2008年04月11日 更新

【シネパラ】残忍な愛憎劇描いた絢爛“宮廷絵巻”「王妃の紋章」

ドロドロした王族の愛憎劇を好演する王妃役のコン・リー(左)と王役のチョウ・ユンファ(C)Film Partner International Inc

ドロドロした王族の愛憎劇を好演する王妃役のコン・リー(左)と王役のチョウ・ユンファ(C)Film Partner International Inc

 中国映画界の巨匠・チャン・イーモウ監督の最新作。中国の華やかな宮廷を舞台に、王族一家の残忍な愛憎劇をかつてない豪華なセットと壮大なスケールで描く時代劇絵巻だ。

 中国、五代十国、後唐の時代(西暦923年−936年)。王家の一家は、ぜいの限りを尽くした宮廷で多くの女官にかしずかれ、並ぶものなき栄華の頂点に君臨していた。威厳ある王、気品あふれる王妃、そして皇太子ほかの子供たち。だが裏側では、王は王妃の毒殺をたくらみ、王妃は、それと知りつつ毒を飲み続けて、皇太子との不倫にあけくれる。王妃の計略にほかの子供たちも引き込まれ、次々と禁断の秘密が暴かれていく。

 白髪三千丈のたとえのとおり、なにごともスケールの大きな中国ドラマ。策謀をめぐらし多くの悲劇を生むすさまじい人間模様と、想像を絶する絢爛な宮廷絵巻の豪華さには舌をまく。気高い王妃にコン・リー、王にチュウ・ユンファの2大スターがふんし火花を散らす。コンは、冷えた夫婦の悲哀を、無表情なさめた視線で表現し圧巻。“悪役”に挑戦したユンファも、策をろうする不適な笑いが不気味だ。

 イーモウ監督は「中国古語に“外は金銀、宝石。内はくず”という言葉がある。表面は綺麗だが、内側は腐っている意味でこれがテーマ」と話す。久々に一級のエンターテインメントに出会った。

(石山真一郎)

【一口メモ】

 北京五輪の開会、閉幕式の総監督を務めることが決まっているチャン・イーモウ監督。豪華セットは壮麗な黄金の宮廷に600本の金の円柱、壁には菊花の彫刻を施し、18金の金箔(きんぱく)と瑠璃で仕上げた。豪華衣装は3000点、1000メートルの絹の絨毯、1万2000平方メートルの宮廷の庭には300万本の菊の花が植えられ、壮大なビジュアルが完成した。