北京五輪ニュース

2008年05月07日 更新

【体操】冨田貫禄V!五輪連覇へニッポン代表決定!

頼むぞ、メダル。男子のエース冨田が、個人総合で貫禄V。五輪代表を決めた

頼むぞ、メダル。男子のエース冨田が、個人総合で貫禄V。五輪代表を決めた

 NHK杯兼北京五輪代表決定競技会最終日(6日、岡山県体育館)北京五輪最終選考会を兼ね、男子はアテネ五輪団体総合金メダルの冨田洋之(27)=セントラルスポーツ=が総合得点274.400点で優勝し、2大会連続の五輪出場を決めた。男子団体総合で2連覇を目指す「体操ニッポン」代表6人がそろった=写真。女子はアテネ五輪代表の大島杏子(21)が176.325点で制し、全日本2連覇のエース鶴見虹子(15)=ともに朝日生命ク=も代表となった。

 最後を決める。エースが魅せる。最終種目鉄棒での最終演技。アテネ五輪団体総合で金メダルを決定させたシーンをほうふつさせる“独壇場”。冨田が、E難度の着地でおり立った。

 「ホッとしている。すごく緊張したなかで、いい演技ができた」

 2位の内村に2.700点差をつける圧巻の優勝。床運動と跳馬は北京五輪用に難易度をあえて高くして臨んだ。最終日のこの日は両種目とも1日目の得点を大きく上回る演技。日の丸を背負う男の自覚が、ほとばしった。完成された肉体に宿る、たくましい精神力。体脂肪率は市販の計器では測定できないほど低く、関係者によれば「皮下脂肪が少ないぶん、温度差にはかなりナーバスになる」ほど研ぎ澄まされている。1次予選を兼ねた昨年の全日本選手権以降はクラブでただ1人、休日の日曜日も返上する“不休練習”で筋骨隆々の肉体をさらに磨き上げた。

 追い込むだけではない。食事のメニューはフリーで、この日朝もホテルのバイキング料理を堪能。その後は自室で精神集中して試合会場に乗り込んだ。

 五輪連覇のかかる北京には“悪夢”がある。01年のユニバーシアードでの表彰台で猛烈なブーイングを浴びたのだ。「あんなのはあれが最初で最後。でも、(強くて)嫌がられる選手になったと思えばいい」と、今では発想の転換ができるまでに成長した。

 連覇への最大の敵は地元開催の中国。だが、「(日本代表も)バランスのいいチームだと思う。技術も心ももっと強くして、演技の精度を上げていきたい」。五輪会場に、7年ぶりの“大ブーイング”を起こしてみせる。

(山田貴史)

■得点

 【男子】▼個人総合 〔1〕冨田洋之(セントラルスポーツ)274.400点(持ち点91.000、1回目91.450、2回目91.950=床運動15.000、あん馬14.750、つり輪15.550、跳馬15.600、平行棒15.500、鉄棒15.550)〔2〕内村航平(日体大)271.700点〔3〕坂本功貴(順大)269.050点〔4〕中瀬卓也(徳洲会)268.475点(5)村田憲亮(セントラルスポーツ)268.400点(6)田中和仁(徳洲会)267.875点〔9〕鹿島丈博(セントラルスポーツ)267.225点〔10〕沖口誠(コナミ)266.900点
 【女子】▼同 〔1〕大島杏子(朝日生命ク)176.325点(持ち点57.725、1回目59.350、2回目59.250=跳馬14.400、段違い平行棒14.700、平均台15.050、床運動15.100)〔2〕上村美揮(朝日生命ク)175.700点〔3〕美濃部ゆう(朝日生命ク)174.475点〔4〕鶴見虹子(朝日生命ク)173.950点〔5〕新竹優子(大阪.羽衣学園高)173.800点〔6〕黒田真由(中京大)171.600点※白抜き丸数字は北京五輪代表

★男子団体総合連覇へ「最高のメンバー」

 団体総合で連覇を狙う男子。代表6人はアテネ大会組の冨田と鹿島、そのほか4人は初出場。具志堅強化本部長は「年齢も種目もいいバランスのチームになった。最高のメンバー」とした。鹿島が最後の鉄棒で2度落下し、5種目終了時点の3位から9位に後退。逆に、あん馬とつり輪で安定感のある坂本が総合3位で代表初選出され、チームのバランスが整う結果につながった。今後はメダルを争う欧州、米国、中国に“偵察部隊”を派遣。持ち帰った資料をもとに国内強化合宿で弱点を補強する。

■北京への道

 男子体操の代表は6人。4月の北京五輪代表第2次選考会の上位18人が最終選考会となるNHK杯に出場。五輪選考は2次選考会の半分の得点と、今大会の得点を合わせた合計の上位3人が決定。残る3人は総合4〜12位の中から、種目別成績をポイント換算し、上位が代表選出された。換算では日本が弱点としている、あん馬とつり輪に重点が置かれた。

■体操ニッポン

 1960年ローマ五輪から78年ストラスブール世界選手権まで、五輪、世界選手権の男子団体総合で10連覇。日本男子が世界をリードし、黄金時代を築いた。56年メルボルン大会の小野喬から、前回アテネ大会の男子団体総合まで金メダル28個を獲得。夏季五輪で日本が獲得した金メダル114個のうち、体操の28個は柔道の31個に次ぐ2位となる。

■富田 洋之(とみた・ひろゆき)

 1980(昭和55)年11月21日、大阪府生まれ、27歳。体操男子。アテネ五輪団体総合金メダル、種目別平行棒銀メダル。05年世界選手権個人総合優勝。順大大学院出、セントラルスポーツ。1メートル66、62キロ。

■内村 航平(うちむら・こうへい)

 1989(昭和64)年1月3日、長崎県生まれ、19歳。体操男子。07年ユニバーシアード団体総合、種目別床運動優勝。07年全日本学生選手権個人総合優勝。東京・東洋高出、日体大。1メートル60、54キロ。

◆内村

 「小さい時からの夢だったので、すごくうれしい。第2次選考会は運がよかったところがあった。五輪代表に入れてよかった」

■坂本 功貴(さかもと・こうき)

 1986(昭和61)年8月21日、北海道生まれ、21歳。体操男子。07年ユニバーシアード団体総合優勝、個人総合3位。04年全日本ジュニア選手権個人総合優勝。埼玉・埼玉栄高出、順大。1メートル63、56キロ。

◆坂本

 「(3位に)入れるとは全然思っていなかった。きれいな体操をして、団体のメンバーになれるように頑張りたい」

■中瀬 卓也(なかせ・たくや)

 1982(昭和57)年11月19日、滋賀県生まれ、25歳。体操男子。世界選手権団体総合で06年3位、07年2位。滋賀・栗東高でインターハイ個人総合2連覇。日体大出、徳洲会。1メートル65、63キロ。

◆中瀬

 「第2次選考会が18位だったので、(代表入りできて)不思議な気持ち。北京五輪までには演技を安定させたい」

■鹿島 丈博(かしま・たけひろ)

 1980(昭和55)年7月16日、大阪府生まれ、27歳。体操男子。アテネ五輪団体総合金メダル、種目別あん馬銅メダル。03年世界選手権あん馬、鉄棒で2冠。順大大学院出、セントラルスポーツ。1メートル68、59キロ。

◆鹿島

 「苦しい時が続いていて、みんなにサポートしてもらって代表に選ばれた。自分の役割をしっかり果たしたい」

■沖口 誠(おきぐち・まこと)

 1985(昭和60)年11月22日、大阪府生まれ、22歳。体操男子。07年世界選手権団体総合2位、07年北京五輪テスト大会種目別床運動優勝。日体大出、コナミ。1メートル61、57キロ。

◆沖口

 「第2次選考会が18位だったので、(代表入りできて)不思議な気持ち。北京五輪までには演技を安定させたい」