2018.5.20 05:00

【甘口辛口】日大監督の辞任表明だけでは確信できない不信感の払拭

【甘口辛口】

日大監督の辞任表明だけでは確信できない不信感の払拭

囲み会見冒頭で頭を下げる日大アメフト部・内田監督(右)=大阪国際空港(撮影・鳥越瑞絵)

囲み会見冒頭で頭を下げる日大アメフト部・内田監督(右)=大阪国際空港(撮影・鳥越瑞絵)【拡大】

 ■5月20日 アメリカンフットボールの選手には、最低限覚えるべき技術がある。全身を筋肉の鎧で覆い、頸椎(けいつい)や脳を守るため首回りを徹底的に鍛え上げても、それだけでは試合に出られない。

 首をすくめるようにして僧帽(そうぼう)筋を寄せ、ヘルメットとショルダーパッドで頭と体を固定する「ブルネック」。頭を上げ顎を引き、前方を注視して背骨の湾曲形状を作る「ヘッドアップ」。ともに予期される衝撃から首や頭部を守るためで、腰を落として骨盤を前傾させる姿勢とともに、基本としてたたき込まれる。身につけなければ危ないとわかっているからだ。

 しかし、パス失敗で戦闘態勢を解いたQBに背後からフルスピードでぶつかる行為から、こうした準備で身を守ることはできない。日大によるあれは「プレー」ではない。先日会見した関学大の首脳陣が「サッカーやラグビーでもあり得る」と言ったのは、そういうことだ。

 関学大も京大も、試合中や合宿中に主力選手が死亡する悲劇を経験し、今も語り継いでいる。日大もそのはずだ。日大の故篠竹幹夫監督は甲子園ボウルで関西に来ると、六甲山の北側にある三田市を欠かさず訪れた。練習中に亡くなったRB炭田選手の墓前で手を合わせるためだ。

 炭田選手は3兄弟の次男。悲劇の後も、家業の食料品店が休みの日に、試合会場で観戦するお兄さんをよく見かけた。アメフットが好きで、日大でプレーした弟が誇りで、毎年命日に訪れる同級生の絆に救われていた。関学大が求める原因究明を果たし、不信感を払拭して名門と呼べる日大に戻れるのか。謝罪を終えた監督の辞任表明だけでは、それを確信できないのが残念だ。 (親谷誠司)

今、あなたにオススメ
Recommended by