“悔しい”という言葉が、一番近いかもしれない。
G大阪のFWバレー(26)が、中東の強豪アルアハリ(UAE)へ移籍することが決定した。昨季チーム最多の20得点を挙げ、今季もここまでリーグ2位の10得点を稼いできたエースの突然の退団。驚きとともに何とも言えない脱力感に苛まれた。それは、炎天下の中で何時間も取材対象者を待っていたことだけが理由ではない。
これまでもバレーの元には数々のオファーが届いていたが、その都度断ってきたという。しかし今回は違った。年俸約3億円という破格の条件にバレーの心は奪われた。クラブ側は慰留するも、本人の意志は固く、最終的には移籍を容認。すでにチーム練習には参加しておらず、正式発表を待つだけの状態となった。「ゴメンネ、ゴメンネ」が僕が聞いた彼の最後の言葉。底抜けに明るい性格で、チームにも馴染んでいただけに、受けるショックも大きい。
G大阪は、昨年もFWマグノアウベスがシーズン途中に中東クラブへ移籍。今回は正式なオファーに対し、正当な手続きを踏んだ上での移籍だが、エースを奪われたことに変わりはない。Jリーグ、そしてG大阪が、オイルマネーの前には全く歯が立たなかったということ。“世の中、お金だけじゃない”というユートピアを心に抱く僕にとっては、歯がゆく、寂しく、そして、悔しい。
このままではJリーグが中東の下部リーグになる! とまでは思わないが、Jクラブ側も何らかの対抗処置は必要。日本サッカー界が、金では買えない魅力を持ち得ることが一番の理想だが…。
三和 直樹(みわ・なおき)
1979年(昭和54年)1月1日、大阪府生まれ。天理大卒。06年3月入社。取材に行った関西J4球団で10戦連続勝ちなしを経験し、“負の男”と名付けられた。趣味はサッカー、麻雀と競馬を少々。好きな食べ物はポテトチップス。昔は鋭い読みと高い身体能力が武器のセンターバック。