2017.9.13 05:00

【甘口辛口】「お客さんに半分お返ししなきゃ」北の富士さんも嘆く今場所の惨状

【甘口辛口】

「お客さんに半分お返ししなきゃ」北の富士さんも嘆く今場所の惨状

■9月13日

 「オレも休場しようと思ったよ」とNHK大相撲中継の解説者、北の富士さん(元横綱)が苦笑いした。「この世界に60年いるけど、こんなひどい場所は初めて。お客さんには木戸銭の半分お返ししなきゃいけないね」。さすがに“休場”はせず3日目のこの日はラジオの解説を務めたが、「これじゃ解説にも力が入らない」。

 昭和以降初めて3横綱が初日から休場し、3日目から大関高安が右大腿の肉離れで休場した。3横綱1大関の休場は若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海が休場した平成11年春場所以来18年ぶり。おまけに平幕きっての人気者宇良まで3日目から休場し、喪失感に輪をかけた。

 「けがばかりは仕方ない。けがしない体作りは本人しかできない」と八角理事長(元横綱北勝海)。では具体的にどうすればいいのか。北の富士さんはこういった。「オレなんか130キロちょっとだったのに幕内の平均体重が160キロを超えた。みんな大きくなりすぎた上、横着してぶつかり稽古で転ばなくなったからね」。

 受け手の胸をめがけて当たって転がるぶつかり稽古は、けが防止のため柔道で基本となる受け身と同じで大切だ。昔は全身砂だらけで何度も転がったが、いまは当たるだけ当たり最後に一度転がる程度。「転ぶのに慣れてないからけがしやすい。不可抗力といえないけがも増えたのではないか」と北の富士さん。

 稽古の番数もめっきり減り、師匠が「よし」という前に勝手に切り上げる部屋もある。黙っていてもお客が入る空前の相撲人気だが、こんな体たらくでは満月が欠けていくのも早いかもしれない。土台となる稽古の在り方を、協会全体で真剣に考え直すいい機会ではないか。 (今村忠)

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