2018.5.24 05:00

【甘口辛口】真相解明を長引かせるだけだった日大アメフット部・内田前監督の記者会見

【甘口辛口】

真相解明を長引かせるだけだった日大アメフット部・内田前監督の記者会見

会見冒頭で謝罪した日大アメリカンフットボール部の内田前監督(手前)。反則の指示について否定するなど、宮川選手の主張とは平行線をたどった。奥は井上コーチ(撮影・佐藤徳昭)

会見冒頭で謝罪した日大アメリカンフットボール部の内田前監督(手前)。反則の指示について否定するなど、宮川選手の主張とは平行線をたどった。奥は井上コーチ(撮影・佐藤徳昭)【拡大】

 ■5月24日 日本中を騒がせた悪質タックルの“張本人”の会見なのに、ついホロリとした人も多かったろう。「監督、コーチから指示されたとはいえ僕がやったということに変わりない。とても反省している」。日大アメリカンフットボール部3年のDL(ディフェンスライン)宮川泰介選手はしっかりと事実を説明し、心を込めて謝罪した。

 世の中の裏表を知り尽くした62歳の内田正人前監督は逃げ回ったあげく、「なんでオレがあやまらなければ…」といった感じの傲慢な対応で火に油を注いだ。それに比べ、まだ社会経験もない弱冠20歳という宮川選手の会見は誠実そのもので、心に響くものがあった。

 「顔を出さない謝罪はない」と顔も名前も隠さなかった。退路を断ち、どんなバッシングも覚悟の「決別宣言」には日大としても手も足も出ない“完敗”だった。絶対的な権力を握る監督の指示がコーチを通じ反論できない選手に伝わり、やむなく危険な反則に手を染める。日大アメフット部の異常な実態もあぶり出された。

 前国税庁長官や元首相秘書官の弁明にはへきえきしたが、政治家も役人も不利になることはひた隠し、恥ずかしげもなく嘘を並べる会見が多すぎる。「見え透いている。何のための会見か」とかえって国民の反感を買うだけだ。そんな世の風潮にも一石を投じた宮川選手の告発は世の大人たちに与えた衝撃も大きかったろう。

 前監督とコーチは23日夜に会見した。「QBをつぶせ」などの発言について前監督は「私からの指示はない」と否定し選手の受け止め方の違いを強調したが、宮川選手の克明な説明の後ではすんなりと腑には落ちない。真相解明を長引かせるだけではないのか。 (今村忠)