日常生活で手軽にメタボ撃退運動

多くの中高年男性を悩ませ、昨年の流行語大賞トップ10にも選ばれたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)。予防や症状の改善に、体を動かすことが最適とは分かっていても、なかなか実践できないのが現実だ。そこでおすすめなのが、通勤電車の中や仕事中にできる短時間の“メタボ撃退運動”。日常生活のちょっとした動きを工夫し、「運動は苦手」「時間がない」という人でも続けられる。今年こそ、メタボリックシンドロームと決別しよう!
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40歳以上の中高年男性の約3割が悩むメタボリックシンドローム(別項)。
運動が必要−と言われると、すぐジムに通うなど本格的な運動を思い浮かべるが、高輪メディカルクリニックで運動療法を担当する健康運動指導士の黒田恵美子さんは、「通勤電車の中、仕事中などに、短時間の運動を取り入れることが、メタボリックシンドロームを予防・改善するためのポイント」と言い切る。
というのは、中高年男性の多くが、飲みすぎや食べ過ぎで、日常の動きによる「身体活動量」が少ない状態に陥っているためだ。
「だから長時間運動しなくても、30分に一度、軽い運動をしたり、ストレッチをするだけで、筋肉が暖まった状態になり、エネルギーは消費され続ける」。つまり、効率良く運動さえすれば血流が改善され、エネルギー消費量が上がるのだ。
例えば、家を出る前に、息をゆっくりはきながら、体をひねる、背伸びをするといったストレッチをそれぞれ10秒ほど行う。「それだけで、筋肉がウオーミングアップされた状態になる。駅まで5分歩くなら、1分は早足、次の2分は普通の速度で、最後の2分は早足で。これだけで筋肉がきちんと使われる」。
電車の中では、つり革を持ち、かかとを5ミリほど上げて前に重心を置く、つま先を5ミリほど上げて後に重心を置くという2種類の動作を一駅ごとに交互に繰り返すのも有効だ。
黒田さんが提唱する簡単メタボ撃退運動は別表の通り。いずれも仕事の合間や短い時間で簡単にできるのがミソ。
「筋肉を使うことで、脳の血流もよくなり、仕事の能率も上がる。ストレッチは疲労の回復にもつながる。効率よく運動できる体になれば、休みの日にウオーキングやスポーツを楽しもうという気持ちにもなれます」と黒田さん。「身体活動量」が増えると、中性脂肪が減り、善玉コレステロールが増加。血圧降下にも役立つ。
「メタボリックシンドロームは便利な生活の副産物。10年前より便利になった分だけ、日常の動きの中に運動を取り入れること」(黒田さん)
“メタボ撃退”は1日にしてならず。無理せず続けることが大切だ。
【メタボリックシンドローム】
内臓の周囲に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」のこと。生活習慣病の発症や悪化に大きく関わっており、ウエスト周囲径が、男性85センチ以上、女性90センチ以上あり、かつ糖尿病(空腹時血糖値が110mg/dL以上)、高血圧(最大血圧が130mmHg以上、または最小血圧が85mmHg以上)、高脂血症(中性脂肪が150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)のうち2つ以上の罹患者または予備群である状態を指している。放置していると、それぞれの数値がそれほど深刻ではなくても、動脈硬化が進行し、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など、死に至る病気を引き起こす危険性が高い。
★歩く姿勢の改善で“メタボ”撃退!
メタボリックシンドロームに悩む中高年に多い症状が腰痛。黒田さんはその理由を、「少しずつたまったおなかの脂肪で、『長期的妊娠』のような状態になっているから。腰椎(ようつい)に大きな負担がかかっているため」と説明する。
運動しようとしても腰が痛んで続けられないため、「腰痛を緩和するために、歩くときの姿勢を改善することが大切」(同)だ。
姿勢の基本は、「おへその下にぐっと力を入れること」。ビール腹になると、体の前側が重くなり、バランスをとるために腰が反った状態になる。腹に力を入れることでこれが矯正され、腰痛が軽減。上半身はリラックスさせるのが基本で、無理に胸を張ったり、肩を引いたりしないことが大切だ。この姿勢を、「通勤途中や社内での移動など、日常生活の中で歩くときにも心がける。続けることで、腰痛が改善されるだけでなく、おなか周りもすっきりします」。
| 簡単!メタボリックシンドローム撃退運動 | ||||
|---|---|---|---|---|
| <ストレッチ>※1つの動作につき10〜30秒行う | ||||
![]() 〔1〕朝のストレッチ=椅子(いす)に座って足を軽く上げ、各10〜30回ずつ、足首を大きく内側と外側に回す。その後ゆっくり背伸び。ふくらはぎの筋肉を使うと脳の血流がアップ |
![]() 〔2〕アイーン!ストレッチ=下あごを突き出す、引くを、10〜30回繰り返す。交感神経の活動が盛んになるパソコン使用時に。首や背中の緊張がほぐれる |
![]() 〔3〕全身のストレッチ=椅子に座り、体を前に倒して、外側から手で足首に向かってさすり、体を戻しながら、内側から太ももの付け根部分の鼠径部(そけいぶ)に向かってさすりあげる。息をはきながらおろし、吸いながらあげるのがポイント。背中の緊張をほぐし、腰痛、肩こりを緩和 |
![]() 〔4〕背もたれストレッチ=椅子の背もたれに、左右いずれかの手を手のひらを上にしてのせ、体を起こす。力は抜き、顔は前に向けたまま。逆の手でも行い痛みがなければ、両手でも。肩や背中のこりを改善し、血流がよくなる |
![]() 〔5〕ウエストのくびれを作るストレッチ=まっすぐ立ち、太ももに力を入れて、一方の手を真上にあげ、もう一方の手を真下に |
| <筋力トレーニング> | ||||
![]() 〔6〕腹筋を鍛える=椅子に座り、おへその下にぐっと力を入れる。そのまま、やや背中を丸め、右足を床から上げ、10〜30秒間キープ。左足も同様にする。呼吸はふつう。足を上げる高さは、やや腹筋がきついと思う程度に調節 |
![]() 〔7〕腕、肩、背中を鍛える=信号を待っている時間などに、両手でかばんを背中側に持つ。動かさなくても、これだけで軽い筋力トレーニングだが、呼吸に合わせ、かばんを持った手を約15センチほど後ろにあげれば、強度がさらに高まる |
![]() 〔8〕お尻の筋肉を鍛える=椅子に座り、ももをぴったりつけて、お尻の筋肉を左右交互に各10〜30回ずつ緊張させる。おへその下に力を入れた状態で行う |
![]() 〔9〕太ももの筋肉を鍛える=椅子に座るときに、椅子からギリギリの高さで止まり、スクワットの姿勢で10秒間ほど保ってから座る。太ももの筋肉を使うと全身の血流がよくなり、エネルギー消費量が増える |
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