――別名・ノドクロ、日本海を代表する高級魚!――
――ノドクロってお魚知ってます〜?
「ああ、関東じゃ、根回りで釣れる大型アジをそう呼ぶが、西日本や日本海側でノドクロと言えば、アカムツのことだな」
――本当にお魚のことはよく知ってますね。正解です。アカムツのことです
「このヤロー、俺を試したのかっ」

――す、すいませーん。だってお隣のオジさんが「聞いてみな」って言うんですもの
「また、いつもの隣のジイさんか」
――ジイさんじゃありません。オジさんです
「それで、そのオジさんが何だって」
――「関東の人には、ノドクロと言っても分からねーよ」って言うんですもの。師匠は確か江戸っ子でしたよね
「確かに江戸っ子だが、アカムツは関東にもちゃんと居るんだよ」
――そうなんですか。オジさんが西日本と日本海の魚だって言うもんですから
「それはその通りだ。関東にも居るには居るが、それほど多くはない。専門の船もほとんど出ていない。普通は沖メバルやムツ釣りの“嬉しいおまけ”って感じで釣れる程度だからな」
――へー、そんなに貴重な魚なんですか
「ああ、関東じゃ極めて貴重な魚だな。もちろん、値段も非常に高い高級魚だ」
――そうなんですか。ところで何でノドクロって言うんですか
「オジさんは教えてくれなかったのか」
――聞くのを忘れてしまいました
「非常に簡単だ。口を開けた時、ノドの奥が真っ黒なんだ」
――なーんだ、まんまじゃないですか
「まんまじゃ悪いか」
――いいえ、意外と単純だなって思ったんですよ
「魚の名前なんて元来単純なものだ。このアカムツだってムツと名前は付いているが、単にクロムツに似ているのでアカムツって付いたんだが、実はスズキの仲間だ」
――えっ、スズキの仲間なんですか
「そうだ。スズキ科の魚だ」
――お話を伺っていると、相当な高級魚のようですが、どうやって食べると美味しいんですか
「何と言っても煮魚だが、焼いても旨いぞ」
――お刺し身はダメなんですか
「別にダメじゃないが、身がやや柔らかくて水っぽい感じがあるので、刺し身には向いてないな」
――わかりました。この次は釣り方について教えて下さい
※アカムツ=本州中部以南の大陸棚周辺に生息する深海性の肉食魚。最大50cm級になる。非常に美味な魚。