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2006年11月11日 紙面より

高血圧 「やや高い」程度でも放置は危険

高血圧

血圧の高さを気にする大人世代は多い。そのくせ、「やや高い」程度なら、放置しているという人も多いのでは? だが、実は、高血圧は別名を「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」。自覚がないまま症状が進行し、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の引き金になるのだ。そんな危ない状態にならないために大切なのが食事や生活習慣の改善だ。GABA入りなどの特定保健用食品などの利用も含め、“殺し屋”を暴れさせないように「血圧の低めコントロール」を心がけよう。

血圧は、動脈の壁にかかる血液の圧力。心臓から送り出される血液の量が多い場合や、血液の流れに対する血管の抵抗が大きい場合に、血圧は高くなる。

慶應義塾大学保健管理センター所長の齊藤郁夫教授は、「自覚症状がなくても、血圧が高いと血管は傷ついています。高血圧は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中などによる突然死にもつながるので、きちんとコントロールすることが重要です」と話す。

高血圧には生活習慣が大きく影響する。血圧を健康な状態に保つには、まず、食事と生活習慣を見直すことが大切だ。

食生活で血圧をコントロールするためには、塩分の取りすぎに注意すること。塩分はとりすぎると、血液量が増え、血圧が上昇してしまう。1日の摂取量の目安は、高血圧の場合は6グラム未満。ちなみに正常血圧では10グラム未満だ。さらに、「果物や野菜に含まれるカリウムには、余分な塩分を尿に排出する働きがあるので、積極的にとるといい」(同教授)。

食事と同時に運動も重要で、「10キロ体重が増えると、血圧が10mmHg上がる」(同教授)。肥満は大敵というわけだ。

「血圧が高いということは、生活習慣を見直しなさいという体からのメッセージ。血圧は、ちょっとしたことで変動するので、まずは、家庭用血圧計を準備して、自分の血圧を知り、きちんと管理してください」と齊藤教授。

食事、運動、生活習慣の見直しは“常識”のはず。だが、現実にはなかなか守れないもの。特に、これからの季節は寒さから血圧が上がることも多い。生活習慣をチェック()。日ごろから低めにコントロールすることを改めて心掛けよう。

【高血圧の診断基準】

上(収縮期血圧)が140mmHg、下(拡張期血圧)が90mmHg以上。かつては、上の血圧が、年齢プラス100といわれていたが、「血圧を下げることで、脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクが減る。今は、年齢による、基準値の差はありません」(齊藤教授)。
   正常高値血圧に分類される130〜139mmHg/85〜89mmHgも注意が必要で、「正常高値血圧の人が10年後に高血圧になる割合は約20%、加えて中性脂肪が150mg/dL以上またはBMI24以上の肥満があると、約半数が高血圧に。この3つが重なると65%以上の人が高血圧になったというデータもあります」(同教授)。
   30〜40代の場合、上の血圧が変わらなくても、下の血圧が上がり始めると、遅れて上の血圧が上がることも多いので注意が必要だ。
   また、「かつては上下の血圧の差が大きいほどいいといわれていましたが、今は、40〜50mmHg程度の幅が理想」(同教授)という。

【高血圧と動脈硬化】

高血圧で問題になるのは、血管の内腔(血液が流れる空間)が狭くなったり、血管が硬くなったりする動脈硬化。
   「血管は筋肉でできており、高血圧が続くと、血液の圧力に耐えるため、動脈の血管壁が厚くなります。その結果、内腔が狭くなる」と同教授。血管が傷つくと、コレステロールなどの脂質がたまりやすくなり、さらに内腔は狭くなる。
   ストレスなどで血圧が一時的に急上昇すると、血管の内側の壁が切れ、それを修復しようと血小板が働く。このときにできた血栓が血管に詰まると、脳卒中や心筋梗塞がおこる。「強いストレスがかかると、一瞬にして血管が詰まることもあります」(同教授)。また、加齢とともに血管が硬くなるため、血液の流れが悪くなる。高齢になると血圧が上がるのは、動脈硬化がおこっているのが原因だ。

【GABAと高血圧】

ストレス解消などに役立つと話題の機能性成分GABA。最近、特に注目を集めているのが、GABAの持つ高めの血圧を抑制する効果だ。ヤクルト本社(東京都港区)の開発部参事の赤星良一さんによると、「GABAは、人間の体に存在するアミノ酸の一種。脳に多く存在し、神経伝達物質としてよく働くのが特長です」。
   血圧は、主に自律神経のうちの交感神経に支配されており、交感神経の活動が高まると上昇し、弱まると下降する。GABAは、「交感神経の末端に結合し、血管収縮作用伝達物質のノルアドレナリンの分泌を抑制。また、腎臓にGABAがあると、ナトリウムの排出も促進されます」(同)。
   実際に、GABA含有の乳酸菌飲料の血圧抑制作用の試験では、飲み続けることで4週目に、血圧が約10mmHg程度下がるという結果がでたという。トマトやメロン、甲殻類、哺乳動物など、自然界に多く分布するGABAは、安全性も確認されており、「続けることで、血圧が高めの人には、血圧を下げる作用が期待でき、正常値の人の血圧には影響しない」(同)のが特長だ。

高血圧を誘発する生活習慣とその対策
★塩分のとりすぎ=丼ものや炊き込みご飯、カレーライス、チャーハン、ラーメンなど、味のついた主食は、知らず知らず塩分をとりすぎてしまうので、できれば週1回に。干物や漬物も塩分が高い
★野菜をあまり食べない=野菜や海藻は塩分の排出を促進するカリウムが多く、低エネルギー。抗酸化物質が豊富な、ホウレン草やニラ、ピーマン、トマト、ニンジン、カボチャなどの緑黄色野菜を積極的にとること。3食各両手一杯(約150グラム)食べるようにする
★魚より肉を好む=マグロのトロ、ハマチ、サンマ、イワシなど脂の多い魚は、中性脂肪や血圧を下げ、血栓を防ぐEPAやDHAが豊富。肉よりも、魚を食べる頻度を増やすことが、高血圧予防につながる
★大豆製品をあまり食べない=大豆には、降圧作用があるとされる大豆ペプチドやカリウム、抗酸化物質のイソフラボン、ビタミンEが豊富。毎日、大豆製品を1品食べると動脈硬化予防につながる
★アルコールの飲みすぎ=ビールなら中びん1本、日本酒は1合、ウイスキーはダブルで1杯までが基本。飲みすぎは肝臓にも負担大。特に、焼酎の梅干割りは、梅干の塩分でのどが渇いて酒量が進み、アルコールのとりすぎだけでなく、塩分過多の原因にもなるので要注意
★喫煙=喫煙は血管を収縮させるほか、血管を傷つける大きな要因なので、禁煙を。家庭用血圧計がある場合、喫煙前と喫煙後に血圧を測ると、大きな差がでるのが一目瞭然だ
★肥満=30代〜40代前半ごろまでやせていて、その後、急に太ったという人は特に要注意。今は、血圧が正常値でも、いずれ高血圧になる可能性大。血圧は体重の増加と比例する。運動や食事でダイエットを
★ストレスが多い=ストレスは血管を収縮させる。深呼吸をするなど、自分なりの簡単なストレス解消法をみつけること
★運動不足=肥満予防とストレス解消にも運動は大切。毎日30分、または週に3回45分程度のウオーキングがおすすめ