2018.4.3 05:00

【甘口辛口】米メディアの予想を覆しそうな大谷…二刀流のジレンマとどこまで向き合えるか

【甘口辛口】

米メディアの予想を覆しそうな大谷…二刀流のジレンマとどこまで向き合えるか

アスレチックス戦に先発でメジャー初登板したエンゼルス・大谷(ロイター)

アスレチックス戦に先発でメジャー初登板したエンゼルス・大谷(ロイター)【拡大】

 ■4月3日 「坊や、こんにちは」。オープンカーの座席に元気なく座っていた少年にベーブ・ルースが何気なく声をかけると、少年は目を輝かせて立ち上がった。すると隣にいた親が「立った!」と絶叫し涙を流した。少年は2年間病気のため立つことができなかったが、ルースに声をかけられ夢中で立ち上がったという。

 エンゼルスの大谷翔平がアスレチックス戦で6回を投げて初登板初勝利を挙げた。大リーグで開幕戦に投手以外で先発した選手が、10試合以内に投手で先発登板したのは1919年のベーブ・ルース(当時レッドソックス)以来。99年ぶりの本格二刀流の誕生は『野球の神様』が残した数々の伝説もよみがえらせた。

 まっすぐで追い込み、スプリットを決め球にした。「ただただ楽しんで投げられた」というのも、力勝負を避け日本型のオーソドックスな配球に徹したからだろう。オープン戦で苦しんでいたのが嘘のようで「適応力があり、ここ一番に強いというほかない」とある専門家が言った。

 「投打両面で苦戦し5月に3A降格。6月に投手としてメジャー復帰」との開幕直前の米紙の予測は見事に外れそうだ。打つ方は開幕戦5打数1安打で合否は微妙でも投手として使えることがはっきりした。ローテーション通りふつうに投げていけば10-15勝はいけそうだ。半面「打つ方はどうする」とのジレンマも当然生じる。

 二刀流慣れした日本のファンは「両方頑張れ」と願うだろうが、郷に入れば郷に従えともいう。ヤンキース移籍後、打者に専念したルースは本塁打を量産し子供たちに大きな夢を与えた。大谷も、たとえ投手の一刀流になっても十分満足させられるだろう。 (今村忠)

  • 大谷は試合後、ウイニングボールを手に笑顔。記念球は両親に贈る(撮影・リョウ薮下)