2008.2.14 更新

 

竿々学々(実釣編)

−父君と師匠の影響ですっかり釣りに目覚めたS嬢。『実釣編』では、
釣りや魚を「知る」ことから、「実釣体験」を目指すことに…。(毎週木曜更新)−

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■東京湾のトラギス釣り―姿はともかく味は絶品!―

―― 実は、この間、父が物凄く美味しい天ぷらを作ってくれたんですよ。『この魚、何だか分かるか』って聞かれたんですが、正直分からなかったのですが、ハゼが一番近い気がしたんで、そう答えたら、『トラギスだ』って言うんで、ビックリしちゃったんですが、トラギスってあのトラギスですよね。

「あのトラギスって、トラギスはトラギスだ。実際には標準和名・トラギスの他にもクラカケトラギス、コウライトラギス、アカトラギス、オキトラギスなど幾つかの種類があるが、お前が言っているのは、トラギスとクラカケトラギスの2種だと思うよ」

―― えっ、トラギスってそんなに種類があるんですか。

「ああ、結構種類は多い。しかし、東京湾や相模湾なんかでシロギス釣りやカハワギ釣り、あるいはカサゴ釣りなんかで“外道”として釣れてくるのは、トラギスとクラカケトラギスの2種類がほとんどだな。そして、この2種類のトラギスが、仲間の中で最も美味いトラギスだ。とくに天ぷらは絶品だ」

―― へ〜、そうなんですか。だけど皆、トラギスが釣れても捨てちゃうじゃないですか。

「ああ、姿を見る限りあまり美味そうには見えないからな。しかし、よく見ていれば分かるが、絶対にリリースしない人もいるはずだ。俺もその一人だがな」

―― へ〜、師匠もトラギス、持って帰るんですか。

「当たり前だろう。あんなに美味い魚を捨てるわけがないだろう。お前も天ぷら食って分かったんじゃないのか」

―― あっ、そうですね。本当に美味しかったんですよ。

「だろう。美味く表現できないが、天ぷらにすると、身がホワッとしていてハゼとシロギスの中間って感じで実に美味い。一度でもあの味を知ったら、皆持って帰ると思うよ」

―― ですよね〜。私も今度は絶対に持って帰ります。ところで、トラギスの乗り合いって出てないですよね。

「確かにな。以前、内房・富津から出ていたことがあったんだが、あまり釣り人が集まらずに結局、止めちゃったな。皆が捨てたり、リリースしちまうように、トラギスが美味いって話は一般的じゃないからな」

―― トラギスを沢山釣るには、どうすればいいんですか。

「う〜ん、それは難しい質問だな。シロギスの乗合船が一番交じってくる可能性が高いんだが、トラギスが釣れ出すと船長たちは船を移動させちゃうからな。船長たちに聞くと、トラギスの多い根は、ちゃんと知っているようだが、トラギスが交じると大半の釣り人は嫌がるからな」

―― それじゃ、仕立て船なら問題はないわけですね。

「そういうこっちゃ」

―― 師匠、今度、父達と一緒に1隻仕立てて、トラギス専門に狙ってみましょうよ。

「おお、それはいいな。お前の話を聞いていたら、トラギスの天ぷらが食いたくなってきたよ」

―― 行きましょうよ。私、父達に話してみます。

「分かった。親父さん達が話に乗ってきたら、1隻仕立てよう!」

―― 分かりました。必ずですよ。

「おお、分かった」