軽症うつ病 ささいなことでイライラ危険

「最近、ささいなことでイライラする」「特に、理由はないのにイライラ感がとれない」…。そんな症状があるなら、「軽症うつ病」にご用心。特に、4月に異動や昇進があった働き盛り世代は、初夏に「軽症うつ病」を発症する危険性が高まるという。「5月病」の季節はまだ続いているのだ。イライラ感は、心身の疲れの蓄積が発する危険信号でもある。しっかり受け止め、予防対策を講じることが、本格的な「うつ病」へと発展させないために大切だ。
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新聞を読むのが面倒になる。駅まで行くのがつらい。最近、こんな気分が続いたら「軽症うつ病」の可能性ありだ。
杏林大学医学部精神神経科学教室の古賀良彦主任教授は、「軽症うつ病」の一番わかりやすいサインは、「イライラする、怒りっぽくなること」だという。
イライラの原因は、満員電車の車内が暑い、パソコンの調子が悪い、意味のない会議がだらだらと続くなど、「1つ1つは、周囲から見ても、自分で考えても、ささいなこと」(同教授)。だが、このイライラを何日も発散できずにためてしまうとさらに、自分に対してイライラし、他人のちょっとした行動や言動にいらだち、という具合に「イライラ感」がどんどんつのるようになる。
これが問題で、「やがて大きなストレスになり、心身の健康に影響を与える。日常生活の中で続くイライラ感は、『軽症うつ病』の危険信号なのです」(同教授)。
ところで、「うつ病」は、ストレスなどが原因で、心と体の働きを活性化するセロトニンなどの脳内伝達物質のバランスが乱れることで起こる病気だ。同教授は、「5月、6月は、『うつ病』の初診件数が激増します。特に、働き盛り世代を中心とする『軽症うつ病』の患者さんが多いですね」と話す。
原因の多くは、「心身の疲労の蓄積」(同教授)だ。働き盛り世代の場合、4月に異動や昇進などで、会社の中での立場が変わる人も多い。5月から7月ごろは、「周囲からは少し環境に慣れたかのように見えますが、サラリーマンにとって危ない時期。職種や責任が変わったことで、仕事が合わなくなったり、思い通りの力が発揮できなくなったりする。そういったことによる疲労がじわじわとたまるのです」(同教授)。その結果、「5月病」とも呼ばれる「軽症うつ病」を発症することがあるのだ。
“小さなストレス”である「イライラ感」は心身の疲れと連動しているが、「睡眠や休息だけでは解消できません。仕事以外の時間に、疲れない程度の趣味やレクリエーションを積極的にすることが大切」(同教授)。
例えば、翌日着ていく洋服のおしゃれな組み合わせを考える、料理を楽しむ、塗り絵をするなど、「毎日、ちょっとした時間でできることで、元気は取り戻せる。イライラがたまるのを防げます」(同教授)。
まずは、「軽症うつ病」の可能性をチェック(表)。自分なりの解消法を見つけよう。
【「うつ病」とは】
誰でも、仕事上の失敗や失恋、人間関係などで気分が落ち込むことがある。通常は数日で回復するが、いつまでたってもゆううつな気分が続き、元気がでないのが「うつ状態」。これが長く(2週間以上)続き、「自分はダメな人間だ」と考えるようになったり、物事を決められない、実行できないなど、日常生活に支障が出るようになるのが「うつ病」だ。杏林大学保健学部精神保健学教室の田島治教授は、「『うつ病』は症状と経過から診断される病気」と説明する。躁うつ病とも呼ばれる「双極性うつ病」と、うつ症状だけがある「単極性うつ病」がある。
【メランコリー型と非メランコリー型がある「単極性うつ病」】
杏林大学保健学部精神保健学教室の田島治教授は、「『単極性うつ病』には、メランコリー型と非メランコリー型がある。最近、非メランコリー型うつ病が非常に増えていますね」という。
「励ましは禁物で休息が基本」という、これまでの典型的な「うつ病」のメランコリー型と違い、「非メランコリー型は休息をとらないほうがいいものもある」と同教授。ゆううつな気分は続いていても、好きなことに対しては意欲がでることもあり、「精神的に打たれ弱い人に多く、自尊心の傷つき」(同教授)が特徴だ。
治療には、「まず、『うつ病』のタイプを知ることが大切」(同教授)。非メランコリー型には、「うつ病」の診断基準を満たさない軽症の「うつ状態」が長く続いている人も多いが、「ごく軽症の場合、抗うつ薬による治療は1〜2週間慎重に経過観察をした上で行うべき。一見軽くみえても、重症なこともある。その場合は専門医に相談すること」(同教授)という。
【ストレスはその時々にリセットする】
「1日のストレスをその日のうちに発散するだけでなく、その場その場でストレスをリセットすることが大切」と古賀教授。1日中、朝から晩まで続く小さなストレスをため続けると、「どんどんストレスが大きくなり、イライラ感が強くなる」(同教授)からだ。
働き盛り世代にとって、1日の最初のストレスは満員電車。混んだ電車でのイライラを緩和するのに意外に役立つのが、「ミントガムを噛むこと。市販のミントガムを5分間噛む実験をしたところ、明らかにストレスが減少することがわかりました」(同教授)。
特に、満員電車でのストレスが大きくイライラしがちな人ほど、効果が高かったという。
| 「軽症うつ病」チェック |
|---|
| ★早く目が覚めるが、布団の中から出られない |
| ★ヒゲを剃る、化粧をするなど、身だしなみを整えるのがおっくうになった |
| ★朝ごはんがおいしくない、食欲がわかない、食事の味がしない |
| ★いつも読んでいる新聞を開く気がしなくなった |
| ★駅に行くまでに家に引き返してしまう、電車に乗れない |
| ★怒りっぽくなり、自分に対して情けないという気持ちやイライラが止まらない |
| ★「おはよう」「ありがとう」など、今までふつうに言っていた言葉が出てこない |
| ★誰とも話したくない、口数が減ってきた |
| ★楽しくない、あらゆることに対して意欲がわかない |
| ★仕事の効率が落ち、ミスが増えた |
| ※上記の設問にたくさん丸印がついた人や、いずれかの設定の症状が強い人は要注意。「軽症うつ病」の可能性がある。 |

