2008年04月07日 更新
【柔道】谷亮子、負けても北京…5大会連続出場も不安いっぱい

決勝で山岸(右)の払い腰をくらい、苦戦する谷。「ママでも金」に不安を残した(撮影・山下香)

北京五輪代表に決まっても、ヤワラちゃんは渋い表情(撮影・山下香)
全日本選抜体重別選手権最終日(6日、福岡国際センター)女子48キロ級で五輪3連覇を目指す谷亮子(32)=トヨタ自動車=が決勝で不覚を取った。山岸絵美(21)=三井住友海上=に完敗。実績が考慮され、日本女子初の夏季五輪5大会連続出場が決まったが、「ママでも金」に不安を残した。このほか、男子1人、女子4人が北京切符を獲得。
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また落とし穴が待っていた。3年ぶり15度目の優勝で決めるはずだった北京切符。「ママでも金」を目指す谷が最初のハードルでつまずいた。敗れても五輪代表の座は手にしたが、女王の言葉は歯切れが悪かった。
「勝って代表になりたかった。きょうは気持ちの引き締まりというか、盛り上がりが足りなかった。これをいいきっかけにして、ぜひ3連覇を成し遂げたいです」
昨年に続く、地元での悪夢だった。11歳年下の山岸との決勝戦。開始34秒で送り足払い足技で効果を取ったが、その後は主導権を握られ続けた。1分54秒に巴投げで有効を奪われ、さらに大外返しで2つ目の有効を奪われた。過去3戦全勝の相手に完敗だった。
昨年の福岡は決勝で福見(了徳寺学園職)に敗れたが、産休明けで2年ぶりの復帰戦。実績が評価され、出場した世界選手権は金メダルを獲得した。そのために北京代表が確実となり、今大会は気持ちを奮い立たせることができなかったとは皮肉だ。
北京でハッピーエンドが待っているとはかぎらない。それでも強化委員会は満場一致で谷を選んだ。全日本女子の日蔭監督は「ディフェンスに優れ、カウンターもある試合巧者」と説明した。
夏季五輪で女子の同一種目3連覇は3人しかいない。日本人女性では初の偉業を目指す。「五輪を前にいい経験をさせてもらった。しっかり修正して北京を迎えたい」。ママでも金の夢は、負けてもつながった。逆風は覚悟の大舞台。試練を乗り越えた北京に、3個目の金メダルが待っている。
(臼杵孝志)
■谷 亮子(たに・りょうこ)
1975(昭和50)年9月6日、福岡県生まれ、32歳。女子48キロ級。世界選手権7度優勝(93−03、07年)。05年大会は妊娠のため出場を辞退し、同年末に長男・佳亮くんを出産。五輪は92、96年に銀、00、04年に金メダル獲得。全日本女子選抜体重別選手権は優勝14度。得意は背負い投げ。日体大大学院出。トヨタ自動車所属。1メートル46。
■谷亮子、ママでの北京ロード
★おめでた
05年6月、妊娠3カ月が判明。前人未到の7連覇がかかる世界選手権出場を辞退したが「ママになっても金を取りたい! これが一番の夢」と会見で宣言した
★男児出産
05年12月31日、兵庫県内の病院で長男・佳亮(よしあき)ちゃんを出産。その後は育児に専念
★復帰
07年4月の全日本選抜体重別選手権で2年ぶりに実戦復帰。決勝まで勝ち進むが、02年4月に敗れた福見友子に再び敗れ、準優勝に終わった
★ママでも金
07年9月にブラジル・リオデジャネイロで行われた世界選手権。不振を極める日本を救う、自身7度目の金メダルを獲得した
■女子の五輪3連覇
夏季五輪で同一種目を3連覇した女子選手は3人しかいない。競泳100メートル自由形で56年メルボルン〜64年東京大会に勝ったドーン・フレーザー(豪州)、同じ3大会の体操・床運動を制したラリサ・ラチニナ(ソ連)、88年ソウル〜96年アトランタ大会の200メートル背泳ぎに優勝したクリスティナ・エゲルセキ(ハンガリー)だ。谷亮子は北京で日本初、世界でも4人目となる3連覇を目指す。
■アジア枠
日本は昨年の世界選手権で5位以内に入った男子2階級(73キロ級、100キロ超級)、女子は70キロ級を除く6階級で北京五輪出場権を獲得。残る階級はアジア枠(各階級男子5カ国、女子3カ国)での出場を目指す。同枠は06年アジア大会、07年アジア選手権、今回決定した代表候補が出場する26、27日のアジア選手権(韓国)で獲得したポイントを合計して争う。
◆女子48キロ級決勝で谷を破った山岸絵美
「(ポイントを)取られても力で押し切ろうと思っていました。4回目なので絶対に勝ちたいと思っていました」
★中村10代金狙う−女子52キロ級
女子52キロ級で代表の座をつかんだ中村は「実感はあまりないけど、うれしい」と控えめに喜んだ。昨年秋に48キロ級から階級を上げ、減量苦から解放されたことが大きかったという。3月に高校を卒業したばかりの18歳は「(日本柔道では)10代で金メダルを取った人がいないと聞いているので、優勝を目指していきたい」と目標を語った。
■中村 美里(なかむら・みさと)
1989(平成元)年4月28日、東京都生まれ、18歳。柔道女子52キロ級。昨年の嘉納杯東京国際で優勝し、今年のフランス国際3位。東京・渋谷教育渋谷高出。三井住友海上所属。1メートル57。
■佐藤 愛子(さとう・あいこ)
1983(昭和58)年10月18日、北海道生まれ、24歳。柔道女子57キロ級。昨年の世界選手権で3位、嘉納杯東京国際では優勝。今年のフランス国際は3位。筑波大出。了徳寺学園職所属。1メートル57。
◆女子57キロ級・佐藤愛子
「今日は優勝して北京に行きたかった。でも選んでいただいたからには、五輪では金メダルを取りにいきたい」
■谷本 歩実(たにもと・あゆみ)
1981(昭和56)年8月4日、愛知県生まれ、26歳。柔道女子63キロ級。アテネ五輪金メダリスト。世界選手権は01年3位、05年2位、昨年は3位だった。筑波大出。コマツ所属。1メートル58。
◆女子63キロ級・谷本歩実
「全力で戦って(いい)結果を出したい。北京は必ず金メダルを取らなければいけないと自分にプレッシャーをかけて、取りにいきたい」
■中沢 さえ(なかざわ・さえ)
1983(昭和58)年6月1日、東京都生まれ、24歳。柔道女子78キロ級。05年、07年世界選手権2位。06年ドーハアジア大会優勝。今年のドイツ国際は3位。淑徳大出。綜合警備保障所属。1メートル67。
◆女子78キロ級・中沢さえ
「優勝して選ばれたわけではないが、チャンスをいただけたので、ぜひ金メダルを取れるように頑張りたい」


◆妻・亮子の北京五輪出場決定に巨人・谷
「日頃、自宅では家事や育児をこなし、プロ野球選手の妻としても大変な生活を送りながら、自分の練習にも決して手を抜かない姿に夫として感謝し、同じアスリートとして尊敬しています。金メダル目指して頑張ってください」