2008年05月20日 更新
【BOX】小堀、世界ライト級王座奪取!3回逆転TKO

2回にダウンを喫した小堀(左)だが、あきらめることなくアルファロを攻め続け、3回TKO勝ちで新王者に(撮影・大橋純人)

世界的プロモーター、ドン・キング氏から祝福される小堀(撮影・大橋純人)
(19日、ディファ有明、観衆=1700)世界初挑戦のWBAライト級7位の小堀佑介(26)=角海老宝石=は、同級王者のホセ・アルファロ(24)=ニカラグア=を3回2分8秒、TKOで倒し、王座奪取に成功した。2回にダウンを奪われた小堀は、3回に左フックでダウンを奪うと、その後も連打を浴びせて、劇的な逆転勝ち。日本人選手としては74年のガッツ石松、00年の畑山隆則に続く3人目の世界ライト級王者となった。これで日本のジムに所属する現役世界王者は6人。
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日本、東洋太平洋の前スーパーフェザー級王者・小堀が、劇的なサクセスストーリーを実現させた。3回、ロープ際に追い込んで王者・アルファロに渾身の連打を浴びせると、レフェリーが割って入る。TKO。伝統的に層が厚い1階級上のライト級で日本人3人目の王者となり、小堀は勝利の雄たけびをあげた。
「やったという感じ。相手は強くて途中で心が折れそうになったけど…。負ける方が情けないから、前に出るしなかった」
KO率90%の王者に果敢に立ち向かった。2回に、アルファロの右ストレートを浴びてダウン。だが、苦しい展開にも一歩も下がらない。3回、狙いすました左フックでダウンを奪い、連打を浴びせて王者を仕留める。鮮やかな大逆転で王座初戴冠だ。
千葉・敬愛学園高校では当初、吹奏楽部でコントラバスを弾いていたが、「女の子にもてたい」と両親の反対を押し切って、ボクシングを始めた。「練習をさぼる癖があるが、才能はある」という田中栄民トレーナー(53)の期待通り、天性の才能を発揮し、昨年の5月19日、スーパーフェザー級で日本、東洋太平洋の2冠を獲得。そのちょうど1年後、今度は世界王座を手にした。
その日本、東洋太平洋の王座を争った村上潤二さんは、試合の約1カ月後、急性心不全で急死。試合が原因ではなかったが、小堀は「村上選手のためにも世界王者になる」と決意した。その誓いを守る勝利だった。
ネーチャーボーイ(自然児)の愛称を持つ男は試合後、リングで小躍りし「(今は)帰って寝たい」と本音をもらし、会場を爆笑の渦に包んだ。フライ級ばかりが注目される日本ボクシング界だが、中量級にも新たなスターが誕生した。
(伊藤隆)
■小堀 佑介(こぼり・ゆうすけ)
1981(昭和56)年10月11日、千葉県生まれ、26歳。高1でボクシングを始め、高校3年生だった00年2月にプロデビュー。06年1月、日本Sフェザー級王座決定戦に臨み、王座を獲得。07年5月、空位となった東洋太平洋同級と自身の持つ日本同級王座のダブルタイトルマッチを行い、勝利(東洋太平洋王座は返上)。1メートル70。26戦23勝(12KO)2敗1分け。右ボクサーファイター。
★ドン・キング氏絶賛「真の王者だ」
世界的プロモーター、ドン・キング氏が観戦した。本来はアルファロが契約選手だが、小堀の勝利を見届けると、リング上で新王者を祝福。試合後には会見場にまで押しかけて、褒めちぎった。「パワフルなパンチだった。真の王者だ。決してあきらめない日本人のスピリットを見せてくれたよ。次は指名試合を、東京ドームでやりたいね」とまくし立てた。
★ダウンしてもひるまない素晴らしい精神力 守備強化すれば防衛重ねられる
小堀の度胸の良さには頭が下がる思いだ。初めての世界戦で、強打のアルファロの右ストレートを浴びて、2回にダウンを奪われた。普通の選手ならおじけづいて、その後はとても前に攻めることができない。逃げ回るのが精いっぱいだろうが、小堀は打たれてもひるまなかった。冷静に王者のスキを狙って、右ストレートの打ち終わりに左フックを合わせた。ダウンを喫しながらも、小堀が打ち合いに積極的になれたのは、初回から右ストレート、左フックが的確に当たり、相手にダメージを与えた手応えがあったからだ。自分のパンチが当たれば王者を倒せる、と自信が芽生えたから勝負に出たんだろう。素晴らしい精神力をもっている。今後もスピードのアップ、ディフェンス面の強化を図れば、防衛を重ねることができる。さらなる成長を期待したい。(矢尾板貞雄)
★その時
試合をリングサイドで観戦した小堀の父・和正さん(59)は「世界戦ができるだけでもありがたい。その上勝てたんだから、最高です」と興奮を隠さなかった。ボクシングを始めるときに猛反対した母・友子さん(55)は「プロになってからは応援している。きょうは勝ててよかった」と感涙。両親ともに人生最高の日となった。
★記念日に奪取
小堀の世界タイトル獲得は、日本ボクシング界の歴史的な記念日と重なった。1952年の5月19日、白井義男が世界フライ級タイトルマッチでダド・マリノ(米国)を破り、日本人初の世界王者となった。小堀は56年後の通称「ボクシングの日」に新王者となった。
◆逆転負けのアルファロ
「あと2ラウンドあれば、自分のペースに持っていけたが…。小堀の左フックが先に入り、自分が倒れた。いつもの通りにはいかなかった」








◆元WBC世界ライト級王者のガッツ石松氏「オレの弟だ」
「オレの弟だね。オレの防衛記録(5回)に近づいてほしい」