市農村漁村交流活性化機構(まちむら交流きこう)グリーンツーリズム部の濱口京子さんは、「健康を気にする人が増え、食の安全・安心にも注目が集まっている。農家レストランなら、作り手の顔が見え、どんな畑で育っているかもわかる。リタイア世代の“プチ田舎生活”へのあこがれも、人気に拍車をかけたのでしょう」と背景を説明する。

実りの秋。作り手の顔が見える、とれたての旬の味覚を食べに、農家レストランを訪れてみてはいかが?

★とれたて野菜が勢ぞろいする「農家の台所」

現今年1月にオープンした「農家の台所 くにたちファーム」(東京都国立市、TEL042・571・4831)。AVメーカー「ソフト・オン・デマインド」代表取締役を引退した高橋がなりさんが始めた野菜のためのレストランだ。人気は、全国の契約農家から毎朝届く、サラダえのき、生で食べられるトウモロコシなど珍しい野菜15〜20種類が並ぶ「井戸サラダバー」(525円、写真上)。ディナーの「旬野菜たっぷり農家の台所コース」(5019円)は、「30種類以上の野菜が食べられ、かつ1日の野菜の必要摂取量350グラムを軽く超える」(社長室広報・中野紀子さん)。10月1日から改装のため一時休業。10月25日のリニューアルオープンでは、自分で好きな野菜を収穫して調理方法を選ぶ「トロ箱野菜の畑」が再登場する。

★支配人が自ら野菜を育てるレストラン

神奈川県鎌倉市のイタリア料理店「リストランテ・ア・リッチョーネ(TEL0467・24・5491)」は、週末はランチタイム、ディナータイムともにほぼ満席、平日もランチは予約でいっぱいになる人気店。自慢は、支配人の飯田博之さん(48)が市内にある約2000平方メートルの畑で種から育てた、ナス、トマト、ピーマン、パプリカ、ハーブなど、約40種類の無農薬野菜だ。野菜がメーンになった料理は約10種類。長ナスを丸々1本備長炭で焼いてオリーブオイルと塩をかけた「ナスの炭火焼き」(630円)などシンプルな料理が中心で、「太陽をいっぱい浴びて育った野菜は、味が濃い。イタリア料理は素材の味が重要。自分で作るほうが圧倒的にうまい」(同)。


◆各地の農家レストラン◆
★愚為庵/千葉県御宿町/TEL0470・68・5927=築200年以上のかやぶき屋根の民家を使用。自家栽培のシイタケや野菜、地元の魚を中心とした懐石料理が味わえる。昼・夜のコース(3675円〜)に加え、土日祝のランチタイムは、お試し膳(2500円)も用意
★農家茶屋とうしょう庵/群馬県吉井町/TEL027・388・4667=自家栽培の小麦やそば、野菜を使った料理が自慢。客室は古い農家の離れを利用。酢の物、ごま和え、白和え、煮物、茶碗蒸し、天ぷらなどがついたうどん会席(1500円)とそば会席(同)の2種類
★花農場あわの/栃木県鹿沼市/TEL0289・83・7787=約200種類のハーブや花に囲まれた農場の中にある。野菜のほとんどは園内の畑で育て、注文を受けてから収穫に行く“今とり野菜”が特長。フレッシュハーブピザ(892円)、デザートセット(630円)など
★農家レストラン 菜の花/福島県相馬市/TEL0244・35・2401=ごはん、汁物に加え、5〜6種類の料理が並ぶ菜の花膳(1000円〜)のみ。デザートの青ノリアイスクリームは相馬市の新特産品作りコンテストで最優秀賞を受賞。11月からは本格手打ちそばも
★農家レストラン 蔵楽/宮城県大崎市/TEL0229・39・7548=明治時代に建てられた古い蔵を改造。旬の野菜サラダや手打ちそば、骨付き肉を使った豚のあら汁、手作りハムなどが並ぶセットメニュー(2100円〜)が評判。野菜収穫、ソーセージ作りの体験も
★農場レストラン 穂波街道/山形県鶴岡市/TEL0235・23・0303=田園地帯の真ん中に立つ本格派イタリアン。直営農場や地元農家の有機栽培の野菜やハーブ、アイガモ農法で育てられた米などを使用。本場で修行したナポリ風ピザ(980円〜)を中心に展開
★農家レストラン エルベ/山形県飯豊町/TEL0238・86・2828=地元農家の主婦たちの手作りピザ(950円〜)が人気。台から手作りしたピザは石窯で焼く本格派。目の前のハーブ園で作られたハーブや地元の新鮮野菜をふんだんに使用
★ペンション&農家レストラン ル・カルフール/青森県弘前市/TEL0172・83・2324=自家農園の野菜や果物、ハーブとニジマスを使ったオリジナル欧風料理。ランチコース(1600円〜)、ディナーコース(4200円〜)。野菜収穫、ニジマス釣り体験などもできる
※予約営業をしている店も多いため、詳細は直接確認のこと