2008年03月28日 更新
【シネパラ】パリを舞台に人間賛歌「モンテーニュ通りのカフェ」

ジェシカ(セシール・ド・フランス、左)は有名人が集まるカフェのギャルソンとなり、幸せをつかもうとする
パリのカフェに集まるさまざまな人たちの人生模様を、ドラマチックに描いた人間賛歌。登場人物のキャラクターが味わいがあり、人生の苦楽を語るセリフ回しに温かみとユーモアが混じり合って、ぐいぐい引き込まれていく。
パリにあこがれて上京したヒロイン・ジェシカ(セシール・ド・フランス)は、有名人が出入りするカフェで働く。ドラマはあこがれの人々の素顔と、裏側に隠されてきた焦りを彼女が追うかたちで展開していく。
有名な映画監督が次回作を練る。なんとか使ってもらおうと足しげく通う女優のおかしな振る舞い。著名な美術収集家は、息子の反対を押しきり、若い女性と最後の人生を過ごすために貴重なコレクションを売りさばこうとする。息子は、「愛人は財産目当て」と非難するが、父親は「年を取ると、人は過ぎた日ではなく、残された日を思うのだ」と素直に答える。さらに、世界の頂点に立つピアニストは、目指したものと現実の違いに悩み、支えてきた妻と葛藤(かっとう)を引き起こす。
女流監督のダニエル・トンプソンは、才能や名声を得ても満足しない人たちと、ジェシカのように有名人の傍らで幸せを得ようとする人たちを同じ映像空間に置き、愛と歓び、苦悩と悲しみを二重奏のように奏でることで作品に深みを与えている。
(石山真一郎)
【一口メモ】
パリ8区のモンテーニュ通りは、美しくそびえるエッフェル塔が間近に見え、シャンゼリゼとジョルジュ・サンクを結ぶ黄金の三角形と呼ばれるパリきっての豪奢な地区。監督のダニエルは、脚本に息子のクリストファーを起用、ヒロイン・ジェシカの恋人のフレデリック役もこなしている。共演は女優役にヴァレリー・ルメルシェ、ピアニストにアルベール・デュポンテル、美術コレクターにクロード・ブラッスール。
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