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2007年04月28日 紙面より

乾燥させて水虫退治 爪の中を治さなければ完治せず

水虫がうずく季節がやってきた。水虫は、日本人の5人に1人がかかっている国民病。その半数近い1100万人が爪の水虫「爪白癬(つめはくせん)」を持っているという。この「爪白癬」とは水虫の原因となる白癬菌の貯蔵庫といえる存在で、これを治さないと永遠に水虫は治らないのだ。1日中靴を履くことの多い働き盛り世代は、水虫世代でもある。今年こそきちんと治して、「水虫お父さん」の汚名を晴らそう。

帝京大学医学部皮膚科の渡辺晋一主任教授によれば、「水虫は、白癬(はくせん)菌という真菌(カビ)が寄生して起こる感染症」。白癬菌の栄養源は、皮膚の一番外側に位置する角質層だ。皮膚の角質や爪、毛にあるケラチンというタンパク質が大好物で、「アカになってはがれ落ちる皮膚の角質層や爪に生息します。角質層は、新陳代謝によって1カ月周期で白癬菌がついたままはがれる。家中に菌を撒き散らしていることになりますね」(渡辺教授)。

これが、自分や家族のお風呂上りや汗で湿った足の裏につく。白癬菌が付着したまま靴下や靴を履き、蒸された状態で半日ぐらい過ごすと、感染が成立するわけだ。

「白癬菌はゴルフ場の浴室や温泉場、サウナの足ふきマットにも、ほぼ100%いるので注意が必要」(同教授)だ。

これほど身近に白癬菌がいながら感染しない方法はあるのか。同教授がすすめる水虫にならないための予防法は表の通りだが、特に大切なのは「足の乾燥」だ。

同教授は「風呂上りにすぐに靴下を履かないこと。朝、シャワーを浴びてすぐに仕事にでかけるのは禁物。足はしっかり乾かすこと」と警告する。また、足をむやみにゴシゴシ洗うのは水虫予防どころか、感染の原因に。「角質層にきずがあると水虫に感染しやすくなる」(同教授)のだ。

治療は塗り薬が基本で、医師の指示に従って1カ月以上毎日定期的に塗り続ける。再感染予防のために「治った後も、週に2回ほど薬を塗ることも大切」(同教授)。

これに加えて大切なのは「爪の水虫をきちんと治すこと」だ。というのも、「『爪白癬』は、たえず水虫菌を爪の中に飼っている状態。足の水虫を治しても、爪の水虫が治っていなければ、またすぐ感染する」(同教授)からだ。

「爪白癬」には、抗真菌薬の内服薬を使用。主流は「ラシミール」の連続投与や「イトラコナゾール」によるパルス療法で、「パルス療法は、1週間服用して3週間休むサイクルを3回(3カ月)繰り返す治療法。爪の中に薬効が蓄積するため、薬を飲む期間はトータルで21日間。肝臓への負担も少ない」(同教授)という。

「水虫かな?」と思ったら、まずは皮膚科を受診。症状が消えたからと安心せず根気よく治療すれば、水虫は治せるのだ。

【民間療法で水虫は治らない】

「民間療法では、水虫は治りません。かえって悪化することが多い」と渡辺教授。例えば、患部に酢を塗るという方法は、実際は、酢がしみて痛いのでかゆみが薄れ、効果があるような気になっているだけ。「白癬菌が死ぬような高濃度の酢の場合、治るより先に足の皮膚がただれます」(同教授)。ニンニク、アロエ、ショウガ汁などは、「科学的な根拠はまったくない」と同教授。
   また、白癬菌が40〜50度の環境で死滅することから、炎天下の砂浜を素足で歩くといいという人もいるが、白癬菌が死ぬ前に、足の裏をやけどするのがおちだ。日光浴で足に太陽光線を当てるという方法も、「紫外線には殺菌力はありますが、通常の太陽光線に含まれる紫外線ではほとんど効果なし」(同教授)。
   こうした民間療法は効果がないばかりか、むしろ悪化の原因にも。水虫治療には皮膚科で処方された薬が早道なのだ。

【水虫の自己診断はトラブルのもと】

実は、水虫は見た目だけでは診断が難しい病気。渡辺教授も「足にできた皮膚病だからといって水虫とは限りません。水虫だと診療に来る人の約13%は別の疾患。顕微鏡できちんと検査しないと正しい診断はできない。経験を積んだ専門医でも、見た目で判断すると、2割ぐらいは間違える」というほどだ。
   それだけに、自己診断で水虫の市販薬を誤って患部につけると、「治るどころか、症状は悪化します」と同教授。
   水虫に似た症状なのは、手の平や足の裏に小さな膿(うみ)ができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」など。水虫の塗り薬をつけたことによる「接触性皮膚炎」も多い。「爪白癬」に似た症状には、血圧の薬などが誘因となる「扁平苔癬(へんぺいたいせん)」や「乾癬」などによるものがある。
   逆に、水虫なのに、湿疹などに使う外用ステロイド剤を塗ると、白癬菌が広がって悪化するため、注意が必要だ。

水虫予防のための4カ条
★その1・感染源を避ける=スリッパ、サンダル、足拭きマットはこまめに洗う。また、家族内感染を防ぐために、水虫患者とのスリッパやサンダルの共有は避ける
★その2・清潔にする=毎日、石けんを使って足、特に指の間をよく洗って汚れを落とす。これからの季節は、外出から帰ったら、まず足をシャワーで洗う習慣を。ただし、ゴシゴシ洗いは禁物
★その3・乾燥させることが大切=せっかくきれいに足を洗っても、指の間などに水分が残っていたら水虫の温床に。きちんと水気をふき取り、風呂上りにすぐに靴下を履くのは避ける
★その4・通気を心がける=靴と靴下は、通気性のあるものを選ぶ。靴は2〜3足用意してローテーションで履く。靴は陰干しで、中までしっかり乾かす。長時間靴を履き続ける人は時々脱いで風を通す。靴下は、吸湿性・通気性のよい綿素材のものを選ぶ
水虫の種類
★趾間(しかん)型=最も多いタイプの水虫。足の指の間が白くただれたり、皮がむけてくる。薬指と小指の間が白くふやけて皮がむけることが多く、症状がひどくなるとむずがゆくなることも
★小水疱(しょうすいほう)型=5月初旬ごろから梅雨時に増える。土踏まずや足の側縁に軽い赤みを伴う小さな水疱(水ぶくれ)が多発。水疱は約1週間で乾燥し、ぼろぼろ皮がむけてくるが、他の部位に新しい水疱ができ、少しずつ広がる
★角化型=乾燥による肌荒れに似ているため水虫とわかりにくいやっかいなタイプ。特にかかとの部分の角質が厚くなり、表面がザラザラして白い粉がふいたようになる。かゆみなどの自覚症状がないため、アカギレなどと間違えることも多い
★爪白癬=爪の先の方が黄白色に変色し、爪の厚みが増す、爪の水虫。見た目の悪さだけでなく、白癬菌の貯蔵庫になるため、水虫を繰り返す一番の原因に。かゆみはない