2008年04月12日 更新

【裏ナビ】巨大セットで本音引き出す種田流「カンブリア宮殿」

「トークとともに、背後の不思議空間を楽しんで」と種田陽平さんが語る新セット。旧セットに比べ、出演者の座り位置が高い

「トークとともに、背後の不思議空間を楽しんで」と種田陽平さんが語る新セット。旧セットに比べ、出演者の座り位置が高い

テレビ東京系「カンブリア宮殿」の旧セット(下)

テレビ東京系「カンブリア宮殿」の旧セット(下)

 テレビ東京系「カンブリア宮殿」(月曜後10・0)のセットが先月31日放送からリニューアルした。以前のセットに続き、およそ経済番組、トーク番組のイメージとはほど遠い摩訶不思議なセットを手がけたのは、日本映画界を代表する美術監督の種田陽平さん。制作費、維持費は平均的トーク番組をはるかに超える。採算を度外視してもなお、同局が期待する“種田マジック”とは?

 経済界のトップと対談する作家、村上龍さん(56)とタレントの小池栄子(27)が座っているのは、“ピラミッド”のような建造物の頂上。周囲を古代宮殿の柱、だまし絵のような階段が囲む。映画「インディ・ジョーンズ」や「ナショナル・トレジャー」の1シーンのようだ。

 種田さんによると、コンセプトは「山頂」。以前のセットも山がそびえる感じだったが、今回、出演者がいる場所は高さ2メートル20センチ。その真上に天井も作ったため、他局を含め1、2位を争う同局の巨大スタジオで、クレーン2台を使い撮影を行っている。

 椅子さえあれば成立するトーク番組で、なぜこんな奇抜なセットに?

 種田さんが明かす。「非日常的な空間、下界から解放され本音を話してくれるかもしれない。また、階段を上り高いところで話して頂きたいと。ご託宣じゃないけれど、耳を傾けるだけの価値ある話をして下さるのだから」。さらに、「人は高いところにいると感情が高ぶるそうです」。

 日本の経済界のトップに君臨するゲストたちが、苦難の山を乗り越え、成功を勝ち得た頂上で本音を漏らす…。なるほど! 緻密に計算されたセットだった。

 実は初回収録の際、計算外のことが起きた。ディレクターが出演者に指示を出す、画用紙に書く“カンペ”が、上からでは見えない。ピラミッドの階段途中にディレクターが登れば、画面に映り込む。客席の上段からでは、目線の高さは合っても、遠すぎて字が見えない。苦肉の策で、72インチの巨大モニターを置き、カンペ替わりにした。

 〔1〕映画美術トップの種田さんの起用(ギャラ)〔2〕テレビ番組では類を見ない巨大セット(制作費)〔3〕運搬と倉庫での保管(維持費)〔4〕予定外のモニター代(思わぬ出費!!)。福田一平プロデューサーは、「ギャラはずいぶん勉強していただきました。他は分割払いです」と苦笑い。「しかし、そんなことに替えられない素晴らしいセット。セットという言葉を使いたくないくらい。見ている方に、どこかにあの空間が実在すると思って欲しい」。

(郡司美香)