2017.2.15 05:00

【甘口辛口】4カ月ぶり復帰戦で名局作り上げた三浦九段…羽生の面目躍如にも称賛

【甘口辛口】

4カ月ぶり復帰戦で名局作り上げた三浦九段…羽生の面目躍如にも称賛

■2月15日

 「対局はまだ続いています」と13日の午後10時すぎ、テレビ朝日の報道ステーションが伝えた。対局中のコンピューター将棋ソフト不正使用疑惑が晴れた三浦弘行九段の復帰戦。羽生善治三冠との竜王戦予選トーナメント1回戦は、名人戦でさえ報じないテレビニュースも取り上げる世間の関心事だった。

 内容も日本将棋連盟の佐藤康光新会長が「名局を作りあげていただいた。感謝したい」とたたえたほどの大熱戦になった。一時は三浦九段が優位に立ったが、互いに持ち時間を使い切っての1分将棋の末、粘りに粘った羽生三冠が131手で勝ち第一人者の意地を見せた。この結果に胸をなでおろしたのは棋士たちだろう。

 ある棋士はこう話した。「われわれの仕事はいい棋譜を残すこと。本当によかった。もし三浦さんが勝ったら“羽生さんが緩めたのでは”などといわれかねない。どんな相手にも十分、技や力を出させ最後に勝つ羽生さんの面目躍如だった」。敗れたものの三浦九段の復帰戦としてはベストの相手だったようだ。

 ソフトがどんどん強くなり「いずれ人間は歯が立たなくなる」という。極論すれば「プロ棋士なんかいらない」といわれる時代も来かねない。しかし「答え」を求めるのがソフトなら将棋に「道」を求めるのが棋士。本来の「人間対人間」の勝負という流れに戻す一局になった、といっても過言ではないだろう。

 ただ、対局前に三浦九段の希望で金属探知機でボディーチェックを受け羽生三冠も「では私も…」と応じたという。潔白の証明はわかるが、そこまでするのか。将棋には場違いの仰々しさ。これがなければ満点の対局だっただけに残念ではあった。 (今村忠)

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