2008年04月17日 更新

藤田まこと食道がん 6月の舞台「剣客商売」を降板

食道がんのため主演舞台を降板した藤田まこと。映画「明日への遺言」の初日舞台あいさつでは元気な姿を見せていたが…=平成20年3月1日、東京・銀座

食道がんのため主演舞台を降板した藤田まこと。映画「明日への遺言」の初日舞台あいさつでは元気な姿を見せていたが…=平成20年3月1日、東京・銀座

 俳優の藤田まこと(75)が、食道がんのため、6月の明治座(東京)公演「剣客商売」を降板することが16日、分かった。現在は大阪府内の病院に入院中で、今夏の完全復帰を目指しており、藤田は同日、「1日も早い回復に努めて参ります」と書面で決意を表明した。藤田は今月11日に都内で予定されていたトークショーを、過労を理由にキャンセルしたばかりだった。

 所属事務所によると、藤田が最初に体に違和感を覚えたのは、主演映画「明日への遺言」のPRのため、日本全国を回るキャンペーンをしていた2月のことだった。

 「のどの調子がちょっとおかしいんだよ。食事が通りにくいんだ」と漏らしていたが、仕事が詰まっていたため、一段落ついた3月21日になって病院に行き、検査。その後、医師から「のどに異常が見られる」といわれて31日に再検査した結果、4月2日に「食道の脇に腫瘍が見つかった」と告げられたという。

 藤田は当初、それでも6月の舞台に出演するとしていたが、医師から「今なら体力もあるし、治療に専念すれば完全に治る」と説得され、やむなく舞台降板を決意。現在は検査入院中で、放射線や投薬での治療を続けており、今月末にも治療の結果が出るのを受けて、手術するかを判断する予定。幸い早期発見だったため、手術を受ければ1週間ほどで退院し、1カ月ほどの休養で復帰できる見込みだという。

 健康に対して人一倍気を使う藤田は、70歳を過ぎてからは大好きだったたばこをピタリと止め、お酒もワインをたしなむ程度。そして、何か異常があるとすぐに病院に向かう。そんな健康への気配りが、早期発見につながったようだ。

 本人はいたって元気だといい、週末には大阪の自宅に帰って療養。声にも張りがあるというが、食事をするときだけはまだ違和感がある様子だ。

 藤田はこの日、マスコミあてに送ったファクスで「健康管理も仕事の内といわれる役者稼業にあって不本意ながら降板させていただくのは断腸の思い」と痛恨の心境を吐露。「ご迷惑とご心配をおかけいたしましたおわびとお礼は、1日も早く健康な役者・藤田まことの姿をみなさまにごらんいただくことと心得ております」と誓っている。

 引退覚悟で挑んだ映画「明日への遺言」では、1月から約2カ月かけて全国キャンペーンをまわり、70歳過ぎとは思えない体力を見せたばかり。現在は早く退院したくて、ウズウズしているという。

◆テレビ、映画の「必殺」シリーズで、藤田のしゅうとめ役を演じた女優、菅井きん(82)

「昨年、久しぶりに『必殺仕事人 2007』でご一緒しましたが、その時は大変お元気で、まさかご病気になるとは、信じられません。早くお元気になられて、また撮影現場でお会いしたいと思います」

★書面で現状報告

 若葉の緑に清々しさを覚える季節となりましたが、皆々様にはご健勝にてご多忙の毎日をお過ごしのこととご推察申し上げます。

 この度、心ならずもお詫びのご報告をさせて頂かなければならないことになりました。

 健康管理のつもりで受けた健康診断で異状を指摘されて検査入院。その結果、食道腫瘍と診断されました。

 明治座六月公演への出演が決まっておりましたが、治療後の療養期間を含め、出演を断念せざるを得ないこととなりました。

 明治座公演「剣客商売」の秋山小兵衛役には、窮状をご理解下さいまして平幹二朗さんが出演して頂けることになり、ご理解とご好意に甘えて治療に専念させて頂く決意をした次第です。

 公演を心待ちにして頂いておりましたお客様を始め関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けすることになりましたこと、健康管理も仕事の内と言われる役者稼業にあって不本意ながら、六月・明治座公演を降板させて頂くことは断腸の思いです。

 書面でのご報告は失礼とは存じますが、入院加療中でございますので悪しからずご容赦下さいませ。

 ご迷惑とご心配をお掛け致しましたお詫びとお礼は、一日も早く、健康な役者・藤田まことの姿を皆様にご覧頂くことと心得ております。

 今日よりは医師の指示に従って、一日も早い恢復に努めて参りますので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 平成二十年四月十六日

(原文のまま)

★「剣客商売」代役に平幹二朗

 藤田が降板した「剣客商売」(6月3〜24日)には、俳優の平幹二朗(74)が藤田の代役で出演する。9月に大阪松竹座で行われる同公演は、予定通り藤田が主演予定。共演はほかに小林綾子(35)、山口馬木也(35)ら。11日には東京・日本橋三越で同公演を記念したトークショーが行われたが、藤田は過労を理由に出演をキャンセルしていた。

 また、夏にはフジテレビ系「剣客商売」スペシャルドラマの撮影を行う予定だ。

■藤田まこと(ふじた・まこと)

 本名・原田真。昭和8年4月13日、東京都生まれ。19歳のとき、コメディアンとして芸能界入りし、32年のドラマ「びっくり捕物帳」や、37年の「てなもんや三度笠」で一躍人気者に。「−三度笠」の「おれがこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー」のセリフは流行語になった。ほかに「必殺シリーズ」(48〜平成4年)、「はぐれ刑事純情派」(昭和63年〜平成17年)などの長寿作を含め、代表作は多数。平成14年に紫綬褒章受章。父は時代劇俳優の藤間林太郎。血液型AB。

■食道がん

 食道の組織内に悪性(がん)細胞が認められる病気。60歳以上の男性や喫煙者、酒を多量に飲む人がかかりやすいとされる。症状としては食べるときにつっかえる感じ、しみる感じがし、ひどくなると吐くことも。がんの中でも悪性度が高い。最近は手術、放射線、抗がん剤などの治療法が改善され、予後がかなりよくなってきたが、早期に発見することが最も重要。