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2007年07月28日 紙面より

シーズン到来! 海外での体調管理は大丈夫?

海外旅行シーズンがやってきた。景気回復を受け、夏休み期間中に海外に出かける人は6年ぶりに250万人を突破する勢いだが、心配なのが旅先での健康管理だ。慣れない海外への旅は、時差や気候の違い、長時間の飛行機移動などで、体にも心にも大きなストレスがかかるもの。旅先の健康を守り、せっかくの旅行を楽しく過ごすための“極意”とは?

旅行業最大手のJTBの調べでは、今年の夏休み期間(7月15日〜8月31日)中に1泊以上の海外旅行に出かける人は、前年比2・0%増の252万人。6年ぶりに250万人を突破した。

家族と、恋人と、心浮き立つ海外旅行。だが、そんな楽しい旅をぶちこわしにするのが旅先での病気。海外勤務健康管理センター所長代理で旅行医学に詳しい濱田篤郎さんは、元気に旅を満喫する“極意”として、「現地の衛生環境などの情報をあらかじめ調べ、注意事項を守ることと、旅行中は“もったいない”と考えないこと」という。

「“もったいない”をやめる」とは、「目一杯観光しないと“もったいない”」「食事を残すのは“もったいない”」という考えをやめること。 特に、何事も全力投球の中高年世代にはこうした考えを持つ人が多く、これが体調不良や、病気をもたらすのだ。

たとえば、出発時。「海外旅行への出発前、空港で狭心症の発作を起こす人は、意外と多い」と濱田さん。狭心症を持病に持つ人だけでなく、高血圧などの慢性疾患がある中高年世代は皆リスクを抱えている。休みを取るために過労気味になっていることに加え、飛行機に乗るというドキドキ感、さらに、「空港に来るまでの荷物の運搬が一番の原因。重いトランクを持って空港に来るのはかなりの重労働で、心臓への負担も大きい」(濱田さん)。

この予防には、「大きな荷物は空港の宅配サービスを利用すること。多少お金はかかっても、旅先での疲労の度合いも変わってくる」という。

一方、WHO(世界保健機関)などの調査では、旅先の健康トラブルでもっとも多いのが下痢。「1週間の滞在で、1割弱の人が起こす」(濱田さん)という。

水が合わないことや香辛料などによる下痢に加え、食中毒、赤痢やコレラなどの感染症もある。病原菌が体の中に入っても、必ず発病するとはかぎらないが、「旅行中は、時差や気候の違い、食べ過ぎなどによる内臓の疲れ、過密日程などで抵抗力が低下し、いつもより病気にかかりやすくなっている」(濱田さん)のが原因だ。

渡航先別の感染症の状況は別表の通りだが、基本は、生水と生ものは避けること。「意外と忘れやすいのが、氷や生野菜のサラダ、切ってある果物。サラダの野菜を洗うのにも水は使う。切ってある果物は断面に病原菌が繁殖していることもある」と濱田さん。ミネラルウオーターは、必ず有名ブランドのものを購入すること。「発展途上国では、ビンやペットボトルに入って売られていても安心はできない」(同)からだ。

せっかくの海外旅行。“極意”を守って、楽しい時間を過ごそう。

【デング熱に注意】

東南アジアに旅行する際に注意が必要な感染症が、発熱が1週間ほど続くデング熱だ。「東南アジアの中では感染症が比較的少ないと考えがちな都市部に多くみられるのも要注意な点」と濱田さん。蚊が媒介する病気だが、この蚊は夜でなく昼間に活動。「特に、シンガポール、ジャカルタ(インドネシア)、ホーチミン(ベトナム)などでゴルフや公園などに行く予定がある人は要注意。肌が露出している場所には、必ず虫除けスプレーなどでガードしてください」(同)。

【飛行機の中の過ごし方】

飛行中に特に注意したいのが、「旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)」だ。足の血管に血のかたまりができ、肺の血管を詰まらせるというもので、機内の乾燥による体内の脱水と、長時間動かないことが原因だ。
   予防するには、「水分の補給が大切。8〜9時間のフライトの場合、500ミリリットル程度の水分を少しずつこまめにとること」と濱田さん。「水より体への吸収がいいスポーツドリンクがおすすめ」(同)という。

【これだけは準備を】

高血圧や糖尿病などの持病の悪化に備え、「英文で病名や薬の名前などを書いた健康記録を持っていくと安心」と濱田さん。処方薬は通常の倍は持っていく。家庭常備薬は下痢止め、かぜ薬、頭痛薬の持参が基本だ。旅行中に具合が悪くなった場合はまず休息をとり、「熱がでたり、おなかが痛くなった場合は、市販薬を飲んで半日様子を見る。それでも悪化するようなら、病院へ」(同)。海外旅行傷害保険にも加入しておこう。

渡航地域別の病気&感染症予防
★中国=春から秋にかけ、北京や上海を含む全域で、赤痢や食中毒などの消化器系感染症とA型肝炎が発生。生水・氷、刺身などの生ものは避ける。狂犬病にかかった犬もいるので、むやみに犬には近寄らない
★香港=感染症が少なく、食中毒に注意するだけでほぼOK。生水・氷を避け、刺身などの生ものは控える
★台湾=夏は、赤痢や食中毒をはじめとする消化器系感染症やウイルス性肝炎の発生が増える。生水・氷、刺身などの生ものは避ける
★韓国=夏は日本同様、食中毒を中心とした消化器系感染症に注意。衛生状態のあまりよくない屋台で刺身などの生ものを食べるのは避けたほうがよい
★タイ=コレラや赤痢などの消化器系感染症、デング熱などが発生。生水・氷、刺身などの生もの、切ってある果物は避ける。特に、タイ名物の水上マーケットで切り売りされている果物やジュースは川の水で洗った包丁や食器を使っているので避けること。果物が食べたい場合は、丸ごと買って自分でむくとよい
★インドネシア=ジャカルタなどでデング熱が発生。生水・氷、切ってある果物は避ける。生ものは、食中毒やコレラ、屋台で切り売りされている果物やジュースは、食中毒や赤痢の心配がある
★ハワイ・グアム=リゾートホテルなどに滞在する場合は、日本と同じ感覚で問題ない。胃腸の弱い人は生水を避けミネラルウオーターを利用すること
★米国・カナダ=刺身、寿司なども基本的に問題なし。ただし、日本同様、暑いときには、食中毒が発生することもある。胃腸が弱い人は、生水を避け、ミネラルウオーターを飲むといい
★豪州・ニュージーランド=感染症の危険は日本と同程度。南半球では季節が冬にあたり、環境が急激に変化するため、かぜをひかないよう注意する。胃腸が弱い人は、生水を避ける
★欧州=南欧では、食べ物や飲み物による食中毒などが発生することがある。たまごによる食中毒は、先進国でも問題になっているので、十分に加熱調理したものを食べること
※詳細および上記掲載国・地域以外は、海外渡航者のための感染症情報FORTH(http://www.forth.go.jp/)で情報が入手できる。