『かっこいい』と、心の底から思った。
「彼が現役を続ける限り、彼との予定を最優先すると決めている。お金や契約とかではなくてね。人間としてそう決めたんでね」
関西国際空港の出国ゲートの前で、仲田健トレーナー(39)が発した言葉だ。「彼」とは、阪神・桧山だ。
18年以上の付き合いという2人は、ともに京都出身の1969年生まれ。仲田トレーナーがアルバイトをしていたトレーニングジムに、桧山が通い始めたことがキッカケで、知り合った。
共通点が多いだけに、自然と一緒に食事にいくことが多くなり、「こんな仕事をしたいんだ」と桧山に語っていたという。気がつけば、桧山の個人トレーナーという形で夢が実現していた。
10年前は2人きりでの自主トレだった。それが、2009年のグアム自主トレは、最大で12人で行われるまでに拡大した。仲田氏個人としても、男子プロゴルファーの石川遼、WBC世界スーパーフライ級王者の名城らを担当するまでになった。桧山はまさに“運命の人”なのだ。
だからこそ、新しく選手と契約をするときは必ず「桧山の予定を最優先することを了承してください。できなければ、お受けできません」と話す。口先だけではない、全力の支援を誓うのだ。
何気ない出会いから生まれた男と男の友情。そして、築いてきた信頼関係を、少しだけ知ることができた。穏やかな表情で、よどみなく、飾らないように紡いだ言葉には、嫌みが全く感じられなかった。すべてが胸を熱くした。この2人に負けない関係を『いつか僕も』と、強く思った。
高瀬 悟嗣(たかせ・さとし)
1982(昭和57)年12月20日、愛知県生まれ。愛知大卒。07年9月入社。現在はアマチュア野球担当。コテテコの中日ファン。入社後すぐに竜弟の優勝を取材、2カ月後には53年ぶりの日本一の瞬間に直面した。地元の伊良湖は二軍投手のキャンプ地だった“ミスタードラゴンズ”。学生時代に9年間続けた柔道は初段だが、いまではメタボ予備軍に…。