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2007年08月25日 紙面より

もしかして呑気症!?その「ゲップ」や「オナラ」大丈夫?

ビールや冷たい炭酸飲料などを飲む機会の多い季節。予期せぬゲップを連発し、恥ずかしい思いをした人も多いのでは。このゲップやオナラ、実は「呑気(どんき)症」といい、日本人の約8人に1人に見られるというれっきとした病気だ。唾液(だえき)を飲み込むときに同時に飲み込む空気の量が多いことなどが原因だが、ストレスが多い人や神経質な人に多くみられ、放置すると、胃や腸の症状だけでなく、心臓の圧迫感や痛みを招くことがある。アナタのゲップは大丈夫ですか?

最近、やたらとゲップやオナラをする回数が増えた。胃にぼうまん感がある。のどが締め付けられているような感じがする。心臓が苦しくなる…。心の問題に起因して起こる身体症状に詳しい、ベイサイドさちクリニック(横浜市中区)の小野繁院長は、「こうした不快な症状があるにもかかわらず原因がわからない場合、『呑気症』の可能性が高い」という。

「呑気症」とは、空気を飲(呑)み込むことで身体に障害が起こる病気。小野院長は、「緊張やストレスで歯を噛み締める(奥歯を合わせる)ことが原因。ストレスのバロメーターでもある」と説明する。

人間は、緊張すると通常、無意識に口元を真一文字に締め、奥歯を噛み締める動作をする。このとき、「舌が上あごにくっつき、その反射で唾液とともに空気を飲み込む」と小野院長。1回に飲み込まれる空気の量は3〜5ccで、1日50ccぐらいまでなら正常の範囲内だが、ストレスにさらされ、いつも噛み締める動作をしていると、「胃や腸に300〜400ccの空気がたまることもある」(小野院長)。

その結果、たまった空気を排出しようと、ゲップやオナラが異常に増える。空気が逆流して、のどや食道がつまったように感じ、「これを解消しようとして、唾液を飲み込むと、さらに空気を胃の中に送り込むことになる」。たまった空気で膨らんだ胃は、通常の3倍以上に膨らむこともあり、これが心臓を圧迫し、動悸や心臓の痛みを引き起こす。また、噛み締めるという動作自体が、筋肉を緊張させ、あごやこめかみの痛み、肩こり、頭痛、腕のしびれ、耳鳴りを誘う。

恐いのは、本人にこうした自覚症状がありながら、なかなか原因がわからないこと。「痛みを感じる個所だけを病院で調べても異常は見られない。このため、患者のストレスが大きくなり、うつ状態になることもある」(小野院長)というから恐ろしい。

「呑気症」を防ぐには、「日頃から噛み締め動作をしていないかをチェックすること」と小野院長。夏は特にビールを飲むなどの機会が増え、空気が胃にたまりやすいほか、パソコンなど下向きで仕事をする機会の多い人は空気を飲み込みやすく、ガムを噛む、早食いをするといった習慣も「呑気症」を助長するので要注意だ。

「ゲップやオナラが異常に増えたときには、知らないうちにストレスがたまっている」と小野院長。ストレスを上手に発散して、嫌なゲップとおサラバしよう。

【ゲップとオナラのメカニズム】

「ゲップもオナラも胃にたまった空気をだすためのもの。もとは同じ空気です」と小野院長。
   胃は、入ってきた食べ物を消化するために、ぜん動運動をしている。このぜん動運動によって、胃の中央付近からくびれができ、「胃の上方に空気が押しやられる」。このとき、胃の上方の圧が高まって、食道の方へ空気が排出され、これがゲップとなる。「1回のゲップででてくる空気の量は、小さいので20〜30cc、大きいものだと150ccぐらいになる」。
   また、この空気がゲップによって排出されないときは「空気は腸に送られ、腸内の発酵ガスと混ざり、オナラになる」。

 

【「呑気症」とドクター・ショッピング】

小野院長は、「『呑気症』の患者には、ドクター・ショッピングをする人が多い」という。ドクター・ショッピングとは患者が次々と病院を変えることで、「呑気症」の場合、それぞれの臓器には直接の障害がないため、どの診療科で検査しても「異常なし」といわれるからだ。とはいえ、患者本人は、「のどがつまった感じがする」「胃部の不快感がある」など、身体症状を感じているだけに深刻。何度も検査をする身体的な負担や、経済的な負担に加え、不安が募ってうつ症状が起こることもある。こうした悪循環を防ぐため、小野院長は、「心の問題と関連して起こる身体症状を診断・治療する心療内科への受診」を勧める。

「呑気症」が引き起こす症状とその原因
★息苦しさ、心臓圧迫感、心臓痛=空気によって胃が膨らみ、心臓を圧迫することで起こる。左の背中が痛くなる、あばら骨にものがつまったような感じを受ける、動悸がするなど
★咽頭異物感、食道異物感、ゲップ=胃のぜん動運動によって、空気が胃の上部にたまり、食道や咽頭を圧迫。そのため、のどがつまったような異物感を覚える。この空気を外に排出しようとして、ゲップの回数が増える。横隔膜が圧迫刺激されてしゃっくりがでる
★胃部不快感、腹部ぼうまん感、オナラ=胃に送り込まれた空気をゲップなどで外にださないでいると胃や大腸に空気がどんどんたまる。この空気を排出するために、オナラがでる
★側頭部、あご、顔面の痛み=ストレスや緊張などで噛み締める動作が増え、その結果、ほほの筋肉(咬筋、側頭筋)の疲労が持続し、筋肉痛や関節周辺の痛みを起こす
★肩・首の痛みと凝り、上肢のしびれ=ストレスなどで肩や首から上が緊張し、筋疲労が起こったり血流が悪くなるのが原因
★筋緊張型頭痛=頭から首、肩にかけての筋肉の緊張が原因。血流が悪化、筋肉に疲労物質がたまり、神経を刺激して痛みが起こる
★ふらつき感、耳鳴り=噛み締める動作によって側頭筋に疲労がたまり、神経を刺激する。また、筋肉の疲労が耳管を圧迫し、耳閉感や耳鳴りなどが起こる
★目の奥の痛み=噛み締める動作によって側頭筋に疲労がたまり、前額部、目の周囲、目の奥に関連痛を起こす