2007年11月22日 更新
反町ジャパン北京五輪出場決定!主将・水本が歓喜の独占手記

選手から水をかけられる反町監督(左)。歓喜の瞬間だ(撮影・塩浦孝明)

試合後、泣きながら青山敏(背中)と抱き合う水本(撮影・森本幸一)
北京五輪アジア最終予選(21日、国立競技場)やった! 北京だ!! U−22日本代表はU−22サウジアラビア代表との直接対決に0−0ドロー。勝ち点を11としてC組1位となり、4大会連続8度目の五輪出場を決めた。東京五輪会場だった国立競技場の聖火台の炎が見守る前で、つかんだ北京切符。主将のDF水本裕貴(22)=千葉=が、独占手記でその喜びを語った。
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「うれしくて、言葉にできず涙が出た。最終予選でキャプテンを任され、プレッシャーがあった。カタール戦(10月17日)に負けて、最後、こういう形で終われて、全部の感情がわき出た。今まで反町さんの下で積み重ねてきた練習のおかげ。今日はサポーターの応援もあったおかげだと思う」
試合終了の瞬間、思わず両手を合わせて天を仰いだ。涙が止まらない。主将の水本はフェースガードの上から顔を両手で覆った。
「ベトナム遠征前にひざを痛め、さらにその試合で鼻骨骨折。精神的にも肉体的もきつい時期もあった。でも弱音ははかないと決めていた」
「国を背負ってやるわけだから、責任があると思った。昨年、巻さん(千葉FW)や阿部さん(前千葉で現浦和MF)がチームとA代表できつい日程をこなしていたのを間近で見ていました」
勝利を、ゴールを求めて攻めてくる相手を、体を張って止めた。苦しいときはサウジ戦前に全選手、スタッフから寄せ書きをしてもらったキャプテンマークを見ながら歯を食いしばった。2人の大先輩の姿も、力をもたらしてくれた。
「巻さんや阿部さんは、疲労や故障を抱えながらプレーしてたけど、弱音を聞いたことがなかった。いつも強い気持ちで戦っていた。特に阿部さんは今年、リーグ、代表に加えてACLとかなりきつい日程の中でも戦う姿勢を崩さなかった。10月20日に対戦したときには、わざわざ『がんばれよ』と励ましてもらい一層、負けられない気持ちがあった」
16日にA代表のイビチャ・オシム監督(66)が脳梗塞(こうそく)に倒れた。病魔と闘う恩師に、朗報を届けることができた。育ててくれた恩人への感謝の気持ちは、人一倍だ。
「オシムさんが倒れたと聞いたときはかなり動揺した。頭がぼーっとして何も考えられなくなった。オシムさんが夢に出てきた。ぼくがプロになって初めての監督、自分を育ててくれた人。オシムさんに朗報を届けるため、必ず北京に行くぞという気持ちが強くなった」
「実はぼくの祖母2人も脳梗塞をやってるので、オシムさんがどんな状況か想像できる。今は、早く良くなることを祈るしかない。シーズンが残っているので見舞いはその後、状態を見てから。オシムさんは本当の“プロ”、最後までしっかり戦うことを望むはずだ」
4万を超える大歓声が止まない国立競技場。ウオーターファイトのあと、フェースガードを外した水本は仲間たちと抱き合った。瞳は濡れたまま。念願の北京。日本のサッカーを、自身の力を、世界で試す絶好の機会となる。主将はまっすぐ前を向いた。
「オシムさんが見てたら、まだまだダメだなと言われてると思う。病気から回復したら、成長した姿をみせたい」
■水本裕貴(みずもと・ひろき)
1985(昭和60)年9月12日、三重県御薗村(現伊勢市)生まれ、22歳。三重・梅村学園から04年に市原(現千葉)入団。J初出場は同年6月20日の大分戦、初得点は06年7月の広島戦。J今季29試合1得点。同通算74試合2得点。日本代表ではU−18世代から選出され続け、昨年10月にはA代表に初招集されガーナ戦で初出場。同通算2試合0得点。U−22代表では伊野波の負傷離脱以降、主将を務める。1メートル83、72キロ。

サウジのシュートを体を張ってとめた青山敏(左)。一丸となって五輪を決めた(撮影・原田史郎)
★スーパープレーで日本救った!青山敏「MVPがほしい」
体を張ったディフェンスが、北京への道を切り開いた。前半9分。無人のゴールに仁王立ちしたのがMF青山敏(広島)。決定的なシュートに反応すると左足ではじき返した。
「近くにいたFWについていた。DFに任せていたらあのポジションにいなかった。運がよかった。MVPがほしいですね」とニンマリ。
引き分けでも北京行きが決まる一戦。守備の堅い相手に失点は避けたかっただけに、チームを救うビッグプレーだった。
★日本イレブン歓喜の声
◆DF水本(千葉)
「追い込まれた状況で結果を残せた。まとまりが出てきたし、メンタル面で成長したと思う」
◆DF青山直(清水)
「いろいろあったけど結果が出てよかった。まだまだ未熟だけれど、五輪までに時間はある」
◆DF伊野波(FC東京)
「けがもあったし、苦しんで突破できたことを無駄にしないよう五輪本番に生かしたい」
◆DF細貝(浦和)
「レッズのACLの優勝のときはベトナムにいたので、自分はこっちでがんばらないとと思った」
◆MF青山敏(広島)
「もっとビルドアップをしっかり、という今後への反省はある。プレッシャーはあった」
◆MF水野(千葉)
「(05年の)世界ユースは1勝もできなかった。その直後からの目標を達成できてよかった」
◆MF本田圭(名古屋)
「試合内容は課題だらけだけど、結果に関しては嬉しい。やっとスタートラインに立った」
◆MF柏木(広島)
「いつもより緊張してた。自分でもビックリするくらい。嬉しかったけど、ホッとした感じ」
◆FW李(柏)
「五輪出場は使命だった。点を決められなかったのは課題ですけど、いい試合をしたと思う」
◆FW岡崎(清水)
「勝って出場権を取れなかったのはちょっと悔しいけど、結果については素直に嬉しいです」
★ベンチ外
21日のサウジアラビア戦(国立)で、FW平山相太(22)=FC東京、FWカレン・ロバート(22)=磐田、GK林彰洋(20)=流経大、DF長友佑都(21)=明大=がベンチから外れた。
◆サウジアラビア・バハシュウェイン監督代行
「日本におめでとうと言いたい。われわれも頑張ったが、成功できなかったのは非常に残念。日本の方が粘り強くプレーしていた」
■熱闘VTR
日本は得点こそなかったが、引き分けで北京五輪への切符をつかんだ。前半押され気味だった日本は、後半に入ると攻勢に転じた。同6分の岡崎や同10分の細貝のシュートなど惜しいシーンもあったが、ゴールは割れなかった。守備は水本やGK西川らの踏ん張りで無失点。前半9分の決定的なピンチは青山敏がゴール前で体を張って防いだ。
■他の国は
A組の豪州は平壌で北朝鮮と1−1と引き分け、勝ち点12として6大会連続の五輪出場を決めた。勝つか引き分けで五輪出場が決まる豪州は厳しい寒さと人工芝のグラウンドに苦しみ先制を許す苦しい展開。後半25分に左からのFKを起点に同点とし、そのまま引き分けた。平壌は2日連続で夜間に降雪があり、試合開始時も気温5度前後と冷え込んだ。B組はホームの韓国がソウルで2位のバーレーンと0−0で引き分けて勝ち点を12に伸ばした。韓国も6大会連続の五輪出場。
アジア代表は開催国・中国のほか日本、韓国、豪州。西アジアのチームの出場がないのは、68年メキシコ五輪以来。
■08年北京五輪・男子サッカー
開催国の中国を除きアジアの出場枠は3。ほかに大陸別の出場枠は欧州4、アフリカ3、オセアニア1、北中米カリブ海2、南米2で計16チームが出場する(W杯は32チーム)。1次リーグは4チームずつ4組に分かれ、各組2位までが準々決勝に進出する。五輪開会式前日の8月7日から23日まで。北京、上海など5都市で開催される。1次リーグの組み合わせ抽選は来年4月20日に女子とともに北京で行われる。


◆GK西川(大分)
「ピッチに立てたので嬉しかった。本番ではオーバーエージ枠を使われないようにしたい」