グルメ・情報

2007年02月09日 紙面より

MYひなブーム到来 お祝いにインテリアに

藤原了児の創作ひな人形=松屋銀座店

ひな人形やひな祭りの魅力が再発見されている。3月3日の本番を控え、ひな人形商戦が最盛期を迎えているデパートや人形専門店では、「和の雅」を感じさせるインテリアとしてや、「自分用のおひな様」にと購入する大人世代も目立つ。一方、地方では城下町を中心に代々伝わるひな人形を飾るイベントなども盛んで、各地のひな祭りをめぐる旅も人気を呼んでいる。

東京・池袋の西武百貨店ひな人形特設コーナー。売れ筋の中心価格帯はお内裏様とおひな様だけの親王飾りセットで20万〜30万円、三段飾りセットで30万円前後。50万円以上もする高級ひな人形も人気だ。

こうした高級品は、裕福な祖母が孫の初節句のために購入するとは限らない。「子供の頃は時代が悪く、自分のおひな様を持っていなかったから」と自分用に購入する人が多いのだ。親王飾り以外にもコンパクトに飾れる木目込人形の立雛や掛け軸飾りを、自分用に買っていく人も目立つ。

日本人形協会では、「子離れしたシニア世代の女性が改めておひな様を買ったり、未婚女性が季節感のあるインテリアとして買い求めたりする“マイひな人形”ブームがここ数年、続いている」(広報委員長の渡辺忍さん)と話す。還暦や喜寿のお祝いとして、子どもや孫がひな人形を贈る“逆転現象”も起きているそうだ。

 自分用に購入するひな人形は、気に入った人形に出会ったタイミングが買い時。それゆえに、「小さくてもいいおひな様が欲しいという本物志向が強い」と話すのは東京都指定伝統工芸品工房「市川豊玉(ほうぎょく)」東京杉並総本店。

市川豊玉の作品は、“作家物”と称される中でも人気があり、正絹織物を柔らかく着付けた人形の良さは一目瞭然。伝統工芸士の市川弘一さんは大人の間のひな人形のブームを「日本古来の伝統文化を見直すきっかけになれば」と願う。

このほか、インテリア性の高いおひな様をモチーフにしたアート作品も“大人買い”を誘う。この時期、百貨店では人形作家やガラス工芸家、陶芸家などが表現する個性的なおひな様の催事が花盛り。松屋銀座では“手のひらサイズ”のひな人形作家、藤原了児さんの個展を3月1日まで開催中。日本橋高島屋では27日まで「大人たちのひなまつり」と題し、ヨーロッパの名窯や国内の老舗食器ブランドなどが作ったおひな様など約400点を展示販売する。

一方、各地では旧家に代々伝わるおひな様の公開など、地域色豊かなひな祭りの催しも盛んだ(表)。

本来、ひな祭りは、季節の節目に無病息災を願い、身のけがれをはらう行事だった。愛らしいおひな様を飾って、我が家の厄払いをしてはいかが?

★初節句のひな人形「祖父母が買う」が9割

伝統技法を継承し、作家物のなかでも人気の市川豊玉のひな人形

日本人形協会の調べでは、「初節句のひな人形の購入資金を負担するのは、約9割が祖父母。それも、“お嫁さん”の両親が負担する場合が多い」と同協会の渡辺さん。近年は住宅事情を反映して、飾っても収納しても場所をとらないコンパクトサイズが主流だ。

そごう千葉店では、「親王飾りか、親王と三人官女の三段飾り(出し飾り)が人気。サイズは親王飾りで間口80センチ、奥行き40センチ、高さ45センチ程度の飾り台付きのものが売れている」という。

ひな人形は材質や仕立て、飾り台などによって価格はさまざま。最近は、東南アジアで大量生産された比較的安価なひな商品も売られている。購入時には、不当な「宣伝文句」には注意が必要で、「20万円の人形を10万円にといった大幅な値引き表示には要注意。ほとんどの場合、20万円という価格に根拠はないからです」(渡辺さん)。


★気軽に楽しめるつるし飾りが人気

最近、人気を集めているのが布で作った和細工を、赤い糸でつるした「つるし飾り」〔左〕。都心部の百貨店でも売り上げを伸ばしている。

人気の火付け役は、静岡県東伊豆町の稲取温泉。つるし飾りを飾る風習は江戸時代から伝わるもので、衣裳着人形に縁遠かった庶民が、女の赤ちゃんの健康と幸せを願い、端切れ布を使って手作りしたのが始まり。この地元文化の継承を目的にはじめた「雛のつるし飾り」が全国的に紹介され、毎年20万人以上の観光客が訪れるビッグイベントに成長、今年、10周年を迎えた。

本来はひな壇の両脇に飾るものだが、場所をとらないひな飾りとして、心和ませる装飾品として、愛好者を増やしている。1400円〜3500円程度で手作りできるつるし飾りキット(正絹布地、綿、型紙入り)も人気だ。


◆地域色豊かな各地のひな祭りイベント◆
★鶴岡雛物語(山形県鶴岡市)/3月1日〜4月3日=江戸時代、庄内藩14万石の城下町として栄えた鶴岡に代々伝わる、雅やかな雛人形や雛道具を多数展示。今年は三井家の蔵屋敷が初公開(3月3日)されるほか、旧庄内藩主酒井家ゆかりの致道博物館、数百対に及ぶ雛人形を所蔵する荘内神社、豪商・風間家など見どころ満載。問い合わせは同市観光物産課 TEL0235・25・2111
★かつうらビッグひな祭り(千葉県勝浦市)/24日〜3月4日=日本最大の享保雛の展示をはじめ、市内各所に2万体以上の雛人形を設置。遠見岬神社の60段の階段をひな壇に見立て約1200体の人形が飾られ、ライトアップも。10、11、12、17、18日の土日祝にも特別プレ公開。問い合わせは実行委員会 TEL0470・73・1211
★町屋の人形さま巡り(新潟県村上市)/3月1日〜4月3日=城下町・村上市の旧町人町一帯の町屋が家宝の人形を飾る。雛人形のほか武者人形や土人形なども展示。郷土資料館で「城下町村上に伝わる雛人形展」を同時開催。問い合わせは同市観光協会 TEL0254・53・2111
★信州須坂の町の雛祭り(長野県須坂市)/3月3日〜4月3日=須坂市街の130軒が参加、町中がお雛様一色に。今年の目玉は初公開、豪華絢爛三十段雛飾りと100本のつり雛(世界の民族人形博物館で展示)。豪商田中本家に代々伝わる250余点の雛人形の展示は16日〜4月23日。問い合わせは同実行委員会 TEL026・215・2225
★雛のつるし飾りまつり(静岡県東伊豆町)/3月31日まで=稲取温泉の5つの会場、幟旗のでている旅館、商店で色鮮やかなつるし飾りが見られる。つるし飾りの制作体験教室も実施。3月3日にはジャンボ雛壇を設け人間雛と一緒に記念写真を撮るイベントも。問い合わせは稲取温泉旅館協同組合 TEL0557・95・2901
★倉敷雛めぐり(岡山県倉敷市)/10日〜3月11日(展示施設により異なる)=倉敷、水島、児島、玉島、真備・船穂の6つの地区で開催。商店街や文化施設などに展示された雛人形を愛でながら、町並みや路地の風情を楽しもう。期間中、ホテルや旅館、飲食店では「ひな膳」や「ひな祭りずし」などのオリジナル料理も用意。問い合わせは倉敷観光コンベンションビューロ TEL086・421・0224