北京五輪ニュース

2008年04月28日 更新

【柔道】史上初の屈辱ご免!男女全階級で五輪出場枠を獲得

決勝でイラン選手を攻める平岡。残り17秒で、相手の内またを切り返して一本勝ちし、北京切符をつかんだ(共同)

決勝でイラン選手を攻める平岡。残り17秒で、相手の内またを切り返して一本勝ちし、北京切符をつかんだ(共同)

 アジア選手権最終日(27日、韓国・済州島)五輪代表候補で男子60キロ級の平岡拓晃(23)=了徳寺学園職=が優勝、同66キロ級の内柴正人(29)=旭化成=が5位となり、いずれも規定により出場枠を獲得、2人は五輪代表に決まった。これで日本は北京で、男女計14階級すべてに出場。枠を1つでも落とす史上初の事態は回避した。最後に残った男子100キロ超級の五輪代表は、29日の全日本選手権後に決まる。

 野村忠宏(ミキハウス)の五輪4連覇の夢を砕いて、北京への道を切り開いた。出場枠のかかった今大会に平岡は「ここで負けたら、世間から『野村を出しておけばよかった』といわれちゃう」とプレッシャーを感じていた。

 動きが硬くなった。それでも、五輪切符をつかみ取った23歳の勢いは衰えていない。初戦から3試合連続の一本勝ちで3回戦を突破。この時点で枠を確保して「気が少し緩んだ」が、準決勝は延長の末に優勢勝ち。決勝もアテネ五輪5位のハジアホンドザデ(イラン)の変則的な柔道に苦しみながら、内また返しで一本勝ちした。

 「候補」から正式な五輪代表となり、笑顔が浮かんだ。もう1つの喜びも重なった。「やっと借りを返せた」。1年前のアジア選手権で味わった初戦敗退の屈辱を晴らしすことができた。

 格下のインド選手に完敗し、周囲から「日本柔道の恥」とまで非難された。あれから1年、成長した姿を見せつけた。枠獲得で苦しい戦いが続いた中、日本男子の斉藤監督は「自信をもって自分の柔道をしている」と評価した。

 嫌な過去を清算し、あとは北京に向かっていくだけだ。手帳の8月9日の欄には「金メダル」と書いてある。「五輪は夢じゃなく目標。金メダルを取るために、やるべきことをやっていく」。力がこもった。

★内柴は苦笑い

 男子66キロ級の内柴は5位入賞で、何とか出場枠を手に入れた。2回戦では、すくい投げを返され「一本でもおかしくない」という技ありを奪われた。3回戦では相手の押さえ込みを14秒で何とか脱出。浮沈の激しい柔道に「昔から不安定なところがある」と苦笑いするしかない。優勝したアテネ五輪から4歳年を取り、けがも増えたが「気持ちが入っていれば、数カ月で追い越せる」と2連覇を目指す。

★中村は消化不良

 既に五輪代表に決まっていた選手でただ1人出場した女子52キロ級の中村美里(三井住友海上)は1回戦で敗れ、左ひじを痛めて敗者復活戦を棄権。「足技からの連絡技など、自分の持っているものを試したかった」と消化不良気味だった。この日の女子は48キロ級の山岸絵美(同)、57キロ級の松本薫(帝京大)、無差別級の杉本美香(コマツ)が優勝しただけに、後味が悪かった。


■内柴 正人(うちしば・まさと)

 1978(昭和53)年6月17日、熊本県生まれ、29歳。アテネ五輪金メダリスト。05年世界選手権2位、08年フランス国際2位。国士舘大出。旭化成。1メートル60

■平岡 拓晃(ひらおか・ひろあき)

 1985(昭和60)年2月6日、広島県生まれ、23歳。07年嘉納杯東京国際を制し、08年フランス国際、全日本選抜体重別選手権で優勝。筑波大出。了徳寺学園職。1メートル60

▼柔道・北京五輪アジア出場枠

 開催国の中国と、昨年の世界選手権で枠を確保済みの国を除き、各階級で男子5、女子3枠を争う。今大会で優勝すれば無条件で枠を獲得。各階級で残った枠は、06年アジア大会、昨年と今年のアジア選手権で、各大会での順位に応じて獲得したポイントの3大会合計が多い順に決まる。今大会は2位が60点、3位が40点など、各順位の得点がこれまでの2大会の2倍になっており、下位からの一発逆転も可能になっている