2017.11.14 12:00

甘くもあり、ずっしりと重みのある歌声で聴かせる鈴木雅之/週末エンタメ

甘くもあり、ずっしりと重みのある歌声で聴かせる鈴木雅之/週末エンタメ

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週末エンタメ芸能記者コラム

 甘くもあり、ずっしりと重みのある歌声を出せる歌い手は、この人をおいてほかにいない。ラブソングの王様、鈴木雅之の東京公演を中野サンプラザで聴いた。

 オープニングの「君は薔薇より美しい」からマーチン節が全開だった。39年前に化粧品のCMソングで大ヒットした布施明の名曲を、当時とほぼ同じアレンジで再現。のっけから昭和にタイムスリップさせられた。

 ほかにも、ちあきなおみの「紅い花」やRCサクセションの「スローバラード」など、バラエティーに富んだ懐かしの名曲を次々と披露。時代や性別を超えて、どの曲も原曲に忠実なアレンジでマーチン色に染め上げる実力はさすがだ。

 同公演は、鈴木が原点回帰をテーマに掲げた日本の名曲カバーアルバム第3弾「DISCOVER JAPANIII~the voice with manners~」を携えての全国ツアー。

 1980年にシャネルズ(のちのラッツ&スター)のメインボーカルでデビューした鈴木はソウルミュージックが音楽の原点と思われがちだが、歌の合間のトークコーナーで「歌謡曲こそが原点」と言い切った。

 子供のころ、ラジオにかじりついて大好きな歌謡曲を聴き、海苔(のり)漁の漁師だった祖父と一緒に船に乗っては東京湾の上で海苔巻きをマイク代わりに持って歌っていたという。大人になるにつれて米国の黒人音楽に傾倒していったが、彼の音楽のDNAは歌謡曲で形作られていた。

 アンコール前のラストソングはチューリップの「青春の影」。本家、財津和夫の甘くささやくような歌声とはまた違う、パワフルかつ味わい深い歌声に酔いしれた。アンコールでは「め組のひと」「ランナウェイ」など、鈴木のプロとしての原点、ラッツ時代の名曲を懐かしく聴かせてもらった。

 還暦とソロデビュー30周年を迎えた昨年、日本レコード大賞最優秀歌唱賞に輝き、今年3月には芸術選奨文部科学大臣賞(大衆芸能部門)を受賞した。長年のボーカリストとしての実績が認められた瞬間でもあった。

 8月には地元、東京・大森の海苔親善大使に就任。サングラスと海苔漁のギャップが何ともお茶目に感じるが、こちらは祖父との思い出が詰まった大森への恩返しだろう。マーチンの歌声に乗せて、大森海苔の知名度も全国に響き渡る。(山下 伸基)

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