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2007年09月15日 紙面より

ED勃ち向かえ中高年 投薬効果は絶大

全国に1100万人以上の患者がいるといわれるED(勃起不全)。「常に性交できない」完全EDと、「ときどき性交できない」中等度EDを合わせると、その数は40代で5人に1人、50〜60代では約半数にも及ぶという。加齢だけでなく、生活習慣病やストレスとも密接に関係し、中高年男性なら誰にでも起こりうる身近な病気だが、男性としての自尊心にもかかわるだけに、悩みは深刻だ。その原因と予防&治療法は?

中高年男性の多くが「年のせい」とあきらめてしまっている性機能の低下。ED(勃起不全)治療に詳しい浜松町第一クリニック(東京都港区)の竹越昭彦院長は、「悩んでいる人が非常に多いにもかかわらず、実際に医師に相談しているのは、全体の3〜5%と少ない。ED治療薬は非常に効果が高いので、恥ずかしがらずに受診してほしい」と強調する。

実際、同院には、約20人の新患を含め、1日約100人が来院するが、「重症の糖尿病からくるEDやうつ病の治療薬による薬剤性EDなどを除くと、ほぼ100%の人が、満足な性行為ができたと、治療薬の効果を実感している」という。

勃起のメカニズムはこうだ。性的な刺激を受けるとその刺激が神経を介して陰茎に伝わって、サイクリックGMPという物質が増え、陰茎海綿体の動脈が拡張。急激に血液が流れ込むと同時に、陰茎から血液を排出する静脈が閉ざされ、海綿体が血液を吸い込んで大きく硬くなる。

勃起した状態を保つには、「サイクリックGMPが陰茎内にとどまっていることが大切。この物質は、たちっぱなしになるのを防ぐPDEという酵素で分解されるため、加齢やストレスなどでサイクリックGMPの分泌量が減り、PDEの方が多くなると、勃起しない、中折れするといったことが起こる」(同院長)。「バイアグラ」などのED治療薬は、「PDEの分泌を阻害することで、勃起を助ける」(同院長)という。

また、十分な血液量が陰茎に流れ込まないことでも、勃起は不完全なものになる。「働き盛り世代は、血管に影響を与える高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病による影響が大きい」と竹越院長。

高血圧では、血管にストレスがかかって硬く狭くなり、その結果、陰茎の血流を抑えてしまうと考えられる。糖尿病は、血管や神経が障害されるため、血管が硬くなるとともに、性的刺激による血管の拡張が起こらなくなることがある。仕事や家庭でのストレス、喫煙やアルコールの飲みすぎなどもEDを助長する。

竹越院長は、「予防や症状の改善には、生活習慣の見直しと、生活習慣病の予防や治療が大切。メタボリックシンドローム予防がそのまま、ED予防になる」と話す。

とはいえ、すでにEDになっている場合は、「まずは専門医を受診すること」と竹越院長。治療は投薬が中心で、診察は問診のみ。「血圧を測ることはありますが、性器を見せる必要はまったくない」(同院長)。

EDを克服したことで、人生に前向きになった、自信を取り戻せたという人も多い。EDかどうかをチェック(表)し、恥ずかしがらず、専門医に相談することが大切だ。

【EDが警告する病気】

陰茎海綿体の血管は、人間の血管の中で一番細い。この血管が硬くなり、血流が不十分になることも、ED発症の原因の1つ。そのため、EDは、体のほかの血管が深刻な動脈硬化を起こす前に起こることが多く、「心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中などの初期の危険信号になる」(竹越院長)という。また、EDは、高脂血症や高血圧、糖尿病など生活習慣病にともなって起こることも多く、「働き盛り世代がEDになった場合、メタボリックシンドロームや生活習慣病に罹患していないかどうかを確認するべき。EDで自信喪失するのではなく、病気を早期発見できるいい機会と考えてください」と竹越院長はアドバイスする。

【ED治療薬】

 日本で市販されているED治療薬は、「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類。購入には医師の処方箋(せん)が必要だ。服用は、いずれも1回1錠で性行為をする1時間以上前が基本。「空腹時に飲むこと。すきっ腹でお酒を飲むと酔いが早く回るのと同じで、ED治療薬も満腹状態では効果が薄れる」(竹越院長)。特に、焼肉、天ぷら、トンカツなど、こってりしたものを食べた後は、ほとんど効果がなくなるという。効果が持続する時間は、薬によって5〜6時間から36時間とまちまちだ。
   ED治療は保険適用外で、薬代は、同院の場合「バイアグラ」「レビトラ10ミリグラム」が1錠1500円、「レビトラ20ミリグラム」が2200円、「シアリス」が2300円。心筋梗塞や狭心症などの既往歴がある場合も、医師の診断で服用が可能になることがある。ただし、「ニトログリセリンなど、心臓病の薬を使用している場合は、命の危険があるので使えない」と竹越院長。最近はインターネットなどで偽薬も多く出回っており、「事故を防ぐためにも、必ず自分で専門医を受診すること」(同院長)。

 
EDチェックシート
※最近6カ月以内の状況から回答
(1)勃起を維持する自信はどれくらい?==非常に低い(1点)、低い(2点)、普通(3点)、高い(4点)、非常に高い(5点)
(2)性的刺激を受けたとき、挿入可能な硬さになった回数は?=性的刺激が1回もない(0点)、ゼロまたはほとんどなし(1点)、たまに(2点)、半分(3点)、半分よりかなり多い(4点)、毎回またはほぼ毎回(5点)
(3)性交中、挿入後も勃起を維持できた回数は?=性交していない(0点)、ゼロまたはほとんどなし(1点)、たまに(2点)、半分(3点)、半分よりかなり多い(4点)、毎回またはほぼ毎回(5点)
(4)性交終了まで勃起は維持できる?=性交していない(0点)、ほとんど維持できない(1点)、維持がかなり難しい(2点)、困難(3点)、維持できないこともある(4点)、問題なし(5点)
(5)性交を試みたとき、満足に性交できた回数は?=性交していない(0点)、ゼロまたはほとんどなし(1点)、たまに(2点)、半分(3点)、半分よりかなり多い(4点)、毎回またはほぼ毎回(5点)
EDなし/22点以上、軽度ED/17〜21点、軽度〜中等度ED/12〜16点、中等度ED/8〜11点、完全ED/7点以下 〈出典:IIEF5(国際勃起機能スコア)〉