2017.9.26 05:00

【甘口辛口】本物のファンをつなぎとめるのは「稽古の甲斐」

【甘口辛口】

本物のファンをつなぎとめるのは「稽古の甲斐」

■9月26日

 「秋場所や 稽古の甲斐をかくも見せ」と詠んだのは、大正から昭和にかけて活躍した俳人久保田万太郎。長い夏巡業の鍛錬の成果が出る秋場所の盛り上がった土俵を詠んだ句だが、24日に終わった秋場所は稽古の甲斐など何処へやら。3横綱2大関が休場し、優勝ラインも11勝まで下がった悲惨な場所だった。

 けが人続出に「夏巡業が長すぎ体をケアするひまがない」との声が力士から聞かれた。とはいえ、今夏の巡業は23日間で若貴全盛時代の平成4年の31日間に比べ特に過密でもない。サンケイスポーツ評論家の藤島親方(元大関武双山)は「相撲はシーズンオフがない。個人個人で考え、けがと向き合うしかない」と自覚を促している。

 それでも国技館は1万816人の満員札止めが15日間続いた。前売りは8月5日に15日分を即完売したが、はじめから転売目的の購入も多かったようで転売サイトでは定価を下回る値崩れ現象も起きたという。チケットは払い戻しできない。平日の2階席の空席は期日までに転売できなかったらしい。

 目立ったのは若い客。休場など関係なく「国技館が盛り上がっているみたい」という好奇心からネットで購入したのかもしれない。スマホで力士や館内風景を撮りインスタグラムに「お相撲さんカワイイ!」「焼き鳥おいしい!」と投稿。「いいね」をもらって「相撲は“インスタ映え”する」と喜ぶ“インスタ女子”も多かったと聞く。

 15日間満員御礼といっても、人気の基盤はどこまで安定しているのか。“インスタ映え”を求め足を運んだ若者も本物のファンとしてどうつなぎ止めるか。とどのつまりは土俵の充実。「稽古の甲斐」を見せるしかない。 (今村忠)

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