宝塚大劇場の宙組公演が26日、初日を迎えた。左足首を骨折して長らく療養していた娘役トップの陽月華が、約8カ月ぶりに舞台復帰。トップの大和悠河とお似合いのプリティなコンビが復活して、変わらぬ愛らしい笑顔を見せ、華麗に踊った。
ミュージカル「Paradise・Prince(パラダイス・プリンス)」(植田景子作・演出)は、現代のアメリカを舞台に、アニメーション作家を夢見て前向きにがんばる青年のサクセス・ストーリー。
主人公のスチュアート(大和)はモダンアートのプリンスの地位を確立した天才アーティスト。しかし、子供のころから描き続けている「Paradise・Prince」のアニメーションを創る夢をあきらめきれない。受賞記念パーティーの日に突然、引退宣言して、西海岸のアニメーション会社に身元を隠して飛び込み、下積みからやり直そうとする。パーカーにスニーカー姿の大和が自転車で登場するシーンがかわいい。
その会社で知り合うのが、アーティストをめざしてアルバイトしながらがんばっているキャサリン(陽月)。2人は互いの夢を励まし合っているうちに、しだいに愛し合うようになる。“現代のプリンスとプリンセスのイメージ”という大和と陽月は、等身大の役を自然に演じて、現代的な雰囲気がピッタリ。
ところが、2人の仲を妨害するのが、アートプロデューサーのアンソニー(蘭寿とむ)。キャサリンを脅迫して、スチュアートをアート界に戻そうと画策する。蘭寿の久しぶりの敵役が色濃い個性でかっこいい。
ほかに、アニメーションおたくだがじつはノと正体不明のラルフ役に北翔海莉、スチュアートの妹マーガレットに花影アリス、同母親のローズマリー役に美穂圭子(専科)、スチュアート一家をあたたかく見守るハワードに一樹千尋(専科)らのキャスティングだ。
あれこれ小さなトラブルはあっても、シンプルな筋立てのファンタジー調の仕上がりで、ハッピーエンドが心地いい。
作品のアニメーションキャラクターになっている王子は、一般公募の1100人以上の中から採用された、ふわこういちろうさんのデザイン。ふわさんは「初めて観劇しましたが、キラキラした世界がすごく新鮮でした。自分のキャラクターが大画面で動いているのを見たときは感激しましたね。とてもキュートでした」と感想を述べた。
レビュー「ダンシング・フォー・ユー」(中村一徳作・演出)は物語性はなく、コスモの輝きのプロローグから、スペイン、パリ、アラビア、ニューヨークと世界を巡るオーソドックスな作品。大和と陽月のトップ・コンビのスタイルのよさが際立ち、次から次へとダイナミックなダンスでつづる。
フィナーレのエトワールは、この作品で退団する和音美桜が最後の美声を聴かせている。
公演は11月3日まで。東京宝塚劇場公演は11月21日−12月27日。