2018.5.11 05:00

【甘口辛口】日本産馬の英クラシックレース制覇に関係者は「複雑」…日本生まれの日本調教馬での栄冠も近い!?

【甘口辛口】

日本産馬の英クラシックレース制覇に関係者は「複雑」…日本生まれの日本調教馬での栄冠も近い!?

 ■5月11日 先週末、日本競馬界にとって歴史的な出来事が起きた。日本産馬が初めて競馬発祥の地・英国のクラシックレース(2000ギニー=日本の皐月賞のモデル)で優勝。創設1809年の伝統の一戦を制したのだから大ニュースとして扱われていいが、そうはならず。快挙を達成したサクソンウォリアーが日本調教馬ではないからだろう。

 世界的生産者グループのクールモアが、名馬ディープインパクトの血を求めて全欧2歳女王に輝いた良血を日本に送り込んだ。その母とディープの間に生まれ、アイルランドに渡って調教されたのがサクソンウォリアー。いわば、5歳まで日本で過ごし、その後渡英して日系英国人としてノーベル文学賞作家となったカズオ・イシグロのような存在か。

 それでも日本で英クラシックホースが誕生したのは事実。生まれ故郷のノーザンファーム(北海道安平町)・吉田勝己代表は喜んでいると思ったが、そうではなかった。「複雑。(クールモアに)とてつもない種牡馬ができてしまったのかもしれない」。

 国内の種牡馬産業の中枢を担っているだけに、優秀なディープインパクトの後継が欧州に流出したことを憂えていた。生まれてすぐ「すごい馬になる」と確信し、「譲ってほしい」と申し出た馬だけに尚更なのだろう。

 日本生まれの日本調教馬で勝てばいいのでは-。小欄の問いに吉田氏は「そういう時代も近くなった気がする」。凱旋門賞など海外の大レースに挑戦し続けている吉田氏が本気で英クラシック制覇を狙えば、夢は現実になる気がする。日本人なら、カズオ・イシグロより村上春樹がノーベル賞を取った方が何倍もうれしい。同じことは競馬にも言える。 (鈴木学)