商店街、画期的に活気 「温もりとふれあい」がウリ

「一日丁稚体験」など大阪ならではの企画で集客に力を入れる天神橋筋商店街。たこ焼きなど地元グルメを楽しむ人も多い

ねずみ小僧のオブジェやシャッターの絵にも江戸の風情を感じさせる東京・浅草伝法院通り
大型スーパーや量販店の進出で客足の遠のく商店街が多い中、最近、独自の取り組みで活性化を果たした商店街が目立ち始めた。元気の秘密は、伝統芸能や江戸町などの文化をテーマにしたり、街全体の案内をする施設の設置、御用聞きビジネスの展開など、それぞれの地域色を重視した街作り。商店街ならではの人と人との関わりを大切にする姿勢は、地元住民はもちろん、周辺に住む人々、さらに観光客らの注目も集めている。元気な商店街から街は変わっていく。
◇
「2月17日の『芸能てんこ盛りツアー』は、めちゃめちゃ人気やった。定員の2倍ぐらい予約に来はった。回数、増やさなあかんわ」。そう話すのは、国土交通省の観光カリスマでもある、天神橋筋商店街(大阪市北区)の土居年樹会長だ。
「芸能てんこ盛りツアー」とは、上方落語の名作の舞台を旅し、大阪の食文化を楽しむ定期イベント。昨年9月、地元の大阪天満宮敷地内に商店街の協力で上方落語の寄席「天満天神繁昌亭」が誕生したのを機に企画した。土居会長は、「街に文化がなければ、商店街は崩壊する。『天満天神繁昌亭』ができて、商店街に遠くからもたくさん人が来るようになったし、ツアーは、大阪天満宮の発着やから、商店街の集客にもつながる」。
約500年の歴史を誇る同商店街は、直線に続く商店街としては日本一の長さ(全長2・6キロ)を生かして、端から端まで歩くと「満歩状」を授与するほか、「大阪の売りは大阪商人」(同会長)と、修学旅行生が屋台で商売を体験する「一日丁稚体験」も実施中。
こうした集客への努力が実を結び、天神橋2丁目商店街周辺では、バブル期の約3倍という1日3万人が訪れる。
一方、東京・浅草の仲見世近くの伝法院通りでは、平成17年から景観を整備。江戸の町をイメージし、軒先の瓦の形状や積み方を工夫し、屋根の上に半鐘やねずみ小僧の人形を置くほか、砂を貼り付けた板を敷いた道路や、シャッターに江戸風の絵を描くなど、細部にまでこだわった。
浅草伝法院通り商店街振興組合の廣瀬吾郎理事長は、「仲見世からこの通りにお客さんが曲がって来るなんて夢のまた夢だったのに、今は大勢の人が来る。来街者は5倍以上」と成果を誇る。
ほかにもさまざまな取り組みで元気を取りもどした商店街は増えつつある(表)。成功の背景にあるのは商店街の人々の意識だ。土居会長は「個々の店が、商品を売るだけでなく商品の知識や文化を伝えることで、お客さんがまた来ようという気になる。おまけをもらったり、値切ったりという駆け引きも商店街ならでは。イベントは、大勢の人にこうした商店街の良さを知ってもらう機会になる」とみる。
また、廣瀬理事長は、「商店街の魅力は、お客さんが店の人と会話を楽しめること。商店にとっては、親戚並みの付き合いができるお客さんをいかに増やすかが大切」。
手作りコロッケや手作りのポテトサラダなど、郷愁を誘う人気商品も多い商店街。スーパーやコンビニとは違う「人の温もりとふれあい」を武器に、商店街は街の活性化の要となっている。
★商店街版「御用聞きビジネス」
高齢者や、なかなか買い物にいく時間がない人のために、平成11年から「宅配サービス」を始めたのが東京都板橋区の中板橋商店街だ。電話やファクスで注文を受けた担当者が、商品を商店街で買い集め、午後4時以降に届ける仕組みで、料金は1回300円。電気自動車を使い5キロ圏内が配達区域だ。同商店街振興組合の岡田武二郎理事長によると、「利用登録している人は120〜130人で、常連さんも20〜30人。高齢者が中心ですが、乳児がいる主婦や共働き家庭の方にも喜ばれています」。また、商店街事務所に併設した宅配センターでは、買い物客の荷物の宅配も1回300円で受け付ける。岡田理事長は、「何回も立ち寄って荷物を預け、買い物が全部終わってから宅配を頼む方もいる。商店街に買い物に来る動機になってほしいですね」。
★地域コミュニケーションの核に
吉祥寺サンロード商店街(東京都武蔵野市)では、平成16年6月に、商店街の中に「吉祥寺まち案内所」を開設した。吉祥寺の街全体の案内や店の紹介などをする施設で、吉祥寺が大好きと自負するボランティア「吉祥寺コンシェルジュ」が案内を担当。1カ月に約5000件の問い合わせがある人気ぶりだ。
一方、「中高年にやさしい商店街」を目指す中延商店街(同品川区)でも平成16年11月に、空き店舗を利用し、「街のコンシェルジェ」を設置。電球の交換や買い物の補助など高齢者のちょっとした困りごとの手助けを有償ボランティアが行う。運営するNPOバリアフリー協会の沢田藤司之専務理事は、「会員制で現在、50歳以上を中心に約700人が登録。対価は中延商店街はじめ区内の商店街で利用できる商品券で支払われます」。
| ◆あなたの近くにも!東京の元気な商店街あれこれ◆ |
|---|
| ★青梅市内8商店街(青梅市)/フィールドミュージアム「おうめまるごと博物館」構想=住江町商店街、上町商店会、本町商店会など。空き店舗を利用し、「昭和レトロ商品博物館」「青梅赤塚不二夫会館」などを開設。懐かしい映画看板はじめ、大正・昭和のレトロな風景が並ぶ |
| ★ウルトラマン商店街(世田谷区)/ウルトラまちづくりプロジェクト=祖師谷商店街、祖師谷昇進会商店街、祖師谷みなみ商店街。平成18年度「第2回東京商店街グランプリ」優秀賞を受賞。祖師谷に円谷プロがあることから、商店街各所にウルトラヒーローのシンボル像を設置。Tシャツなどのオリジナル商品も販売している |
| ★和泉明店街(杉並区)/沖縄タウン化計画=平成17年3月にオープン。空き店舗を活用し、沖縄からの出店を要請。既存店は沖縄商品を取り扱う。入り口に首里城の柱を模した街路灯を設置、各商店のテントはみんさー織柄で統一。商店街直営の沖縄物産店も |
| ★深川資料館通り商店街(江東区)/休憩スペース「深川いっぷく」=閉店した約15坪の薬局跡を利用。市民や地元アーティストのアート作品の展示や、江戸風小物などの販売を行う。ミニミニコンサートや帽子作りなどのワークショップも開催 |
| ★早稲田大学周辺商店連合会(新宿区)/「エコステーション」「震災疎開パッケージ」など=早稲田商店会、大隈通り商店会、早稲田駅前商店会など、7つの商店会で構成。平成10年に、空き店舗を利用して空き缶やペットボトルの回収を行うリサイクル活動「エコステーション」を開設。修学旅行生が地元の特産品を販売する体験や、被災したときに連携する地域に疎開でき、平常時は特産品がもらえる「震災疎開パッケージ」の販売などを行う |
| ★神楽坂の商店街(新宿区)/一店逸品事業「神楽坂 粋いき逸品」=各商店が、こだわりの商品や売れ筋商品を神楽坂の逸品として厳選、「神楽坂 粋いき逸品委員会」が認定。漆器でできたルーペ付き文鎮や和柄5本指ソックス、和菓子など約80点がある |

