2018.4.7 05:00

【甘口辛口】池上彰氏「たやすくジャーナリスト名乗るな」の真意とは…

【甘口辛口】

池上彰氏「たやすくジャーナリスト名乗るな」の真意とは…

 ■4月7日 もう30年以上も前になる。警察担当記者だった筆者の初仕事は、心中事件で死去した親子の顔写真を現場付近で借り受けることだった。悲惨なニュースにただオロオロしていると、顔見知りのフジテレビ記者の大先輩が「まだ取れないのか」と話しかけてきた。媒体が違うとはいえ、報道におじけづく筆者を責める厳しい表情だった。

 「死の現実に、誠意を持って向かえ」と叱られたのを覚えている。それ以来、人が亡くなったニュースには、お弔いの気持ちだけは忘れず取材できるようになった。その結果として、死者の無念や遺族の悲しみ、命の尊さをどれだけ伝えられてきたかは疑問だが…。その大先輩には今も感謝している。

 前置きが長くなったが、新入社員の動き出した季節。どんな仕事も厳しくも温かい先輩の存在はありがたいものだ。そんなことをふと思ったのは、元NHK記者でジャーナリストの池上彰氏(67)が6日、テレビ東京の新番組会見の際に言った言葉が心に刺さったからである。

 池上氏はNHKを退職し「一ジャーナリスト宣言」した後輩、有働由美子元アナウンサー(49)に対する感想を聞かれた際、「たやすくジャーナリストと自称してほしくない」と辛口エールを送った。会見後、その真意を聞くと「まずはいろんな現場を取材して自ら伝える努力が大事。あえて宣言するなら『よきジャーナリストを目指します』と言ってほしかったな」と笑顔で語った。

 池上氏と共演機会の多い有働氏とはいえ、耳の痛いところだろう。池上氏は膨大な資料を読み込んでは現場で取材、徹底して分かりやすく伝えることが信念。その姿勢は有働氏も受け継いでほしいものだ。(森岡真一郎)