2016.10.19 05:00

【甘口辛口】将棋のソフト不正の再発防止に向け、徹底した調査を

【甘口辛口】

将棋のソフト不正の再発防止に向け、徹底した調査を

■10月19日

 「立ち合い強く当たって、後は流れで…」とは5年前相撲界を震撼させた八百長メールの一節だ。以後、相撲協会は再発防止に携帯電話の支度部屋持ち込みを禁止し入り口で預かっている。同じ伝統文化である将棋の世界では先日、京都市で指された竜王戦第1局で不正防止のため前代未聞の金属探知機が導入された。

 当初、渡辺明竜王に挑戦するはずだった三浦弘行九段が対局中に将棋ソフトを不正使用したとの疑いが浮上し、今年末まで出場停止となった。ある高段棋士によると三浦九段は最近の棋戦で対局中ひんぱんに席を外すことで、棋士たちから不審の声が高まっていたそうだ。

 それも席を外すのはふつう自分が指した後なのに、同九段は相手が指した直後に外すというあり得ない行動をとった。「解析すると離席率が非常に高く離席後の悪手率ゼロというのもフシギだ」と高段棋士。ある対局で不審を抱いた相手が記録係に「ちょっと見てきて」と頼むと休憩室やトイレには寄らず、まっすぐ自室に消えたという。

 最近のソフトの強さはプロも舌を巻くほど。今回金属探知機を提案したのは渡辺竜王だそうで、今月初めのA級順位戦では三浦九段の猛攻を受けられずに攻め潰され「あの竜王が…」と騒然となった。竜王戦挑戦者は丸山忠久九段に差し替わり、かえって禍根を残す導入になってしまった感じだ。

 「ぬれぎぬだ」と三浦九段は主張するが、「もう指したくない」などと棋士たちの視線は厳しい。それでも将棋連盟の出場停止処分は自ら休場届を出さなかったためで、ソフトの使用云々は問うてない。このまま幕引きするつもりらしいが、再発防止に徹底調査が必要ではないか。 (今村忠)