2017.9.17 05:00

【甘口辛口】時流に翻弄された帆船「みらいへ」にはせる思い…夜景を反対側から眺めてみませんか

【甘口辛口】

時流に翻弄された帆船「みらいへ」にはせる思い…夜景を反対側から眺めてみませんか

■9月17日

 東京なら「海ほたる」だろうか。夜景の楽しみ方のひとつが「逆から見る」こと。先日釣りの取材で「武庫川一文字」に渡り、半日を過ごした。兵庫・尼崎から芦屋沖に位置する日本最長級の6キロ近い防波堤。午後の日差しがやわらぎ、見とれるほど見事な夕焼けのあと、「宝石箱をぶちまけた」という表現そのままの夜景が周囲ほぼ360度に広がった。

 左に神戸港、右に大阪港。両港は今年で開港150周年になった。記念イベントが相次ぎ、23日には神戸に南極観測船「しらせ」が来航。10月26日からは大阪港で5日間の「帆船エキスポ」が開催され、日本丸、海王丸が約20年ぶりに同時入港することが大阪市から発表された。

 白い帆を張った優雅な共演が楽しみだが、同時に練習帆船「みらいへ」も入港する。現在は民間で帆船を通じた人材育成や教育プログラムに活用されているが、前名は「あこがれ」。1993年に大阪市が「セイル・トレーニング事業」のため建造した。

 日本唯一の一般人が乗れる帆船だったが、橋下徹前市長の市政改革の一環により2012年に事業廃止、船は競売にかけられた。その間、00年には日本の帆船で初めて世界一周を達成。この航海は08年夏季五輪誘致活動のひとつだったが、結果は北京に敗れて落選。荒波より、時流に翻弄された船だった。

 そんないきさつはもう、大半の大阪人が忘れているだろう。2020年の東京五輪を前に「あんなこともあったなあ」という思い出話。ぼーっと夜景を眺めていると、どうでもいいことがいろいろ思い出されて退屈しない。この台風が通り過ぎたら、皆さんも夜景を反対側から眺めてみませんか。 (親谷誠司)

今、あなたにオススメ
Recommended by