長い間、ゴルフ中継に携わっていた関係上、毎年のツアー競技を注目している。6月28日には『ミズノオープンよみうりクラシック』(兵庫・よみうりCC)で石川遼選手(17)が優勝を飾り、全英オープン選手権(7月16〜19日、ターンベリー)の出場権を獲得した。もう“人気先行”とはいわせない、見事なプレーだった。
さて、『UBS日本ゴルフツアー選手権』(宍戸ヒルズCC)を制した五十嵐雄二選手(40)をご存じだろうか。石川選手とは、あまりにも対照的な選手である。以前から名前を知っていた方は、相当のトーナメント通か? 友人関係か? 家族か? 失礼だが、知名度は決して高くなかった。今まで賞金シードを1度も獲得したことがなかったのだから…。
その五十嵐選手が先月7日に、歴史は浅いが、ツアープレーヤーNo.1を争う国内のメジャートーナメントに優勝。優勝賞金3000万円と5年間のシード権を獲得した。
私が初めて五十嵐選手を見たのは、2001年のダイヤモンドカップのプレーオフで敗れて2位に入った取材先の大洗GCだった。だがそれ以降は、弊社主催だったトーナメント(JCBクラシック)を含め、上位の成績を残した記憶が私にもなかった。
40歳、プロになって18年、昨年の獲得賞金はゼロ。それがメジャーでツアー初優勝ですもの。
週刊ゴルフ雑誌ゴルフダイジェストのノンフィクションファイルというコーナーの平山譲さん(ノンフィクション作家)の記事には泣かされた。「五十嵐雄二 負け続けだった18年間 やっちゃったな」というタイトル。母と2人の兄たちの励まし、妻の支え、収入のない苦しさ、キャディーバッグの中には、亡くなった母と長兄の遺影が…。
いやあ、泣けました。五十嵐選手の人生そのものが書かれていた。プロにとっては、初優勝より2勝目の方が難しいという。五十嵐選手にとってこれから、恩返しの旅が始まる。
(浅見博幸 仙台放送アナウンサー)