2016.11.30 05:00

【甘口辛口】稀勢の里は「不思議な大関」なのか 時代に即した昇進ルールを考えるときがきているのでは

【甘口辛口】

稀勢の里は「不思議な大関」なのか 時代に即した昇進ルールを考えるときがきているのでは

■11月30日

 「理解に苦しむ不思議な大関」。九州場所で優勝次点の12勝を挙げた大関稀勢の里について、横綱審議委員会の守屋秀繁委員長が28日の定例総会後に言ったという。その理由は「強いときは本当に強い。でも平幕に負ける」。九州場所では10日目から圧巻の3横綱連破で存在感を見せつけたかと思えば、13日目に平幕栃ノ心に敗れた。

 3日目には遠藤、7日目にも正代に負けている。優勝次点といっても結局、平幕相手の3敗が響いて優勝争いには絡むことはできなかった。だから、来場所たとえ13勝、14勝で優勝しても、綱とりには「もろ手を挙げて賛成とはいかない」と守屋委員長は慎重な姿勢を示したという。

 思うに、稀勢の里は白鵬ら3横綱に対しては「この人たちには絶対に負けたくない」と相当な闘争心で立ち向かっているのではないか。栃ノ心戦は全精力を使い果たした横綱3連戦の反動で力が出なかったのかもしれない。「不思議な大関」とは言い過ぎで、小欄はむしろ「人間らしい大関」に見えてならない。

 かつて横審委員を10年務めた脚本家の内館牧子さんはよくこう話していた。「横綱昇進は大関で(横審内規の)2場所連続優勝ではなく、1年のような長いスパンで本当の実力を見極めるべきだ」。稀勢の里は今年6場所で69勝をあげ年間最多勝に輝いた。優勝はないものの安定性ではNO・1の証明で、横綱にしてもおかしくはない。

 70年続いた憲法でさえ、そろそろ変えようかという時代だ。「2場所連続優勝」も横審誕生から66年金科玉条のように続いている。協会からの諮問もないのに「来場所は…」などと言う前に、時代に即した昇進ルールを考えるときがきているのではないのか。 (今村忠)

今、あなたにオススメ
Recommended by