2017.11.2 05:00

【甘口辛口】ネットという“怪物”が生んだ座間9遺体事件、松本清張なら深い闇にどう鋭いメスを入れるだろうか

【甘口辛口】

ネットという“怪物”が生んだ座間9遺体事件、松本清張なら深い闇にどう鋭いメスを入れるだろうか

■11月2日

 確か松本清張だったと思う。「この100年でありとあらゆる犯罪が日本で起こった。考えられる犯罪はすべて出尽くしたのではないか」。明治100年(1968年)にあたってのそんな趣旨の文章を、何かで読んだかすかな記憶がある。しかし、その後登場したインターネットという“怪物”が考えられない犯罪を生むことになる。

 神奈川県座間市のアパートから9人分の切断された遺体が見つかった事件には泉下の清張もたまげたことだろう。「死にたいけど一人だと怖い。一緒に死んでくれる方」とツイッターに投稿した若い女性が、「一緒に死のう」と伝えた男の自宅で会ったその日に殺された。

 人を殺したら一刻も早く遺棄するはずだが、白石隆浩容疑者はクーラーボックスに入れた遺体とともに寝ていた。8月下旬から2カ月で9人。中には恋人同士もいたという。殺害して遺体を処理し次の標的を狙ってネットにあげるのが1週間のサイクルだったのか。このエネルギーと胆力をいい方に回せば世のため人のためになれたかもしれない。

 山奥の一軒家に道に迷った旅人が一夜の宿を求めた。食事をふるまわれ、ぐっすり寝込んだらその家の老女が実は人食い鬼だった。そんな「日本昔話」風の怖い話が21世紀のいま最先端の犯罪としてよみがえった感じだ。ネットがなければ知り合うこともなく、起きなかった事件だろう。

 自殺サイトではたびたび事件が起き問題になったが、最近はツイッターやLINEでの直接のやりとりが増え警察などの監視も行き届かないという。現実に起きた数々の事件を題材にした清張なら、こうしたネットの深い闇にどう鋭いメスを入れるか。ふと考える。 (今村忠)

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