グルメ・情報

2007年01月27日 紙面より

2分20秒に1人が発症!怖い「脳梗塞」を予防しよう

脳梗塞

2分20秒に1人が発症しているという「脳梗塞(こうそく)」。大人世代にとっては気になる病気だ。「脳梗塞」は、突然、大きな発作を起こすと思われているが、実は前触れがある。それが、「一過性脳虚血発作」だ。「脳梗塞」と同じ症状が表れ、短時間で消えるもので、放置していると、本格的な発作を起こす危険性が高くなる。「脳梗塞」予防には、この危険信号である「一過性脳虚血発作」をしっかりキャッチ、きちんと治療することが大切だ。

慶應義塾大学医学部神経内科の鈴木則宏教授によると、「『脳梗塞』の前触れである『一過性脳虚血発作』を見逃さないことが『脳梗塞』予防には重要。というのも、『一過性脳虚血発作』と『脳梗塞』は発症に至る経緯が同じだからです」という。

動脈硬化が進むと、血管が厚くなり、血管内皮の機能が落ちる。その結果、血管の内側に血小板が付着しやすくなる。これが大きくなって剥がれ落ち、塊(血栓)になって血管を流れる。「脳梗塞」では、この血栓が脳の血管につまり、その先の細胞に栄養が届かなくなる。その結果、脳の神経細胞が死んでしまい、まひなどが起こる。

一方、「『一過性脳虚血発作』は、いったん脳の血管に血栓がつまり、その後、血栓が溶けて血流が復活する」(同教授)のが特徴。一時的な半身のまひや手足のしびれ、ものが二重に見える、言葉が出てこないといった、「脳梗塞」と同じ症状が一時的に出るが(別表)、血栓が溶けることで、24時間以内に症状は消失する。

「多くの場合、2〜15分で元通りになる」(同教授)ため、症状を自覚しても、専門医を受診する人は4人に1人程度。症状が治まったから問題ないと軽く見て、放置する人が多いのが現状だ。

しかし、一時的であれ、脳の血管に血栓がつまるのは、「血管の内腔が狭くなっていることの証明です」と同教授。血管内腔の狭窄は、「脳梗塞」を引き起こす原因になる。

「症状が治まったからといって放置していると、本格的な『脳梗塞』の発作につながる。『一過性脳虚血発作』の段階できちんと治療することが、『脳梗塞』予防には重要。こうした症状が2回出たら、必ず専門医を受診してください」(同教授)。

重大な後遺症が非常に長く続く「脳梗塞」。防ぐためには、「一過性脳虚血発作」を見逃さないことが大切だ。


「一過性脳虚血発作」の症状

★からだの片側がしびれる、手足に力が入らない
★足がもつれて歩けない
★ろれつがまわらない
★人の言うことが一時的に理解できない
★ものが二重に見える
★一方の目が見えなくなる、視界の半分が見えない
★食べ物が一時的に飲み込めない
※24時間以内に症状が消失、2〜15分で症状がなくなることが多い
※上記の症状が全て同時に出るわけではない

★「一過性脳虚血発作」の治療

多くの場合、診療時には、すでに症状が治まっているため、治療は、再発防止や「脳梗塞」予防が中心になる。

まずは、「食事療法、禁煙など生活習慣の改善とともに、降圧薬、血糖降下薬、高脂血症治療薬の服用で、高脂血症、糖尿病、高血圧など『脳梗塞』の危険因子をコントロールします」と鈴木教授。

加えて、血栓のもとになる血小板の働き(けがなどで出血した場合に、血液を固めて止血する働き)を抑える「抗血小板療法」を行う。血小板は、通常、体外に出て初めて血液を固める働きをするが、「動脈硬化が進むと、血管の内壁に血小板が張り付いて血栓を作るようになる」(同教授)。「抗血小板療法」とは、クロピドグレルやアスピリンなどの「抗血小板薬」を服用することで血小板の働きを抑え、血栓ができるのを防ぐというものだ。

★「脳梗塞」再発は、重大な障害の原因に

「『脳梗塞』は、再発率が非常に高い病気です」と鈴木教授。だが、製薬会社のサノフィ・アベンティス(東京都新宿区)の調査によると、再発しやすい病気であることを知らない人が半数以上にのぼるという。

「脳梗塞」の既往歴がある人は、ない人に比べ、発症リスクが約9倍にも高くなり、「まひだけを治そうとするのではなく、『抗血小板薬』を服用し、再発を予防することが重要」(同教授)なのだ。

「脳梗塞」を2回以上起こすと、後遺症が重症化し、要介護の度合いが高まり、ときには、心筋梗塞も引き起こす。

「『一過性脳虚血発作』は『脳梗塞』の再発の前に起こることがあります。『脳梗塞』の再発予防のためにも、見逃さないようにしてください」(同教授)。

★「脳卒中」と「脳梗塞」

生活習慣の積み重ねが引き起こす生活習慣病の1つ「脳卒中」。「脳卒中」は、脳の血管が破れる「脳出血」と「くも膜下出血」、脳の血管がつまる「脳梗塞」に大別される。かつては、「脳出血」が大半だったが、現在では、「脳梗塞」がその8割以上を占める。

鈴木教授は、「食事の欧米化で動脈硬化が進行。これが日本人に『脳梗塞』が増えている原因です。『脳梗塞』の1回目の発作は、40代後半以降に多発する。まだ若いから大丈夫と考えず、早めに予防する必要があります」と注意を促す。

予防には、動脈硬化を進行させる高血圧や高脂血症、糖尿病などの改善や生活習慣の見直しが基本となる。

「脳梗塞」を予防する生活習慣

★塩分を控え(1日10グラム以下)、高血圧を予防する
★リンゴ、バナナ、ホウレン草、カボチャなど、塩分(ナトリウム)の排泄を促すカリウムを豊富に含む食品を積極的にとる
★カルシウムを豊富に含む食品や昆布、ゴマなどマグネシウムを豊富に含む食品を食べる
★動物性脂肪やコレステロールを多く含む食品を控える
★コレステロールを下げる作用がある不飽和脂肪酸のEPAやDHAを多く含むアジやサバ、イワシなど青背の魚を積極的に食べる
★ウオーキングや水泳などの有酸素運動を心がけ、日常生活の中で、積極的に体を動かす
★高血圧や糖尿病の原因になるため、太りすぎに注意する
★十分な睡眠と休養でストレスを解消する
★喫煙は動脈硬化を進行させるため、禁煙する
★お酒を飲みすぎない(1日の飲酒量は日本酒1合、ビール大びん1本程度まで)