2016.10.20 05:00

【甘口辛口】大事なのは「レガシー」どうこうより現場の盛り上がり…スポーツのあるべき姿問われている会場見直し問題

【甘口辛口】

大事なのは「レガシー」どうこうより現場の盛り上がり…スポーツのあるべき姿問われている会場見直し問題

■10月20日

 招致段階の69億円が491億円に膨れあがり、今度は300億円程度に圧縮できるとか。東京五輪ボート・カヌー会場、海の森水上競技場の整備費はたたき売りそのものだ。宮城・長沼ボート場は「200億円で」とこっちも負けない。そこへ何の仕掛けか「韓国開催案」まであさっての方向から飛んできた。

 「もう、どこへでも…」と言いたくなるが、18日来日したIOCバッハ会長は「ルールは変えないこと」と会場見直しを牽制。海の森で決着かともとれるが、同夜のBSフジ「プライムニュース」で、見直しを提案した都政改革本部の上山特別顧問は「ルールに沿うなら根本理念の復興五輪」と反論した。

 同番組には宮城・村井知事も出演。「県として200億円は大変だが恒久施設として投資したい」と訴えた。一連の見直しの過程で見て取れたのは同知事の一生懸命さだ。FNNの世論調査(10月15~16日)で海の森17・1%、彩湖26・5%に対し長沼は51・2%と大きくリードしたのも知事の熱意の表れではないか。

 1964年東京五輪ボート会場の戸田漕艇場は「世界で2番目の静水コース」が売りだったが、半世紀たったいまは「8レーン」の国際規格に合わず五輪に使えない。とどのつまりは大金をかけ「レガシー」がどうこうより、大事なのは選手たちが「ここで試合できてよかった」と思える現場の盛り上がりだろう。

 小池都知事が視察しただけで約3000人も集まった長沼で実際に五輪が開かれたら…。「よく来てくれた」と大歓迎の地元民と選手の交流は想像しただけでも心が揺さぶられる。ボート会場見直しは、それこそスポーツのあるべき姿が問われているともいえよう。 (今村忠)