2008年03月11日 更新
【陸上】野口みずき“尚子魂”でオリンピック連覇だ!

Qちゃんのぶんまで…。野口が人さし指を立て五輪での1番をアピール。連覇で金メダル獲りだ(撮影・浜坂達朗)

年内にマラソン復帰? 惨敗から一夜明けたQちゃんに、笑顔が戻った
“尚子魂”で走ります! 日本陸連は10日、都内で北京五輪マラソン代表を選考する理事会などを開き、五輪2大会連続の金メダルを目指す野口みずき(29)=シスメックス=ら男女代表6人を発表した。野口は前日の名古屋国際女子マラソンで惨敗した高橋尚子(35)=ファイテン=に刺激を受けて、五輪へ向かう。野口のほかアテネ五輪5位の土佐礼子(31)=三井住友海上、名古屋国際で優勝した中村友梨香(21)=天満屋=が選ばれた。
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チャコールグレーのスーツできめた野口に、穏やかな笑顔が浮かぶ。昨年11月の東京国際を大会記録で圧勝、五輪代表を確実にしていたが、この4カ月間は“仮免許”状態。京都市内で行われた会見では、待っていた正式発表に、「本当にうれしい。新たなステージを与えられたと思って、自分の力を出し切りたい」と静かな闘志をみせた。
アテネ五輪女子覇者。8月の北京五輪では、日本の五輪3連覇がかかる女子のエースとして、歴史的偉業に挑む。42.195キロで極限のスタミナとスピードを競うマラソン。五輪での2大会連覇は男子で「裸足の帝王」といわれたアベベ・ビキラ(エチオピア)、ワルデマール・チェルピンスキー(旧東ドイツ)2人だけで、女子にはいない。人類の女性で最初の達成者になれるか。アテネで苦しめられたヌデレバ(ケニア)ら強敵は多いが、「連覇」の2文字が、闘争心に火をつける。「淡々と五輪に2回出るより、ワクワクする目標ができる。(難度が)高ければ高いほど、やってやるという気持ちが出てきます」。
前日の名古屋国際を、京都市内の寮でテレビ観戦。五輪最終選考会で9キロ付近で失速しながら、必死に完走したシドニー五輪金メダリスト高橋の姿に“魂”を見たという。「ビックリしました。でも、途中棄権しないところが、人間性だと思うし、すばらしい」と、五輪出場を逃したQちゃんのぶんまで、燃焼するつもりだ。
これまで、練習中にUFOを目撃するなど、大きなレース前には鋭い“霊感”を発揮。「吉兆」としてきた。この日の会見場でも、独特の感性を研ぎ澄ました。「(会見場に)来たときにハッと『レール』が見えたんです。真っすぐ空に向かって…。脱線しないようにしたい」。照明に浮かんだ枕木とレールの幻想。まるで人気漫画「銀河鉄道999」を思わせる軌道の先に、栄光のゴールが待っている。
「今までどおりの練習ではいけないとわかっている。そういう気持ちでトレーニングしたい。血を吐いてでも…」。原因不明の発疹(ほっしん)のため、高地合宿先の中国・昆明から当初の予定を早めて6日に帰国。12日に徹底検査するが、「神様が無理しなくていいと言っているのかな」と、前向きにとらえている。藤田信之監督も「新しいことをやらせる」と、連覇への青写真を描く。夏に向け、真っすぐ伸びた夢の“レール”に乗って、突っ走る。
(周伝進之亮)
★みずきTALK
−−正式に代表に選出された
「これから目標に向かって走り出せます」
−−4年前の五輪と気持ちの違いは
「前回は(03年の)世界陸上の銀メダルで(内定が)早かったので、今回のほうがうれしさ倍増です」
−−アテネのときにこれも通過点という発言があった
「五輪が最終目標じゃなく、北京五輪も通過点。足が壊れるまで続けたいと思っていますので、私の陸上人生の1ページとして、いい形で刻めたらと思います」
−−東京国際のレース後、4年前の自分より強いと言った
「五輪、世界陸上を経験して、雰囲気に飲み込まれない気持ちでいられると思う。でも、4年前と同じ、ワクワクしている気持ちが強いです」
■野口みずきのアテネ五輪(04年8月22日)
レースが動いたのは25キロすぎ。野口が仕掛け、ラドクリフ(英国)、土佐礼子らを引き離す。27キロ付近では2度目のスパートを掛け、一気に独走態勢に。終盤の下り坂でヌデレバ(ケニア)の猛烈な追い上げを受けたが、最後は12秒差をつけ、2時間26分20秒でゴール。日本女子2連覇となる金メダルを獲得した。ゴール直後に嘔吐するほどの過酷なレースを制し、表彰式では涙を浮かべながら、君が代を歌った。
■野口の幻想
★03年 パリ世界選手権前のスイス・サンモリッツ合宿中に、幻の生物「ツチノコ」を目撃。レースではアテネ五輪代表を勝ち獲る銀メダル
★04年 アテネ五輪前のサンモリッツ合宿。「UFO」と思われる青白い炎2つを見て、「ツチノコ」とも再会。アテネ大会では金メダルを獲得し、日本女子2連覇を果たす
★05年 ベルリンマラソンを控えたサンモリッツ合宿。飛べない鳥類「ペンギン」が、空を飛ぶ場面がテレビに映っているところを目撃。その後のベルリンでは2時間19分12秒の日本最高記録を樹立し優勝
★「応援したい」Qちゃんがエール、今月末に練習再開
前日の名古屋国際の序盤で失速、27位と惨敗して北京五輪代表を逃した高橋はレースから一夜明けた10日、名古屋市内で、この日決まった五輪代表に「国民の一員として応援していきたい」と野口らにエールを送った。
また、自身の今後について「体にダメージはありません。これだけの勢いで惨敗して逆にスッキリした。次のレースはマラソン。練習の過程でハーフマラソンの出場はあるかもしれないが、海外もないとは限らない」と、年内に復活を期すことを明らかにした。今月末に練習拠点の千葉で本格的な練習を再開する。
Qちゃんは前日のレース後、現役続行を明言し、引退を否定。昨年8月に右ひざ半月板の除去手術を受けていた衝撃の事実も告白したが、マネジメント担当の安野仁氏は、失速の原因は手術ではないとした。同氏は、レース中にQちゃんが下痢のため37キロ付近でトイレに駆け込んだことを受け、中国・昆明の合宿中に下痢で数日間寝込んだことも明かした。レース前、右足に違和感もあり、突然起こった体調不良を惨敗の理由とした。

