2017.10.16 05:00

【甘口辛口】青学大vs東海大だけじゃない! 東京国際大の“30歳の1年生”も箱根の見どころ

【甘口辛口】

青学大vs東海大だけじゃない! 東京国際大の“30歳の1年生”も箱根の見どころ

■10月16日

 こういう人生もあるのか、と30歳の1年生の走りは心に訴えるものがあった。昨年、連続出場が87回で途切れた名門中大が1年で復帰を決めた14日の箱根駅伝予選会。反対に古豪日大、明大が出場権を失うなど悲喜こもごものドラマの中で、2大会ぶりの出場を決めた東京国際大のルーキー渡辺和也には文句なしに拍手を送りたい。

 高校駅伝の強豪、報徳学園(兵庫)出身で2006年から11年間、実業団ランナーとして活躍。11年には5000メートルで日本代表として世界選手権(大邱)にも出場している。その後はこれといった成績を残せず、昨年所属先の日清食品から契約更新の打ち切りを伝えられていた。

 競技をあきらめてもいい年齢だが、渡辺は前を向いた。「教員免許を取って指導者になる」と社会人入試で東京国際大に合格し箱根駅伝も目指した。収入もなく他の部員との寮生活。もとは1500メートルで日本歴代2位の記録を持つスピードランナーで予選会の20キロは未体験だったが、ぎりぎり10位で滑り込んだチームの一員として走り切った。

 いまの世の中、転職はしやすくなったとはいえ一度離職すると求人はあっても思い描いている仕事にはなかなか就けないという。人生やり直しが利かないからと、大学生は就活ではじめから安定したレールを目指す。しかし、失敗してレールから外れたらおしまい。そんな風潮がまだまだ根強い。

 「日本をリセットする」と小池百合子氏が強調しているが、渡辺は人生をリセットして自らの生きがいを具現化し、まず一つ箱根という『希望』を叶えた。4連覇を目指す青学大と出雲を制した東海大の一騎打ちが話題の箱根で、こんな選手にも注目したい。 (今村忠)

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