2017.5.22 05:00

【甘口辛口】「人間敗北」と同じ日に発表の『叡王戦』は間が悪すぎたのではないか

【甘口辛口】

「人間敗北」と同じ日に発表の『叡王戦』は間が悪すぎたのではないか

■5月22日

 最先端の手術を施す腕2本の医療ロボットのような人工知能の前で佐藤天彦名人が「負けました」と頭を下げた。プロ棋士とコンピューターソフト「ポナンザ」が戦う電王戦の最終第2局も第1局に続き、佐藤名人の完敗に終わった。「絶対に負けられない」という名人の穴熊をソフトがどんどん崩し、94手の投了だった。

 電王戦は今回が最後。全対戦成績はソフトの14勝5敗1引き分けで「人間敗北」の決着だった。それも「ポナンザ」がソフト最強ではなく、先日のコンピューター将棋選手権で優勝したのは「エルモ」で「ポナンザ」は2位に終わっている。もう人間が勝てる日は永久にこないのかと思うほどだ。

 プロの中でも羽生善治三冠や、公式戦18連勝でいま大ブレーク中の藤井聡太四段はまだソフトとの対戦経験がない。それだけに、ある棋士の話はうなずける。「将棋連盟としては“最後の砦”のような羽生さんや藤井さんなら勝てる、という夢を残す形でとりあえず電王戦は打ち切った感じだ」

 同じ日、将棋連盟とIT大手のドワンゴが一般棋戦「叡王(えいおう)戦」のタイトル戦昇格を発表した。竜王、名人、棋聖、王位、王座、棋王、王将に新タイトルが加わり将棋界初の8大タイトルになるが、4200万円と優勝賞金最多の竜王戦、伝統の名人戦に次ぎ、新顔ながらいきなり序列3位扱いというから驚く。優勝賞金が相当高額なのかもしれない。

 「叡王戦」は電王戦でソフトと戦う棋士を決める棋戦だった。コンピューターをきっかけとして収入源にもなる大きなタイトル戦を作るのは連盟の構想通りかもしれない。しかし、「人間敗北」と同じ日の発表は間が悪すぎたのではないか。 (今村忠)

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