グルメ・情報

2006年11月24日 紙面より

和を「香る」 オリジナル「お香」で心も癒す

山田松香木店

自分だけのオリジナルの香りを作ってくれる山田松香木店。ほのかに香るところが「和の香り」の魅力と、男性ファンも増えている(日本橋高島屋)

香りのおしゃれを楽しむ大人世代が増えている。香りの中でも注目は「和の香り」であるお香。使い方は、好みの香を入れた小袋をスーツのポケットに忍ばせたり、リラックスタイムに室内で香を焚いてみるなどさまざま。好みの香りがオーダーできるデパートや専門店の売り場の人気も上々だ。その魅力は、香水やアロマオイルの香りに比べて、自然でさりげないところにあるようだ。

香りで男っぷりをあげたい−。そんな人たち御用達なのが、日本橋高島屋の呉服サロンの一角にある山田松香木店だ。

同店では、好みにあったオリジナルの匂い香を製作、販売する。甘い、さっぱり、スパイシーなど基本の香りに、桂皮(けいひ)、丁子(ちょうじ)など10種類の中から3種類を調合、「何をどの程度加えるかは人それぞれ。だからこそ自分だけの香りが作れる」と同店。

注文後1週間で、京都市の本店から調合したものが届く。価格は100グラムで6000円(税別)で、「100グラムでも使い出はたっぷり。5グラムほどをお茶袋などに取り分け、スーツのポケットに、2グラムほどを名刺入れに忍ばせるといった使い方をすれば、人と会ったときにほんのりと香ります」(同店)。洋服ダンスに入れれば「自分の香り」で身の回りをそろえられるし、白檀の香りが基本だけに防虫効果も期待できるという。

高島屋広報IR室の三尾まゆみさんによると、「驚くほど多くの男性が、お香を買い求めに来る。40代後半〜50代が多い。欧米の香水と違って、天然香料なので、香りに嫌味がなく、喜ばれているようです」。

一方、100種類以上の香りを扱う東京・銀座の鳩居堂でも、「和の香りにこだわる男性は増えつつあります。匂い袋や、香と香立ての『お部屋だきセット』を買う男性も多い。ほのかに香る“和の奥ゆかしさ”が人気の理由では」と話す。

このほか、「女性から男性へのプレゼントに選ばれることもある」(池袋西武)という和の香り。人気上昇の背景には、消臭剤の定着もある。花王(東京都中央区)の調べでは、消臭剤市場は平成17年度が90億円、18年度は100億円と成長中。消したいにおいも、室内から肌着、スーツまで用途が広がっている。同社では、「清潔志向で、においを消すとともに、今度は香りにこだわる人も増えている。好まれるのは、自然志向もあって、人工的な香りではなく天然の香り。和の香りの人気は癒やしのイメージもあるようです。ラベンダーなどよりも、お茶の香りや竹の香りを好む人が増えているようですね」と分析する。

また、「男性もオーデコロンを付けるのに抵抗はない時代だけに、人とは違う、しっとりした和の香りへの注目は高い」とみるのは池袋西武の得丸真実子さんだ。

平安の昔から、「イケてる」男は香りにこだわるのが日本の伝統。あなたも和の香りで「いい男」を演出してみては−。

カキ形 携帯に便利 うさぎ形
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掛け香 文香 削り香
掛け香 文香 削り香

★お香豆知識

香りの文化は、約4000年前の古代インドから東西に広がった。

西に渡った香りは、液体となって広まり、エッセンシャルオイルや香水に。東へは、香木を使って「空中に焚くもの」として広がっていく。

日本の香りの文化は1400年前、仏教とともに大陸から伝来。当時、お香を焚くのは、仏に祈る時に身を清めるためのものだった。現在でも仏壇の前や葬式で線香を焚くのはこのためだ。

当時使っていたのは「抹香」という非常に細かい粉末状のお香。仏前でくゆらせたり、仏塔や仏像などに散布して使った。平安時代になると、貴族が衣装や髪に香を焚き染め、香りの文化へと発展していく。そして室町時代に、茶道や花道とともに、芸道の1つとしての香道が生まれた。

 

★香道を楽しむ男性も増加中

本格的に香りの世界を楽しみたい人には香道もおすすめ。東京・銀座のお香専門店「香十」では、御家(おいえ)流の香席を設けている。体験参加は1回5000円(問い合わせはTEL03・3574・6176)。

稲坂良弘社長は、「土曜日の香席には、IT関係の会社役員や、大学の副学長など男性の姿が目立ち始めた。デジタルな社会に疲れ、自然に回帰したり、伝統的なものに目を向ける人が増え、物質文明にはない価値を見出すことができるからでしょう」とみる。

ほかにも、NHK文化センターでは、二大流派の御家流、志野流どちらのクラスもある。志野流12回クラス3万2760円(入会金5250円別途)。問い合わせは同センターTEL03・3475・1151。

暮らしの中に香りを生かすポイント
★玄関=来客の20分ほど前に、もてなしとして香りを焚いて(お迎え香)おけば粋な計らいを喜んでもらえる。焚くのが面倒であれば、削り香を置くと便利
★室内=炭を起こし、香炉でお香を焚けば、いつもとは違うのんびりした時間も楽しめる。香りだけを楽しむなら、壁にぶら下げる掛け香が手軽
★インテリア=晩秋ならウサギやカキ、夏なら金魚、というふうに季節に合わせた形の匂い袋をインテリアとして置くと雰囲気も和む
★台所=さまざまな食べ物の匂いがつきやすい場所。食事が終わった、後片付けのとき棒状のお香に火をつけてみるのもいい。ただし、食事中は食べ物の味に影響が出るのでタブー
★車内=車の中は、タバコなどの匂いが染み付きがち。ハンドルやバックミラーに匂い袋をぶら下げておけば、香りの効果とともに、かわいらしいアクセントにもなる
★手紙=便せんや封筒をしまう場所に匂い袋を一緒に入れておき、香りを移しておく。あるいは、文香を封筒の中に一緒に入れば、しゃれた演出になる