2018.6.19 10:00

坂東巳之助と中村隼人が歌舞伎で『NARUTO』上演!「感動的」

坂東巳之助と中村隼人が歌舞伎で『NARUTO』上演!「感動的」

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TOKYO HEADLINE
左から、中村隼人、坂東巳之助(撮影・仲西マティアス)

左から、中村隼人、坂東巳之助(撮影・仲西マティアス)【拡大】

 地球規模で人気のマンガ『NARUTO-ナルト-』がこの夏、歌舞伎になる! 作品の軸となるナルトとサスケを勤めるのは、話題の「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『ワンピース』」にも出演している坂東巳之助と中村隼人。「超える作品を作りたい!」。幼いころから原作を読み込んできた2人だけに気合が入っている。

 アニメ化、実写化、2.5次元舞台。さらには、ミュージカルにも! マンガ作品が、マンガという既存の枠を飛び越えて拡大していく現象は、もはや驚きでも何でもなくなった。次々と作品が発表されるなかで「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『ワンピース』」は、ここ最近で最も注目を集めた作品。「本水」「宙乗り」といった歌舞伎の伝統的な表現手法を取り入れた新しい『ワンピース』は、原作ファンも歌舞伎ファンも、そのどちらでもない人も取り込んで、日本各地を熱狂させた。

 そんな中、今年の夏は『NARUTO-ナルト-』が歌舞伎になる。世界中で愛される同名のマンガを原作とした、落ちこぼれ忍者うずまきナルトの成長を描く忍者バトルアクション。「うずまきナルト」を務める坂東巳之助も、そのライバル「うちはサスケ」の中村隼人も、作品の大ファン。役者たちは静かに興奮している。

坂東巳之助(以下、巳之助)「私とナルトの出会いは10歳のころですので18年前。祖母の家に遊びに行った帰りに、駅の構内にある本屋さんで買ってもらったのが第1巻でした。それから20年近い歳月が流れ、今回ナルトを務めさせたいただく。こんなにうれしくて感動的なことはない」

中村隼人(以下、隼人)「(連載されていた)『ジャンプ』の発売は月曜日。毎週、お稽古に行ったご褒美として『ジャンプ』を買ってもらっていました。そのころあこがれていたヒーローや、好きだったマンガを自分たちが、しかも歌舞伎として上演できるのは本当にうれしいことです」

 ナルトは、忍者の里である「木ノ葉隠れの里」に育ち、里のトップである「火影(ほかげ)」の称号を目指して修行をし、敵と戦う。面白さやハラハラドキドキはもちろん、感動や学びも盛りだくさんで、全72巻という膨大なボリュームにも関わらず、中身は魅力だけしかない! といっても過言ではない。

巳之助「1人1人のキャラクターの深さ、それぞれの行動原理が明確にあって、マンガの中で描かれていない部分の人生をも見えてくる。そういったキャラクターの深い描写が大きな魅力の一つだと思います。例えば、ナルトというキャラクターは明るくて周りを巻き込んでいきますが、決してただ明るいだけではない。出生や環境に起因するさまざまな困難を抱えていて、そのうえであのナルトの人格ができている」

隼人「サスケは深い闇を抱えている人物。あって当然だったものがなくなってしまったことへの、悲しさや闇です。そして、彼は復讐のために力を求めていった……。実は、ナルトとサスケは紙一重の人物だと思うんです。お互い、なにかのきっかけで変わっていたかもしれない」

巳之助「ナルトとサスケは、それぞれ違ったレベルの孤独を抱えていて、示し方は違うけどお互いを必要としあっている。でも、すれ違っていく。これは『NARUTO?ナルト?』という物語の中にずっと流れているところですよね」

隼人「互いを意識しながら、成長して夢を叶えていく。2人は周りからの影響を受けて成長していき、周りも一緒に成長している。それが分かるのも、この作品の魅力のひとつだと思います」

 歌舞伎になる話が決まったとき、驚きや喜びとはまた違った思いがあったという。それはどちらかというと「そうだよね」という感覚のようだ。「『ワンピース』が決まった時、『NARUTO-ナルト-』のほうが歌舞伎に合っているのではと巳之助兄さんと話もしたんです」と、隼人は本作の記者会見で話した。

隼人「(歌舞伎でもなじみのある)児雷也だったり、仙人モードの時は顔に隈取みたいものが出てくる。マンガを読んでいて、歌舞伎を取り入れてるのではと感じていました。時代背景やどこの国なのか分からない設定ですけれども、どこか時代劇に近いような気もしますし、色の使い方も、日本人が感覚的に持っているものだなと感じています」

 絶妙な間で会話が弾む。短い言葉で端的に巳之助が話した後には隼人がそれを受け、さらに巳之助が応えるといった流れ。いいコンビだ。2人によるとそう言われることが最近多いんだそう。

隼人「歌舞伎は座組がある程度分かれていて、それぞれの家によってやることも違いますから、同じ人と一緒になるのは年間1?2カ月。ですから同じ舞台に出る確率って本当に低いんです。巳之助兄さんと僕は普段の座組も違いますし、ある種、遠い存在なんですが、そんな中でいろんなご縁があって……」

巳之助「共演が多い気がするのは私が特殊だったからだと思います。父(坂東三津五郎)について出ていくと、いろんな座組の方とご一緒させていただくことが多かったんです。隼人君は、ここ最近では一番一緒にやっているお相手だと思います。お互いに分かっているところが多いから、一緒にモノを作っていく作業は、いま同世代のなかでは一番スムーズにいくんじゃないでしょうか」

 ライバルで、親友で、戦いもある。これまでの、役柄としてコンビに見えるけれど、実際に舞台で絡みがないような関係性とは違い、今回は必然的に2人で作る作業が発生してくる。

隼人「(これまでとは違って)巳之助兄さんと芝居をしてぶつかり合いますので、お互いにどうしていきたいか話し合っていきたいですね」

巳之助「G2さんは具体的な演出をされる方。今回は脚本も書かれているので、もうG2さんの頭の中には絵ができていると思うんです。まずはそこに近づけていくことが必要だろうし、それが限りなく正解に近いことだと思っています。そこに3人で向かっていくことになると思います」

 俄然、向かっていくところが気になってくる。G2によれば、基本は原作に忠実に、72巻分を「全部やる」。さらに「ナルトとサスケが何か一つの絆で結びついてほしいというハラハラするものにしたい」。演出の方法については「歌舞伎の技法を取り入れながら、新しい歌舞伎としてまとめていきたい」という。

巳之助「人物のドラマ、キャラクターの内面や感情をなるべく深く描いていきたいというのは共通認識としてあります。ただ、内面を深く知ろうとする場合、古典歌舞伎ではすごく長く時間をかけます。1場面に2時間とか。それでは72巻分はできませんので、相談しながら楽しくスピーディーに、かつきちんとナルトとサスケの物語がお客様に響くような舞台にしていきたい。もちろん、お客様に喜んでもらう中で、派手な演出も取り入れていくとは思います。立廻りも、私と隼人君が相対する場面では、たくさん動いて、今のうちにしかできないものにしたい(笑)」

「歌舞伎を知らずに見に来てくれるお客様には『NARUTO-ナルト-』として受け入れてもらえるように、『NARUTO-ナルト-』を知らずに見に来てくれるお客様にはきちっと『NARUTO?ナルト?』が伝わるように」ーー。巳之助と隼人が新作歌舞伎を作っていく。そんな大仕事に手を付ける2人を、市川猿之助と片岡愛之助が応援する。敵役うちはマダラとして交互出演。こと猿之助からは記者会見で「『ワンピース』という非常に高い山が立っている。見事に超えてください。僕を打倒してください!」とプレッシャーをかけられている。

巳之助「若手としていろんなことを経験させていただいき、かわいがっていただいた。そのご恩返しといいますか、猿之助の兄さんがおっしゃる『超えろ、倒せ』という言葉をそのまま受け取るのであれば、ご恩をあだで返すような恩返しができれば」

隼人「猿之助兄さんには、演出する姿、頑張っている姿を見せることで周りを引っ張っていく姿勢を見させていただいてきましたので、よじ登ってよじ登って、乗り越えてていきたいです」

 新橋演舞場にて、8月4日から。(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)


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