2017.12.7 05:00

【甘口辛口】前人未到の羽生「永世7冠」の次の快挙はあくなき探求心でつかみ取る「永世8冠」か

【甘口辛口】

前人未到の羽生「永世7冠」の次の快挙はあくなき探求心でつかみ取る「永世8冠」か

 ■12月7日 つねに複数あったタイトルが「棋聖」一つ。どこかの横綱ではないが、それこそ若手棋士から「もう、あなたの時代は終わった」と言われかねなかった将棋の羽生善治棋聖(47)が「10年早い」とばかり、堂々と盤上で存在を見せつけた。竜王戦7番勝負第5局で渡辺明竜王(33)を下し、4勝1敗で通算7期目の竜王を獲得した。

 7大タイトル(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)の永世称号をすべて手にする史上初の「永世7冠」の誕生。ある棋士は言う。「ふつうの棋士なら100年かかってできるかどうか。19歳の初タイトルから30年足らずでやってのけた。こんな棋士は2度と出ないだろう」

 今年は王位や王座のタイトルを失い13年ぶりの一冠になった。ズルズルいきかねない危機感を最高棋戦の竜王戦にぶつけた。相手の攻めを受け止めスキあらば攻めるこれまでの王道の将棋ではなく、攻めて攻めて攻め倒す若々しい将棋に、この棋戦だけに集中しようという強い姿勢が表れていた。

 かつて天才といわれた升田幸三は史上初の3冠(名人、王将、九段=現竜王)に輝いたとき「たどり来て、いまだ山麓」と言った。限りなく無限に近い将棋の奥深さを端的に表す名言だった。羽生もまた対局後「将棋のそのものを本質的にどこまでわかっているか、といわれればわかっていないのが実情」と吐露した。

 45歳を過ぎると衰えが隠せないといわれるが、十五世名人の大山康晴は59歳で最年長タイトルを獲得した。今年から「叡王」もタイトル戦に昇格し、いずれ永世制度も設けられるだろう。羽生のあくなき探求心をもってすれば「永世8冠」も…。まだまだ夢は広がる。 (今村忠)

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